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■空力を極めたダイナミックなスタイリングが特徴のA80型スープラ
1993(平成5)年5月24日、トヨタのフラッグシップスポーツ「スープラ」の4代目A80型がデビュー。スープラは、日産自動車「フェアレディZ」の対抗馬として登場し、A80型スープラは独特のスポーツカーらしいスタイリングと力強い走りで、日米で高い人気を獲得した。
●3代目セリカXX(A70型)から国内も海外名スープラを名乗る
国内で初めて登場したスープラは、「セリカ」をベースに1978年に誕生した上級スペシャリティカー「セリカXX」の3代目A70型である。セリカXXは、誕生当初から海外ではスープラと名乗ったが、1986年にモデルチェンジし3代目となった時点で、日本でもスープラを名乗ることになった。
A70型スープラは、名車「トヨタ2000GT」の血統を継承したピュアスポーツで、“TOYOTA 3000GTスープラ”というキャッチコピーを掲げた。ロングノーズ&ショートデッキで構成される3ドアハッチバックで、リトラクタブルヘッドライトや大型エアカットフラップなどを採用し、シャープなシルエットが注目された。
トップグレード「3000GTターボ」には、当時最強の230psを発生する3.0L直6 DOHCインタークーラー付ターボ、7M-GTEUを搭載し、0-100km/h加速が6.4秒、最高速度は232km/hと圧巻の走りを披露。その他にも、日本初のツインターボを搭載した2.0L 直6 DOHC、1G-GTEUとNA(無過給)エンジンも用意され、多くのファンを魅了した。
●シャープなスタイリングからマッチョに変貌した4代目(A80型)
A80型スープラは、シャープなシルエットだった先代から一転、エアロダイナミクスを追求した低重心のダイナミックなフォルムに変貌し、テールを大胆に切り落としたウェッジシェイプが個性的だった。
軽量かつ高剛性のボディに、ハンドリング性能と乗り心地を両立させる4輪ダブルウィッシュボーン、ブレーキには4輪ベンチレーテッドディスクブレーキを装備。パワートレインは、最高出力225psの3.0L直6 DOHCのNA(無過給)と280psのツインターボ、2JZ-GTEの2種エンジンと、ゲトラグ製MTおよびLUK製電子制御OD付4速ATの組み合わせ、駆動方式はもちろん伝統のFRだ。
その他にも、走行安定性と操縦安定性の向上のため、新開発のトラクションコントロールや横Gセンサー付4輪ABS、トルセンLSD(リミテッド・スリップデフ)も設定され、最も人気のあったRZ(6MT/2JZ-GTE)が423万円で販売された。ちなみに、当時の大卒初任給は18.5万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算で現在の価値でMT仕様(RZ)が約526万円に相当する。
個性的なスタイリングと力強い走りで、日米で高い人気を獲得したA80型スープラだったが、2000年を迎え排ガス規制や燃費規制に膨大なコストがかかるようになり、2002年にいったん生産を終了した。
●全日本GT選手権で大活躍したA80型スープラ
走り自慢のA80型スープラは、スーパーGTの前身であるJGTC(全日本GT選手権)のGT500クラスに、「セルシオ」や「レクサスGS」に搭載された4.3L V8エンジンをチューンナップした3UZ-FE改ユニットに換装して挑戦した。
1995年フル参戦しA80型スープラが初優勝し、1996年はチームランキング2位、1997年には6戦中5勝を達成。そのうち2勝して安定した走りを見せたトムスがシリーズチャンピオンに輝き、A80型スープラはついにJGTCで初タイトルを獲得した。
またA80型スープラは、大ヒット映画「ワイルド・スピード」シリーズで登場し、クルマ好きだけでなく、世界中の映画ファンからも熱い視線を集めた。
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A80型スープラは、生産終了後も中古車市場では未だ人気があり、日本を代表するスポーツカーの1台である。一方、A80型の生産中止から17年後の2019年5月に新型「スープラ(DB型)」(商品名:GRスープラ)が待望の復活を果たし、再び注目を集めた。
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