【新型アコード ○△✕判定】約550万円の最上級セダンの走りは◯!大柄なボディは×か…!?

11代目にスイッチしたホンダ・アコードは、国産セダンの最高峰として大きく進化を遂げている。ホンダらしい爽快な走りだけでなく、「Honda SENSING 360」の国内初搭載や「Google」の標準搭載など、安全装備とコネクティビティの進化も見逃せない。新型アコードの○△×を探ってみた。

TEXT&PHOTO:塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)

数少ない存在となった国産高級セダン、ホンダらしい爽快な走りは健在

新型アコードは、最上級の国産セダンとして全長4975×全幅1860×全高1450mmという堂々たる体躯を備える。先代と同じ2830mmのロングホイールベースでありながら、全長を75mm伸ばし、伸びやかなサイドビューを得ているのも大きな美点だ。1860mmの全幅も5.7mの最小回転半径も先代と同値で、全長以外、サイズアップされなかったのは朗報だろう。

セダンでサイズ的に近いのは、全長4960×全幅1880×全高1470mmというメルセデス・ベンツの新型Eクラス。なお、FRであるEクラスの最小回転半径は、5.4mで、「リヤ・アクスルステアリング」装着車だと5.0mまで小さくなる。

【新型アコードの○は?】全域で気持ちの良い加速フィールとハンドリング

新型アコードの「○」は、なんといっても走りの良さだろう。
骨格から新設計したという2モーター内蔵式CVT、直噴化とアトキンソンサイクル化された2.0Lエンジン、パワーコントロールユニットの高出力化などにより、低速域から高速域まで気持ちのいい走りを引き出せる。

エコのイメージがつきまとう国産ハイブリッド車であっても低速域からエンジンのツキが良く、モーターの加勢もスムーズそのもので、高速域でのパンチ力も十分に備えている。同時にCVTの進化もめざましく、エンジン回転やエンジン音に加速が付いてこない、いわゆるラバーバンドフィールを抱かせるシーンも少ない。

乗り心地は、当然ながら路面の状態によって振れ幅は大きくなるものの、舗装が滑らかな良路では徹底的と言えるほどフラットライド感が得られる。

一方で、少し路面が荒れてくると、突き上げが大きめになり、ギャップに驚くほど。ただし、高級セダンとしてのレベルの中の話で、550万円近い価格にふさわしい上等な質感を備えている。

アダプティブ・ダンパー・システムやモーションマネジメントシステム(アジャイルハンドリングアシスト)により、乗り心地とハンドリングのバランスにも秀でていて、コーナーの多い首都高速や高速道路でのスタビリティの高さも好印象だ。

【新型アコードのココもポイント!】抜群の使い勝手と反応の良さが光る標準搭載の「Google」

使い勝手の面では、Googleアプリの使い勝手の良さが際立っている。アコードは長年ホンダが培ってきた「インターナビ」ではなく、「Google搭載12.3インチ Honda CONNECTディスプレイ」が標準装備されている。

対話形式で対応する「Google アシスタント」は、普段スマホなどで使っている方ならその利便性の高さはご存じなはず。曖昧なキーワードでも目的地の候補を出してくれるだけでなく、天気や電話、航続距離なども音声で呼び出せるなど、高精度な対応(感度)も含めてストレスフリーと言える操作性を実現している。

【新型アコードの△は?】ボディの大きさは視界の良さでカバー、道路が狭い地域での取り回し性が少々気になる

新型アコードは、狭い住宅街や駐車場などで取り回しするには、やや大きめという印象。個人的には日本で本当にストレスなく扱えるサイズの限界に近いように思える。

ホンダと言えば、FFのプレリュードに世界初の舵角応動タイプ「ホンダ4輪操舵システム(ホンダ4WS)」を採用したのを思い出しながら都内23区の住宅街を走行した。ただし、ホンダらしく前方、左右、後方の視界は良好そのもので、水平基調のダッシュボードやインパネ形状もあって取り回し自体は苦にならない。

アコードの主戦場が北米市場であることを考えると、このサイズも決して大きくはないのだが、日本では織り込み済みとする必要があるかもしれない。あえていえば、道路や駐車場事情が狭い地域では「△」になりそうだ。

【新型アコードの×は?】「Honda SENSING 360」の制御は問題ないが、ACCの設定操作がわかりにくい

全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360」は、アダプティブクルーズコントロール(ACC)と車線維持支援システム(LKAS)作動時に、自動車線変更もこなすが、制御は当然ながらリスクを抑え、人間のドライバーからするとかなり慎重。

また、ACCは「ECON」、「NORMAL」で加速制御も異なり、個人的には「NORMAL」の方が加速感にまどろっこしい感じがなく、比較的ドライバーの感覚に合っているように思えた。

ただし、「NORMAL」だと日本車の中では、比較的加速感は強めだ。ドイツ車などの輸入車でACCに慣れているなら問題はないだろうが、先代よりも目標加速度を40%も高めたということもあって、筆者も何の予備知識もなく乗ったら最初は少々驚いた。

そんなACCの制御は、カーブ車速調整機能も含めて、好みに応じて設定変更が可能となってる。
ACCの「ECON」と「NORMAL」のモード選択は、センターディスプレイの設定画面(ACCは、走行モードのINDIVIDUALからも可能)から行う。

ACCのカーブ車速調整機能は、車両設定のみから可能など、階層が分かれているのがややこしい。

せっかく用意されているのだから操作性は要改善だろう。ステアリングスイッチで簡単に設定、操作ができるか、あるいは「ECON」や「NORMAL」、「SPORT」などの各ドライブモードにACCの加速(あるいは加減速も)も連動してもいいのかもしれない。このあたりが数少ない「×」というところだ。

なお、「Honda SENSING 360」作動中は、メーターディスプレイに自車がイラストで表示され、先行車や隣車線を走行する車両のタイプ(乗用車やトラックなど)まで表示されるだけでなく、車線内の自車位置(右寄りか中央寄りか左寄りか)、ほかの走行車両の車線内の位置までも同様に表示されるのには驚かされた。

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著者プロフィール

塚田 勝弘 近影

塚田 勝弘

中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー…