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グレードバリエーションは整理した。従来はガソリンのG(FF/AWD)が販売価格面でベースにあり、ハイブリッドはe:HEV X(FF/AWD)、e:HEV Z(FF/AWD)、e:HEV PLaY(FFのみ)の順に装備が充実していった。ヴェゼルのイメージを牽引したのは最上級のe:HEV PLaY(プレイ)だったが、AWDが選択できなかったのに加え、パノラマルーフの供給制約により長納期化を招いた課題があった。
MMC版ヴェゼルはガソリンのG(AWDのみ)、ハイブリッドのX(FF/AWD)、Z(FF/AWD)のシンプルなグレード構成とした。GとXのステアリングホイールは従来ウレタンだったが、MMC版は本革巻きを標準装備とし、ドアのソフトパッドにステッチを入れるなど、装備を充実させている。
パワートレーン | グレード | 駆動方式 | 車両価格(税込) |
ハイブリッド | e:HEV X | FF | 288万8600円 |
4WD | 310万8600円 | ||
e:HEV X HuNTパッケージ | FF | 299万8600円 | |
4WD | 321万8600円 | ||
e:HEV Z | FF | 319万8800円 | |
4WD | 341万8800円 | ||
e:HEV Z PLaYパッケージ | FF | 355万6300円 | |
4WD | 377万6300円 | ||
ガソリン | G | 4WD | 264万8800円 |
最上級のZには、ハイビームとロービームを自動で切り替え、照射範囲を制御するアダプティブドライビングビームを標準で装備。好評だったPLaYは単独での設定からZベースのパッケージオプションとし、AWDも選択可能とした。また、長納期の原因だったパノラマルーフをオプション設定とすることで、納期短縮を図っている。
また、ハイブリッド系のベースグレードであるXには、「都会とアウトドアをおしゃれに、気軽に行き来できるアーバンアウトドアスタイル」のHuNT(ハント)をパッケージオプションとして設定した。識別点のひとつはルーフレールだ。
エクステリアとインテリアは、洗練と美しさに磨きを掛けた。エクステリアではフロントグリルとフロントバンパーの形状を一新。水平基調のキャラクターラインを際立たせるため、リヤコンビネーションライトを水平2段のグラフィックとし、オールLED化した。ウインカーの光源をバルブからLEDにしたのが大きな変化点である。CMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)担当の岩崎麻里子氏は、「(MMC前は)バルブなんだぁ、という残念感があったので、絶対にLEDにしたかった」と説明する。こだわりが詰まった部分だ。
インテリアも水平基調をテーマに進化させた。1段だったセンターコンソールが2段になった変更が大きい。下段のワイヤレスチャージャー(メーカーオプション)はドライバーが使い、上段は助手席のパッセンジャーがスマホ置きに使うという使い分けができるようになった(近くにUSBタイプAとタイプCの端子を設置)。
メーターには、ブレーキランプやヘッドライト、ウインカー、バックライトの点灯がわかる自車表示機能を追加。アダプティブクルーズコントロール使用時にシステムの判断で減速させた際は、ドライバーがブレーキペダルを踏んでいなくてもブレーキランプが点灯する場合がある。このような際に自車の状態が把握できるので便利だ。
細かなところでは、リヤ席のセンターアームレストに取っ手を付けたのが変化点。従来はアームレストを引き出すと前下がりになっていた。この状態で手を置くとしっくりこないという声に対応した改良だ。MMC版のアームレストは取っ手の厚みがあるぶんだけ水平に近くなる。また、リヤ席のヘッドレストはソフトな触感にしつつ大型化し、快適性を高めている。
G(ガソリン)、X(ハイブリッド)、Z(ハイブリッド)のノーマルタイプはシンプルかつクリーンに進化させた一方、PLaYは個性を引き立てた遊び心あるコーディネーションとし、HuNTはアウトドアの雰囲気を気軽に楽しめるコーディネーションとした。前出の岩崎氏はPLaYとHuNTの設定について次のように説明する。
「最量販となるノーマルタイプの質感をしっかり上げることで、雰囲気の違うバリエーションを設けることができました。コロナ禍での開発だったので、『自然の中に出ていきたいよね。もっとワクワクしたいよね』と。私の中では選ぶ楽しさは絶対に欲しかった。ノーマルのZを買ったとしても、街でPLaYやHuNTを見かけると楽しくなる。お互いに引き立て合うようなバリエーションを目指しました」
