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■100年以上、数々の激闘を繰り返してきたル・マン24時間レース
1923(大正12)年5月26日、フランスの北西部に位置するル・マン市のサーキットで、一昼夜24時間どれだけ走れるかを競う、第1回「ル・マン24時間耐久レース」が開催された。100年以上にわたり、先進技術を試す舞台として自動車の進化に大きく貢献しているレースである。
●24時間一昼夜、ドライバーが交代しながら連続走行する耐久レース
ル・マン24時間レースは、「WEC(FIA世界耐久選手権)」シリーズを代表するレースで、世界3大耐久レースのひとつ。また、F1のモナコGP、米国のインディ500とともに、「世界3大レース」のひとつと位置付けられている歴史あるレースでもある。
世界3大耐久レースの残り2つは、“スパ・フランコルシャン24時間レース(ベルギー)”と“デイトナ24時間レース(米国)”。権威あるル・マン24時間レースに権威あるレースに参加するためには実績が求められ、主催者ACO(フランス西部自動車クラブ)の厳しい審査をクリアする必要がある。
レースは、1周13.6kmのコース(2/3は、公道)を一昼夜24時間でどれだけ多く走れるかを競う。当初は、コースの反対側にレース車を配置し、ドライバーが反対側からコースを横切って乗車する“ル・マン式スタート”が採用され、ル・マンの名物となっていたが、危険なことから1972年からは一般的な“ローリングスタート”に変更された。また、24時間連続して走行するので、安全面を考慮し、ドライバーは交代しながらレースを行う。
●第1回レースの優勝は、フランスのシュナール・ワルケル社スポール
記念すべき第1回のレースには、18のメーカーからフランス31台、ベルギーと英国から各1台の計33台が出走した。優勝したのは、フランスのシュナール・ワルケル社の「スポール」で、平均速度は約92km/h。ちなみに、2019年の優勝車(トヨタ GAZOO Racing)は平均速度約219km/hだった。
1980年代以降、日本からマツダ、トヨタ、日産、ホンダが参戦し、1991年にマツダがロータリーエンジン搭載車「マツダ787B」で記念すべき日本車初の総合優勝を飾った。2016年には、トヨタが優勝目前の3分前で予期せぬマシントラブルでポルシェに逆転されるという、まさに“ル・マンには魔物が棲んでいる”と言われるように、悲運に見舞われたのは、記憶に新しいところだ。
しかし、その悲運を乗り越え2018年、ついにトヨタは総合優勝を飾った。その後も5連覇を果たしたが、2023年は、残念ながらフェラーリ「499P」に続き第2位だった。
●歴代の日本優勝車と優勝ドライバー
【日本メーカーの優勝車】
・1991年:マツダレーシング「787B」
・2018~2020年:トヨタ・GAZOO・Racing「TS050 HYBRID」
・2021~2022年:トヨタ・GAZOO・Racing「GR010 HYBRID」
【日本人の優勝ドライバー】
・1995年:関谷正徳(マクラーレン・国際開発レーシング「F1 GTR」)
・2004年:荒 聖治(アウディスポーツジャパン・チームゴウ「アウディR8」)
・2018年~2020年:中嶋一貴(トヨタ GAZOO Racing「TS050 HYBRID」)
・2021年:小林可夢偉(トヨタ GAZOO Racing「GR010 HYBRID」)
・2022年:平川 亮(トヨタ GAZOO Racing「GR010 HYBRID」)
そして、2024ル・マン24時間レースは6月12日(水)~16日(日)、サルトサーキットで開催される。
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ル・マン24時間レースの優勝車は、その時代の先進技術を搭載したマシンが優勝してきた。2000年以降は、ディーゼルターボが圧倒し、2010年からはハイブリッド車が主役になっている。まさに、先進テクノロジーを試す舞台であり、ル・マン24時間レースの役割がこれまで以上に高まっている。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。