英国のコンストラクターであるローラ・カーズと組み、FIAフォーミュラE世界選手権に参入するヤマハ発動機。彼らは来季=シーズン11からパワートレインマニュファクチャラーとして新規参戦することになっているが、その供給先としてABT(アプト)が決定した。
ヤマハとローラは3月28日、フォーミュラEにおける高性能電動パワートレイン開発・供給に関するテクニカルパートナーシップ契約を締結したことを発表。ローラが車体パッケージを、ヤマハはローラと協力し電動パワートレインとソフトウェアの開発を担うかたちで、現行マシンのアップデート版となる“Gen3 EVO”が導入されるシーズン11からシリーズに参戦することを明らかにしていた。
今シーズン第5戦東京E-Prixに先駆けて行われた記者会見では、ローラ/ヤマハのパートナーとなるチームは明らかにされなかったが、同大会でのパドックでは、ヤマハ関係者がアプトのピットを訪問する様子が目撃されていた。そして、第6、7戦ミサノE-Prixの開催直前となる4月11日、アプトが供給先となることが正式に発表された。
アプトはシリーズが創設された2014年にフォーミュラEに参戦。アウディと提携していた同チームは同選手権で最も成功を収めたチームのひとつであり、2016/17年のシーズン3にはルーカス・ディ・グラッシがドライバーチャンピオンに輝いた。さらに翌2017/18年のシーズン4には、チームとして4勝を挙げてチームタイトルを獲得している。
アウディが2020/21年のシーズン7限りでフォーミュラEから撤退したことにともない、アプトも翌シーズンはグリッドから姿を消したが、現行の第3世代マシン“Gen3”が導入されたシーズン9に復帰。以来、「アプト・クプラ・フォーミュラEチーム」として活動している。
再参戦を果たしてからはマヒンドラ製のパワートレインを使用しているアプトだが、この2シーズンは成績が低迷。昨季はポールポジションを1度獲得したものの、レースでの最高位は6位と未勝利に終わり、チームランキングも最下位となる11位に。今シーズンについても、入賞を果たしたのはニコ・ミュラーが7位となった第5戦東京E-Prixのみで、同大会終了時点でランキング9位に沈んでいる。
ヤマハとローラは電動モータースポーツ最高峰への参入に向けた準備を進行中。現在はダイナモでパワートレインのハードウェアおよびソフトウェアの開発をしている段階で、シェイクダウンは6月に予定されているという。また、アプトのタイトルパートナーを含めたチームの名称や体制、ドライバーラインナップなどは、今後数カ月のうちに明らかになっていく見通しだ。