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■低重心のスタイリッシュなミニバンに変貌した3代目
2005(平成17)年5月27日、ホンダの人気モデル「ステップワゴン」の3代目がデビュー。1996年に誕生して5ナンバーミニバンのパイオニアとして大ヒットしたボクシーな初代ステップワゴンに対して、3代目は低重心のスタイリッシュなフォルムに変貌を遂げた。
●乗用車ベースの5ナンバーミニバンとして大ヒットしたステップワゴン
1996年に誕生したステップワゴンは、シビックをベースにしたFFベースのボクシーなミニバン。最大の特徴は、5ナンバーの3列シートながら低床化と高いルーフにより、余裕の室内空間と快適性を実現したこと。
パワートレインは、125psの2.0L直 4 DOHCエンジンと4速ATの組み合わせ、ミニバンとしては軽量なので走りは満足できるレベル。駆動方式はFFを基本とし、オンデマンド式4WDも用意され、RV的な用途にも対応できた。
FRの商用車ベースのミニバンが一般的だった当時、FF乗用車のプラットフォームで作り上げた手頃な5ナンバーサイズのステップワゴンは、発売から3年間ミニバン首位を独走する大ヒットを記録した。
ステップワゴンは、従来のセダン系のファミリーカーとは異なる、3列シートで8人乗車も可能な新しい形のファミリーカーを提案したのだ。
●キープコンセプトで快適性を高めた2代目
人気の初代のコンセプトを継承し、さらに利便性や快適性を高めた2代目は2001年に登場。先代と同じように大きなグラスエリアを持つ、短いボンネットのボクシーなスタイリングながら、先代よりも洗練された印象を与えた。
2代目の特徴は、8名が快適にくつろげる初代以上の広い室内空間であり、3列シートで“3列フルフラットシート”や“対座モード”、“カーゴモード”、“レストランモード”の4種のレイアウトが楽しめたこと。パワートレインは、160psを発揮する進化型2.0L直4 DOHC VTEC(可変バルブ機構)エンジンと、4速ATの組み合わせ。駆動方式は、FFとオンデマンド式4WDの先代と同じシステムが用意された。2代目も引き続き好評を得たが、初代ほどの人気は獲得できなかった。
●人気を引き継ぐも、ライバル登場で人気に陰りが見え始めた3代目
2005年のこの日、ステップワゴンは2度目のモデルチェンジを行ない、それまでのボクシーなスタイルから、低い姿勢のスタイリッシュなフォルムの3代目に移行。開発コンセプトは、“ミニバンの空間のゆとりとセダンの走りの質の両立”だった。
改良のポイントは、それまでの片側スライドドアから、市場から要望が強かった両側スライドドアに変更、さらなる低床化によって乗降性を改善したこと。また、低床化とともに車高も下げ低重心化したことにより、走行安定性も向上し乗用車感覚の運転フィーリングが楽しめるようになったこと。
エンジンは、先代と同じ2.0L直4 DOHC VTECエンジンだが、トップグレードには排気量を2.4Lに拡大したエンジンを追加。トランスミッションは、4速および5速AT、駆動方式は先代同様FFと4WDが用意され、車両価格199.5万~281.4万円で販売された。
ステップワゴンは、3代目販売中の2008年7月に累計台数で100万台を突破したが、その後はトヨタの「ヴォクシー/ノア」、日産自動車「セレナ」の強力なライバルが登場し、人気は徐々に右肩下がりになった。そして、現在も3つの人気モデルによる“三つ巴”状態の激戦が続いている。
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現在、コンパクトミニバンから高級ミニバンまで多種多様なミニバンが市場を席巻している。そのような中、ステップワゴンはファミリーカーとして最適な5ナンバーサイズのミニバンという新たなジャンルを開拓し、3代目はボクシーなスタイルからスタイリッシュなミニバンへと舵を切った世代である。
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