価格設定も攻めた実力派SUV「ホンダWR-V」【最新国産新型車 車種別解説 HONDA WR-V】

日本、タイ、インドとグローバルな環境下で開発が行われ、23年12月にデビューした「ホンダ WR-V」。Wi-Fi、Bluetoothなどのソフト面ももちろん、大型のスマホでも対応する収納が多く用意され、装備はまさに今時のクルマ。ボクシーなスタイリングは力強く、アクティブでタフな印象。車内の空間も大きく、シートのゆとりも大きい。
REPORT:島﨑七生人(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:平野 陽/井上 誠 MODEL:荏崎ろあ

割り切ったではなく本質を極めたホンダの新顔

ヴェゼル、ZR-Vに続く、目下ホンダの国内向けSUVでは3機種目となるWR-V。発売は2024年3月22日から。車名はWinsome(楽しさ、快活さ)Runabout Vehicleの意味をもつ。開発は日本、タイ、インドの連携、生産はインドで行なわれる。

エクステリア

同じホンダで車体サイズもほぼ同じヴェゼルが流麗なシルエットなのに対してWR-Vは無骨な箱っぽいデザイン。タフな印象を与えるとともに、スクエアな車体は後席居住性や荷室容量など実用面にも貢献する。最小回転半径は5.2m。

全長×全幅×全高は4325㎜×1790㎜×1650㎜。ヴェゼルとは全長が5㎜短いだけ、全幅は同一で、全高はWR-Vの方が60〜70㎜高くホイールベースも40㎜長い。グランドコンセプトは「VERSATILEFREESTYLER」で多様なライフスタイルやニーズに適応でき、自由に自分らしいスタイルで生きることを念頭に置いている。

スタイリングは、コンパクトなクルマながら逞しく、いかにも頑丈そうな仕上がり。最低地上高は195㎜とし、「どこへでも行けそうな走破性、堅牢性、安心感を表現したデザイン」(金子宗嗣LPL)にまとめられた。他方インテリアは、後席ダイブダウンなどは省かれ全体にシンプルなつくりながら、必要にして十分な設えといったところ。コンパクトなクルマながら、秀逸なパッケージングなのも注目点だ。

乗降性

パワートレインは、1.5ℓのDOHC i-VTECガソリンエンジン+CVT、FFのみのシンプルな構成。グレードはX、Z、Z+の3タイプで、標準装備の内容に若干の差はあるものの、安全/運転支援機能のHonda SENSINGは全タイプに標準装備するほか、4G、Wi-FiW、Bluetooth対応のHonda CONNECTを搭載。209万8800円〜248万9300円と250万円を切る価格設定も大きな魅力だ。

インストルメントパネル

水平基調を強調した意匠。ダッシュボードの左右端はドアにめり込む造形で左右の広がりを演出している。ナビ画面や空調スイッチは手が届きやすい範囲にあるのも美点。駐車ブレーキはサイドレバー式だ。

実車は〝割り切った〞というより、とにかく〝本質を極めた〞印象。驚かされるのは全高を活かした室内空間のゆとりで、特に後席は見上げるとラウンド形状の天井により頭上空間が清々しく広いほか、やや中央寄りに座ることでドア側、肩まわりの窮屈感もない。前席背面は僅かに凹ませてあり、膝前のゆとりも十分。窓が広く視界は明るく、何といっても見切りが後方まで伸ばされたドア開口部の大きさはまさに特筆に値するところで、実にスムーズで自然な姿勢での乗降性を実現している。見るからに広く深いラゲッジスペースも使い勝手が良さそうだ。

居住性

インパネは最近のホンダ車に見られる水平基調で、機能が手際よく配置されている。Aピラー付け根が手前に引かれ、フードの中央部を凹ませたデザインにより前方視界は良好で、車両感覚もつかみやすい。走りも実に爽快だ。1230㎏(Z、Z+)の車重に対してエンジン性能はまったく不満がなく、ごく普通のアクセル操作でもリニアな加速感をつくり出すCVTのおかげで、ストレスなく気持ちのいい走りが実現されている。多少エンジン回転を上げてもノイズレベルも許容範囲内に収められている。

うれしい装備

大型のスマートフォンでも置けるスペースがたくさん用意されていることに、今どきのクルマを実感。センターコンソールにも、実質的にスマートフォン専用の置き場と思えるポケットが2個(=運転席の人と助手席の人の分)用意されている。
後席の膝まわりや頭上のスペースは同門のヴェゼルを超える広さ。後席中央を倒すとアームレストとして使える。
新規デビュー        23年12月21日
月間販売台数         NO DATA
WLTCモード燃費      16.4km/ℓ※「X」  

ラゲッジルーム

乗り心地もコンパクトなクルマながらフラットで快適な味わい。ステアリングの操舵感、レスポンスも全域でごく自然で、クルマが思いどおりの挙動を示してくれ、誰でも安心して運転していられる……そんな素直な素性が実感できるクルマだと思う。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.156「2024 最新国産新型車のすべて」の再構成です。

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