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カーエアコンの仕組みを知ればリフレッシュ方法が分かる
カーエアコンから冷たい風が出る仕組みは、冷媒となるエアコンガスを一度液体になるまで圧縮し、再び気体へと戻るときに周囲の熱を奪う気化潜熱という現象を利用している。
これはちょうど、注射の前のアルコール消毒が冷たく感じるのと同じメカニズムだ。そして、この動作原理はカーエアコンも家庭用エアコンもほぼ同じである。
家庭用エアコンを清掃をしないでいると悪臭がするように、カーエアコンも定期的な清掃が必要だ。また、カーエアコンは走行振動などでガスが漏れやすく、家庭用エアコンに比べて性能低下が起きやすい。
カーエアコンを快適に使うには定期的なメンテナンスが必須といえるだろう。カーエアコンのリフレッシュは、悪臭の原因除去とエアコン性能回復がおもな目的となる。
内部洗浄やエアコンフィルター交換で悪臭を除去
悪臭対策の基本は清掃だ。カーエアコンの送風配管内は結露によって湿度が高く維持されるため、配管内やエアコンフィルターやにゴミやホコリが溜まるとカビやダニの繁殖を促し悪臭が発生する。
カーエアコンから出る、酸っぱい臭いの原因は配管内の湿気やホコリで発生したカビの臭いだ。
悪臭に対する最も手軽な対処方法は、エアコンフィルターの清掃および交換と言えるだろう。エアコンフィルターの交換目安は、年に1回もしくは走行距離1万〜2万kmとされており、空気が汚れた地域で使うクルマほど早いサイクルでの交換が求められる。
エアコンフィルターを交換しても臭いが消えない場合は、ブロアファンやエバポレーター、送風配管内壁の汚れが原因である場合が多い。
「ブロアファン」とは送風ファンのことであり、エアコンフィルターと同じくホコリが溜まりやすい箇所だ。
「エバポレーター」は冷気を放出するエアコンシステムの核となる部品であり、結露の大元でもある。エバポレーターはラジエーターのように複雑な形状をしているためホコリやゴミが付着しやすくカビも発生しやすい。
またエバポレーターやエアコンフィルターが目詰まりを起こすことで、風量も低下しがちだ。
冷えない原因の多くは漏れによるエアコンガス不足
装置の故障でないかぎり、冷風の温度が下がらない原因のほとんどはエアコンガスの不足だ。
エアコンを作動させた状態で、エンジンルーム内にある「サイトグラス」と呼ばれるチェック窓に気泡が多く見えるようならエアコンガス不足が確定的となる。
エアコンガスが徐々に漏れ出すのは正常だが、2〜3年で補充が必要になるようなら一度点検をしてもらおう。毎年補充しなくてはならないようなら修理をしてもらったほうがよいだろう。
また、量だけでなく、エアコンガスの状態にも注意したい。コンプレッサーの内部潤滑に必要なオイルもガスと一緒に抜け出てしまうため、ガス漏れを放置すると装置の故障にもつながる。エアコン動作時に異音が発生するようならエアコンガスとともにエアコンオイル補充も必要だ。
加えて、クルマが古くなってくるとエアコンガス配管内にゴミや湿気が侵入し性能低下の原因になる。配管内の湿気が凍結して詰まると温度が下がりづらくなるばかりか部分的に負圧となり、そこからさらに水分やゴミが混入しやすくなる悪循環に陥ってしまう。
エアコンガスがしっかりと入っているのにも関わらず効きが弱いと感じるなら、エアコンガスやオイルを洗浄しながら総入れ替えする「エアコンガスクリーニング(エアコンフラッシング)」を検討してみるとよいだろう。
簡単な作業ならDIYでも! 暑くなる前にエアコンの不安を取り除こう
エアコンフィルター交換は、位置さえ分かればDIYでの作業も可能だ。抗菌タイプや脱臭タイプなどの高性能エアコンフィルターに交換することでも悪臭発生を抑制できる。
エアコンガスやエアコンオイルの補充も「ガスチャージホース」と呼ばれる圧力メーター付きの専用ホースが必要になるが、特別難しい作業ではない。
ただし、エアコンフィルターはメーカーや車種によって適合が細かく分かれている点には注意しよう。エアコンガスやエアコンオイルも車種や年式によって適合する規格が異なるため、購入時には入念な確認が必要だ。
専用機器が必要になるエアコンガスクリーニングは業者へ依頼しよう。エアコンフィルターよりも奥まった位置にあるエバポレーターやブロアファンの清掃も、DIYでの作業は困難なため業者に頼むのが賢明だ。
専門業者だけでなくディーラーやカー用品店などでも、こうしたエアコン関連のリフレッシュメニューが用意されているため積極的に活用するとよいだろう。
簡単な作業はDIYで行うことで、かかる費用を最小限に抑えられる。重要箇所は無理せず専門業者を頼り、本格的に暑くなる前にエアコンの不安を取り除いておこう。