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RVブームをけん引したハイラックスサーフの初代が誕生
1984(昭和59)年5月2日、トヨタの「ハイラックスサーフ」がデビュー。当時火が付いたRVブームに対応するため、トヨタが小型ピックアップ「ハイラックス」の派生車として投入。多目的なレジャー用RVの先駆け的な存在として人気を獲得した。
ベースはピックアップトラックのハイラックス
ハイラックスサーフのベースとなったハイラックスは、1968年に誕生。トヨタが企画し、日野が開発と生産を担当した共同開発の小型ピックアップトラックだ。
頑強なセパレートフレーム構造を採用し、積載量は1tの3名乗りで、使い勝手の良さと優れた耐久信頼性で好評を得た。翌1969年には米国に輸出され、ランクルのタフさを継承した小型ピックアップとして、日本以上に米国で人気を獲得した。
米国では、ハイラックスのようなピックアップは一般的な商用としての使い方よりも、気軽で便利なパーソナルカーとして活用されるケースが多い。さらに、もうひとつハイラックスが米国で愛された理由は、GM/フォード/クライスラーのビッグ3にもピックアップはあったが、ハイラックスのようなコンパクトサイズのピックアップがなかったこと。
RVの先駆け、ハイラックスサーフ登場
ハイラックスは、その後もグローバルモデルとして好評を得て、モデルチェンジしながら2代目、3代目、そして1983年に4代目が登場。1980年代に入ると日本ではRVブームが起こり、各メーカーはその流れに対応したRVの開発を急いだ。
トヨタは、1984年に4代目ハイラックスをベースにした派生車ハイラックスサーフを投入。ハイラックスのショートボディに脱着式のFRP製トップを被せ、さらにオーバーフェンダーや専用デカールなどを装着し、RVに仕立てたのだ。
パワートレインは、最高出力88psの2.0L直4 OHVガソリンと76psの2.4LディーゼルSOHC NA(同年11月に85psのターボを追加)と、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式は、FRとパートタイム4WDが用意され、当初は商用車バンとして発売された。
車両価格はガソリン車167.2万円、ディーゼル車181.7万円。ちなみに、当時の大卒初任給は13.5万円程度(現在は23万円)なので、単純計算では現在の価値でガソリン車が約285万円に相当する。当初は商用車だったこともあり地味なデビューだったが、ハイラックスサーフは堅調な販売で滑り出した。
ラインナップ拡大でパジェロと双璧をなす人気モデルに
ハイラックスサーフは、米国では「4 Runner(フォー・ランナー)」の車名で日本以上の人気を獲得していたが。日本のユーザーからは、装備の充実やボディバリエーションの追加の声が上がり、トヨタはラインナップ展開を図った。
1986年には、マイナーチェンジで5ナンバー乗用車登録のワゴンを投入。レジントップのルーフに2列5名乗りのシートが組み込まれ、電子制御4速ATや走行中にハイ/ローが切り替えられる4WDも搭載。その他にも、独特のボディカラーのワゴンSSRリミテッドも人気を加速した。
RV市場で確固たる地位を築いたハイラックスサーフは、1989年に初のモデルチェンジで2代目に移行。より乗用車志向を高めたモデルへと変貌し、三菱自動車の「パジェロ」とともにRVブームをけん引するヒットモデルへと成長したのだ。
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1980年代後半から1990年代にかけて日本で盛り上がった、RVブームの立役者となったハイラックスサーフだったが、2000年を迎える頃には日本の市場はスタイリッシュな乗用車系のSUVが人気を集めるようになった。これを受け、2009年に「ランドクルーザー・プラド」に吸収される形で生産を終了した。
一方で、2024年3月には15年ぶりの4 Runnerの次期型ディザーイメージが公開された。日本への投入があるのか、注目だ。
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