目次
ドイツ専門職業訓練(VT)を採り入れたトレーニングプログラム
VTは、ドイツで広く定着している職業訓練制度である。約3年間の訓練期間を通して、企業で働きながら技術や技能を習得する「実践」と、専門知識や一般教養を学ぶ「講義」を並行して進めることから「デュアルシステム」とも呼ばれ、最終的に試験を受けて知識・技能が認定される。ドイツ国内では328の職種に対して毎年約130万人が参加しているほか、ドイツ以外でも48の国と地域で導入されている。
このVTの日本への導入として、在日ドイツ商工会議所は2024年4月より、「ドイツ専門職業訓練 自動車整備士養成プログラム」を開始する。MFTBCは本プログラムにパートナー企業として参加し、2024年の新卒社員を含む若手メカニックの一部が本プログラムを受講する。
本プログラムは2027年3月までの3年間の事業で、MFTBCは、この期間中は従来の教育プログラムと並行する形でVTを採用し、プログラム終了後の2027年4月以降は、若手メカニックの教育をVTに全面的に移行することを検討している。
参加社員は配属先拠点での実務を通じた職場内訓練(on-the-job training、以下OJT)と提携校での座学を通じて、整備の基本や電気自動車(EV)などの先端技術などを体系的に学び、3年でのプログラム修了を目指す。本プログラムでの学習内容は、従来のMFTBCの新入社員が5年程度かけて習得してきた技能・知識レベルに相当するという。
MFTBCの目指す若手メカニック教育
MFTBCはこれまで、専門教育機関の「FUSOアカデミー」による研修と、配属先の販売・サービス拠点での職場内訓練(OJT)によって、若手メカニックに対する教育を行ってきた。OJTでは配属先拠点の入庫車両の傾向や担当業務の違いにより、各メカニックへの教育内容に差が生じてしまうケースが見受けられたが、VTでは、各拠点でのOJTに対して体系的な教育項目が用意されるとともに、「ベーシックトレーナー」と呼ばれる講師が毎月巡回して教育項目の達成状況や習熟度を確認していくことから、メカニックの技術・知識レベルの標準化につながるとしている。