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コンパクトなボディに高い運動性能を備える
クロストレックは、インプレッサと基本部分を共通化したSUVで、実質的にXVの後継車種だ。全長は4480㎜、全幅は1800㎜、全高は1575㎜だから、SUVではボディが比較的コンパクトで全高も低い部類に入る。最小回転半径は5.4mと小回りが利き、混雑した街なかでも運転しやすい。その一方でSUVらしく、最低地上高は200㎜を確保した。悪路のデコボコを乗り越えやすく、駐車場と道路の段差が大きな場所でも、ボディの下側を擦りにくい。最低地上高の余裕は街なかでもメリットになる。
エクステリア
インパネなどの内装も基本的にはインプレッサと共通で、視認性や操作性が良い。ATの操作もレバーを前後に動かすタイプで、オーソドックスだが馴染みやすい。リミテッドに標準装着、ツーリングではオプション設定になる11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイは、サイズが大きく縦長のデザインだ。カーナビの地図画面を進行方向を上に表示したとき、遠方の様子がわかりやすい。内装の装飾は控え目だが、つくり込みはていねいで質感も満足できる。
乗降性
前席は従来型のXVに比べると改善され、背中から大腿部に掛けて、骨盤を中心に身体をしっかりと支える。シートのサイズにも余裕があり、身体を確実にホールドしながら座り心地は適度に柔軟だからリラックスできる。後席は床と座面の間隔が十分に確保され、窮屈な姿勢にならない。身長170㎝の大人が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシふたつ半の余裕があり、全長は4500㎜以下でもファミリーで長距離を快適に移動できる。
インストルメントパネル
クロストレックのパワーユニットは、水平対向4気筒2.0ℓエンジンに、マイルドハイブリッドを組み合わせたe-BOXERだ。駆動方式は、前輪駆動の2WDとAWDを用意する。動力性能は2.0ℓエンジンの平均水準になる。パワフルではないが、2500rpm前後の実用域に余裕があって運転しやすい。4000rpmを超えると吹き上がりが活発になって伸びの良さも味わえる。走行安定性は、全高を1600㎜以下に抑えたこともあり、SUVでは優れた部類に入る。ステアリング操作に対する反応は自然な印象で、後輪の接地性も高いから安心感が伴う。特にAWDが注目され、前後に駆動力を配分する多板クラッチの制御が巧みなので、アクセルを戻した状態で下りカーブを曲がるときでも安定性が高まる。
居住性
乗り心地は、時速40㎞以下で街なかを走ると少し硬く感じる。グレードによる違いもあり、18インチタイヤを装着するリミテッドは、17インチのツーリングに比べて一層硬い印象になる。ステアリング操作に対する反応は、18インチのリミテッドが若干機敏だが、快適性を重視するならツーリングを推奨したい。
うれしい装備
新規デビュー 22年9月15日 月間販売台数 2102台(23年6月~11月平均) WLTCモード燃費 16.4km/ℓ※FF車
ラゲッジルーム
それにしてもクロストレックは、最低地上高を200㎜に設定しながら全高を1600㎜以下に抑えたことで、舗装路での安定性と悪路走破力を両立させた。ボディはコンパクトで運転しやすく、その割に後席を含めて居住性は快適だ。合理的につくり込んだため、ファミリー層を含めて幅広いユーザーに適する。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.156「2024 最新国産新型車のすべて」の再構成です。http://motorfan-newmodel.com/integration/156