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■大衆車から脱皮を目指し上級化した6代目カローラ
1987年(昭和62)年5月15日、トヨタの6代目「カローラ」が発売。初代以来、市場の要求に応え大型化・上級化したカローラだが、6代目は大衆車から完全に脱皮し、クラスを超えた上級車に迫るクルマへと変貌した。
●日本のモータリゼーションを牽引したカローラ
今から58年前の1966年、日本を代表する大衆車カローラが誕生。1961年にデビューした小型大衆車「パブリカ」よりワンランク上の小型大衆車として、ユーザーの上級志向に応える大衆車となることがカローラの使命だった。
スタイリングは、当時最先端のデザインであったセミファストバックを採用。パワートレインは、最高出力60psを発揮する1.1L直4 SOHCエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はFRである。
当時は、高速道路の建設ラッシュが進み、大衆車でも高速道路をスムーズに走れることが求められた。カローラは、開発目標として巡航速度100km/hが最高速度の75%以下、3速の最高速度が100km/h以上、0-400m加速が20秒以下であることを掲げ、いずれの目標もクリアした。
初代カローラは、発売から3年半で100万台を超える大ヒット、当時のミリオンセラー最短記録を達成した。7ヵ月前にデビューし、同じく人気を獲得したライバルの日産自動車「サニー」ととともに、日本のモータリゼーションをけん引するという重要な役割を果たしたのだ。
●市場のニーズに応えながら進化したカローラ
セダンから始まったカローラだが、市場のニーズに応えつつ大型化・上級化しながら、クーペやハッチバック、ワゴンなどバリエーションも増やしていった。
・2代目(E20系1970年~):ボディを拡大し居住性を高め、クーペとライトバンを追加
初代のスポーティモデル「カローラスプリンター」が、兄弟車「スプリンター」として独立。1972年には、高性能エンジンを搭載したTE27型「カローラレビン/スプリンタートレノ」が追加され、レビン/トレノの歴史が始まった。
・3代目(E30系1974年~):ニーズに応えた豊富なバリエーション
ハードトップ、バンに、3ドアリフトバックと2ドアファストバッククーペを追加。搭載したエンジンとトランスミッションも多彩なバリエーションを用意した。
・4代目(E70系1979年~):シャープな直線基調のスタイリングに
さらにボディを拡大し、現在のカローラフィールダーの祖となるワゴンモデルが誕生。現在も人気が高いAE86型「カローラレビン/スプリンタートレノ」が登場した。
・5代目(E80系1983年から):FRからFFに変更
4ドアセダンなどファミリー向けは、シリーズ初となるFFを採用。一方で、スポーツモデルのクーペタイプはFRが続投された。
●クラスを超えてワンランク上の車格となった6代目
6代目カローラは、“クラスを超えた世界のハイクオリティセダン”をコンセプトに開発され、上級車にせまるワンクラス上のセダンとクーペ(レビン)を主軸とした。
従来型より全高を低くした上で、全長と全幅を拡大しワイド&ローのスタイリングに変貌。加えて快適でゆとりある室内スペースを確保し、高級感かつ高品質なキャビンに仕立てられた。エンジンは、セダンに1.3L直4 SOHCと、1.5L直4 DOHC(ハイメカツインカム)、1.6L直4 DOHC(スポーツツインカム)、1.8Lディーゼルの4種を設定。駆動方式はFFだが、1989年10月にはセダンにカローラ初の4WDが設定された。
車両価格は、4ドアセダンが88.3万~153.2万円に設定。当時の大卒初任給は15.8万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では129万~223万円に相当する。
1990年には車名別年間新車販売台数で30万8台を記録。この記録は、2010年に「プリウス」に抜かれるまで歴代最多だった。また6代目の発売と同時に、「カローラレビン」もフルモデルチェンジ。カローラレビンとしては5代目AE92型となり、この世代からレビンもFRからFFに変更になったことが、大きな変更点である。
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新型(12代目)カローラが2024年4月2日から発売となり、かつての大衆車のイメージからは程遠い、上質でスポーティなモデルへと変貌した。カローラの強みは、時代のニーズに合わせて進化し続けていることだと思うが、大衆車から脱皮し始めたのはこの6代目カローラからではないだろうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。