車名は変われど連綿と続く魅力の継承「スバル・クロストレック」【最新国産新型車 車種別解説 SUBARU CROSSTREK】

2010年に誕生したスバルXVを実質的に引き継ぐモデルとしてデビューした「スバル・クロストレック」。インプレッサとベースを共有し、コンパクトで小回りの利くボディサイズは街なかでも機敏。全高を抑えつつ最低地上高はSUVとしての高さを得て、アウトドアでも街なかでも走行安定性は抜群だ。シーンを選ばない柔軟なモデルと言える。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:田丸りさ

コンパクトなボディに高い運動性能を備える

クロストレックは、インプレッサと基本部分を共通化したSUVで、実質的にXVの後継車種だ。全長は4480㎜、全幅は1800㎜、全高は1575㎜だから、SUVではボディが比較的コンパクトで全高も低い部類に入る。最小回転半径は5.4mと小回りが利き、混雑した街なかでも運転しやすい。その一方でSUVらしく、最低地上高は200㎜を確保した。悪路のデコボコを乗り越えやすく、駐車場と道路の段差が大きな場所でも、ボディの下側を擦りにくい。最低地上高の余裕は街なかでもメリットになる。

エクステリア

フロントは厚みを感じさせる高いフード位置により逞しさを表現するとともにフロントグリルなどで軽快さと精悍さを出す。リヤは、キャビンを絞り込むことでフェンダーの張り出しを強調し、安定感を表現している。最小回転半径は5.4m。

インパネなどの内装も基本的にはインプレッサと共通で、視認性や操作性が良い。ATの操作もレバーを前後に動かすタイプで、オーソドックスだが馴染みやすい。リミテッドに標準装着、ツーリングではオプション設定になる11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイは、サイズが大きく縦長のデザインだ。カーナビの地図画面を進行方向を上に表示したとき、遠方の様子がわかりやすい。内装の装飾は控え目だが、つくり込みはていねいで質感も満足できる。

乗降性

前席は従来型のXVに比べると改善され、背中から大腿部に掛けて、骨盤を中心に身体をしっかりと支える。シートのサイズにも余裕があり、身体を確実にホールドしながら座り心地は適度に柔軟だからリラックスできる。後席は床と座面の間隔が十分に確保され、窮屈な姿勢にならない。身長170㎝の大人が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシふたつ半の余裕があり、全長は4500㎜以下でもファミリーで長距離を快適に移動できる。

インストルメントパネル

インパネはカーボン調の加飾でスポーティに演出。タブレット端末のような、縦長の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイは「Limited」に標準装備で、「Touring」はオプション設定となる。

クロストレックのパワーユニットは、水平対向4気筒2.0ℓエンジンに、マイルドハイブリッドを組み合わせたe-BOXERだ。駆動方式は、前輪駆動の2WDとAWDを用意する。動力性能は2.0ℓエンジンの平均水準になる。パワフルではないが、2500rpm前後の実用域に余裕があって運転しやすい。4000rpmを超えると吹き上がりが活発になって伸びの良さも味わえる。走行安定性は、全高を1600㎜以下に抑えたこともあり、SUVでは優れた部類に入る。ステアリング操作に対する反応は自然な印象で、後輪の接地性も高いから安心感が伴う。特にAWDが注目され、前後に駆動力を配分する多板クラッチの制御が巧みなので、アクセルを戻した状態で下りカーブを曲がるときでも安定性が高まる。

居住性

乗り心地は、時速40㎞以下で街なかを走ると少し硬く感じる。グレードによる違いもあり、18インチタイヤを装着するリミテッドは、17インチのツーリングに比べて一層硬い印象になる。ステアリング操作に対する反応は、18インチのリミテッドが若干機敏だが、快適性を重視するならツーリングを推奨したい。

うれしい装備

「Touring」にはブラック塗装、「Limited」にはダークグレー塗装のルーフレールをオプション設定。荷物を積める容量を増やせるのはもちろんだが、SUVらしいルックスの獲得にも貢献する。
新規デビュー      22年9月15日 
月間販売台数      2102台(23年6月~11月平均)
WLTCモード燃費    16.4km/ℓ※FF車

ラゲッジルーム

それにしてもクロストレックは、最低地上高を200㎜に設定しながら全高を1600㎜以下に抑えたことで、舗装路での安定性と悪路走破力を両立させた。ボディはコンパクトで運転しやすく、その割に後席を含めて居住性は快適だ。合理的につくり込んだため、ファミリー層を含めて幅広いユーザーに適する。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.156「2024 最新国産新型車のすべて」の再構成です。http://motorfan-newmodel.com/integration/156

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