e:HEV Z PLaYパッケージ FF355万6300円/4WD 377万6300円
PLaYはMMC前と同様にツートンカラーを採用。フロントの水平グリルバーにトリコロールのアクセントをあしらい、ドア下部にライトブルーのアクセントカラーを配置。下回りをピアノブラックとすることで上質感を演出している。
インテリアはMMC前と同様にグレージュカラーを設定(色味は変更)。シートはグレージュをブラックと組み合わせ、中央にストライプを配置。エクステリアと同様に鮮やかなライトブルーのアクセントカラーを配してスタイリッシュにまとめている。
e:HEV Z PLaYパッケージ(2トーンカラー) プレミアムサンライトホワイト・パール&ブラック(4万9500円高) スレートグレー・パール&ブラック(2万7500円高) ボタニカルグリーン・パール/ブラック(2万7500円高) クリスタルブラック・パール&シルバー シーベット・ブルー・パール&シルバー(2万7500円高)
e:HEV X HuNTパッケージ FF299万8600円/4WD 321万8600円
新設定のHuNTはマルチカラーのコーディネーションが特徴だ。Xがベースなのでホイールは16インチ(Z系は18インチ)となり、エアボリュームの大きなタイヤがアウトドアのイメージとマッチする。ベースとなるZの16インチホイールはブラック塗装+切削だが、HuNTはシャークグレーメタリック塗装とした。おかげで、キャンプサイトなどで土ぼこりによる汚れが目立たない効果も期待できる。
エクステリアではルーフレールの装着に加え、フロントバンパー下部にカッパーメタリック塗装のガーニッシュを追加。インテリアではカーキ、ネイビー、グレージュ、オレンジといったさまざまな色を使用。コーディネートした岩崎氏は、「ドアを開けた瞬間にワクワクをもたらし、乗り込んだ際は(視線が前を向くので)落ち着きや品を感じていただける」と説明する。HuNTはシートのファブリック素材に撥水・撥油機能のあるFABTECT(ファブテクト)を採用しているのも特徴だ。
ボディカラーは全7色。スレートグレー・パール、シーベッドブルー・パール(PLaY撮影車)、ボタニカルグリーン・パール(HuNT撮影車)が新色だ。トレンド感やSUVらしさを感じさせるソリッドカラーをそろえているのが特徴である。
ガソリン仕様は1.5L直列4気筒自然吸気エンジンとCVTの組み合わせ。ハイブリッド仕様(e:HEV)は日常のほとんどのシーンをモーターで走行する2モーター・ハイブリッドシステムを搭載する(エンジンは1.5L直列4気筒自然吸気)。どちらもハードウェアはキャリーオーバーだ。
ハイブリッド仕様は制御に手を入れることで、エンジンの始動頻度を減らしたという。さらに、ダッシュボード、ルーフ、フロアの各遮音材と防音材の厚み、配置を見直し、エンジン始動頻度の低減と合わせて静粛性を向上させている。
FF(2WD)仕様はダンパーとEPS(電動パワーステアリング)を見直した。具体的には、小入力の際によりしっかり動くよう前後とも減衰力を落としたという。大入力が入った際はこれまでどおりしっかり減衰を出す設定だ。クルマの動かし方を変えたので、それに合わせてEPSのパラメーターを調整。これもブラッシュアップの一環である。
安全運転支援システムのホンダセンシングについては、急アクセル抑制機能を追加。前方に障害物がなくても作動し、後退時も作動するようになった。全グレードにディーラーオプションで設定する。また、渋滞運転支援機能のトラフィックジャムアシストは、65km/h以上だったステアリングアシストの作動範囲を0km/hから作動するようにした。
ホンダコネクトでは、スマートフォンでドアロック操作・解除やエンジン始動ができるリモート操作に、パワーテールゲートの開閉操作機能を追加。ホンダスマートキーを持っていなくても、リモートでテールゲートの開閉ができるようになった。このように、ブラッシュアップは広範囲におよんでいる。
ボディカラー(G/e:HEV X/e:HEV Z) プラチナホワイト・パール(3万8500円高) プレミアムサンライトホワイト・パール(6万0500円高) スレートグレー・パール(VEZEL新色)(3万8500円高) クリスタルブラック・パール プレミアムクリスタルレッド・メタリック(6万0500円高) シーベットブルー・パール(ホンダ新色)(3万8500円高) ボタニカルグリーン・パール(VEZEL新色)(3万8500円高) e:HEV X HuNTパッケージ プラチナホワイト・パール(3万8500円高) スレートグレー・パール(3万8500円高) クリスタルブラック・パール(3万8500円高) シーベット・ブルー・パール(3万8500円高) ボタニカルグリーン・パール(3万8500円高)