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インディカーで日本人として初制覇の快挙!
2013(平成25)年4月21日、佐藤琢磨選手が米国インディカー・シリーズ第3戦「グランプリ・オブ・ロングビーチ」で日本人初の優勝を飾った。インディカーは、米国のフォーミュラカーレースの最高峰で、オーバル(楕円形)コースをメインとして行われる平均車速が350km/hを超える超高速レースである。
英国F3チャンピオンからF1に飛躍した佐藤琢磨選手
佐藤琢磨選手は、10歳の時に鈴鹿サーキットでF1を観戦したことからモータースポーツに興味を持ったが、高校時代は自転車競技でインターハイや全日本学生選手権で優勝を飾るなど異例の経歴を持つ。
その後、早稲田大学スポーツ科学部に入学するも休学してカートを始め、モータースポーツ歴わずか半年で鈴鹿サーキット・レーシング・スクール・フォミュラに入学。1997年に首席で卒業後、渡英して英国F3に参戦、2000年に英国オートスポーツ誌で2000年度最速ドライバーとして選ばれ、2001年に日本人初の英国F3チャンピオンに輝いた。
その年の10月にホンダエンジンを搭載するジョーダンのF1レギュラードライバーとなり、2002年からF1に本格参戦。2004年に米国GPで3位、イタリアGPと日本GPで4位とあと一歩まで健闘したが、悲願のF1優勝はならなかった。
その後、2010年佐藤選手はF1から米国のインディカー・シリーズに活躍の場を移すことを決断した。
F1から米国最高峰インディカー・シリーズへ転向
インディカー・シリーズは、100年以上の歴史持つインディ(インディアナポリス)500を頂点とする米国の権威あるフォーミュラカーレースの最高峰。インディ500の他にも、1周1マイル(約1.6km)のショートオーバル、1周2マイルから2.5マイル程度の超高速オーバル、ロードや市街地サーキットなどの様々なコースを転戦し、米国、カナダで年間全20戦近いレースで年間王者を争う。
インディカーを特徴づけているのは、左回りの周回のみで旋回方向が固定されているオーバルコースだ。インディカーには、このオーバルをより速くスムーズに走るために、ディファレンシャルギアの固定や左右で異なるサスペンション設定、左右で直径の異なるリアタイヤなど特別なセッティングがされている。コースが単純なグローバルなので、その平均車速はF1が240km/h程度なのに対し、オーバルのインディカーでは350km/hを超える。
シャシーは、イタリアのダラーラ製「DW12」のワンメイクで、エンジンはホンダ製とシボレー(GM)製のDOHC 2.2L V6ツインターボエンジンの2択で、F1のように独自のチューニングする部分が少なく、ドライバーの技術が問われるレースと言える。
ついに米国フォーミュラカー最高峰インディカーで優勝
2010年からインディカー・シリーズに挑戦し、4年目の2013年のこの日、佐藤選手はインディカー・シリーズ第3戦「グランプリ・オブ・ロングビーチ」で日本人初の優勝を飾った。
最高出力550ps超のホンダ製DOHC 2.2L V6ツインターボエンジン搭載のダラーラDW12で、A.J.フォイト・レーシングから参戦。決勝で、2列目4番手からスタートした佐藤選手は、29周目でトップに立つと、その後は安定した走りで80周を走り切り、日本人として初の栄冠を手にした。
その後、佐藤選手は2017年と2020年には、ついに世界三大レースに位置づけられ、シリーズの頂点に君臨する「インディ500」を制覇し、長いインディ500の歴史にその名を刻んだのだ。
モットーである「No Attack、No chance(アタックしなければチャンスはない)」の言葉通り、佐藤琢磨選手は常にチャレンジングな走りで結果を出してきた。誰にでも通用する言葉だが、“言うは易く行うは難し”なのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。