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■燃費だけでなく走りもレベルアップして人気を加速した3代目
2009年（平成21）年5月18日、トヨタの3代目「プリウス」がデビュー。1997年に誕生し世界中に衝撃を与えた初代プリウスは、その後も進化を続け、3代目プリウスはエンジン排気量の拡大と進化版THS IIで、世界トップの燃費と優れた動力性能を達成した。
●一般的なガソリン車の2倍の燃費で世界を驚かせたプリウス
世界初となる量産ハイブリッド車プリウスは、1997年12月にデビューした。THS（トヨタハイブリッドシステム）は、アトキンソンサイクルを適用した1.5L直4エンジンと2つのモーター／発電機、動力分割機構を組み合わせたシリーズ・パラレルハイブリッドである。
THSは、遊星ギアを利用してエンジンとモーターを連結し、状況に応じてエンジンとモーターの両方の動力を適正に使い分ける。バッテリーの容量に余裕があればモーター走行し、また減速時にはモーターを発電機として使用しバッテリーに充電する減速回生ブレーキシステムを採用して、世界トップレベルの燃費28.5km/L（10・15モード）を達成して世界を脅かせた。
●初代の約10倍の販売台数を記録した2代目プリウス
初代プリウスは、燃費は優れていたものの走りについては一部から不満の声が聞かれた。2003年9月に初めてのモデルチェンジで登場した2代目の目標は、さらなる燃費の向上とともに気持ち良い走りを実現することだった。
エンジンは初代と同じ1.5Lだったが、ハイブリッドシステムは駆動電圧の高電圧化やモーター出力を33kWから50kWに高めた新世代THS IIを搭載し、燃費は35.5km/L（10・15モード）へ向上。また、初代に比べて加速はスムーズになり、高速走行の非力さもかなり改善された。
2代目プリウスは、2011年までの約8年間で119万2000台（国内販売36万台）を販売、これは初代の約10倍であり、実質的には2代目プリウスこそが世界にその名を認知させたといえる。
●さらに完成度を高め、年間販売台数トップとなった3代目
さらなる進化を目指した3代目プリウスは、2009年のこの日デビューした。3代目のTHS IIは、モーター出力（50kW→60kW）の増大とともに、エンジン排気量を1.5Lから1.8Lへと拡大し、エンジン＋モーターの最高出力は110psから136psへと大きく向上し2.4Lクラスの性能が実現された。
さらに、先進的な流線形のスタイリングによる世界トップクラスのCd値0.25を実現した空力性能、電動ウォーターポンプや排熱回収器の採用により、燃費は世界トップの38.0km/L（10・15モード）を達成した。
そして驚くことに、これだけ多くの先進技術を採用しながら、車両価格は何と先代より30万円近く安い205万円（低グレード）に設定。ハイブリッドは高いという市場の声を一蹴し、3代目プリウスも2代目に続いて爆発的なヒットとなり、ついに年間販売ランキング第1位を記録した。
また2006年から2008年にかけてガソリン価格が最高180円/Lぐらいまで高騰し、世界的にエコ意識が高まったことも強い追い風になったようだ。
●新型（5代目）プリウスはスタイリッシュなクーペに大変身
2023年1月10日、5代目となる新型プリウスが華々しくデビューを飾った。注目は、これまでのプリウスとは全く異なる、ロングノーズ＆ショートデッキで構成されるスポーティなクーペスタイルに大変身したこと。
新型プリウスには、1.8Lと2.0Lエンジンを組み合わせた2つのハイブリッドモデルを用意。2.0Lモデルでは、エンジン＋モーターのシステム全体の最高出力は、従来比の約1.4倍の193psまで向上し、燃費については先代プリウスの32.1km/L（WLTCモード）に対して、1.8Lが32.6km/h（2.0Lは、28.6km/h）と、僅かだが改善している。
ハイブリッドの代名詞となり、エコカーの代表となったプリウスだが、5代目にして初めて高性能をアピールポイントにした“スタイリッシュでよく走るプリウス”へと舵を切ったのだ。
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3代目プリウスは、それまで課題とされてきた走りと高速燃費を改善し、プリウスを世界の舞台へと飛躍させた。その後も進化し続けているプリウス、EVがクローズアップされる中で、どこまでHVのパイオニアであるプリウスが進化するのか、興味は尽きない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。