マツダ、CO₂キャプチャーでカーボンネガティブに挑む

マツダは、スーパー耐久シリーズ第2戦「富士SUPER TEC 24時間レース」の決勝前(5月25日)に、スーパー耐久への取り組みを説明した。会見には、マツダ 技術研究所所長 山本寿英氏、CN・資源循環戦略部部長 木下浩志氏、ファクトリモータースポーツ推進部マネージャー 上杉康範氏、車両開発本部シャシー開発部主幹 奥山和宏氏、エグゼクティブフェロー MAZDA SPIRIT RACING 代表 前田育男氏が出席した。

マツダのスーパー耐久ST-Qクラス(自動車メーカーが開発車両で参戦するクラス)での取り組みは、2021~2022年がSTEP1で、デミオでカーボンニュートラル(CN)燃料(ユーグレナ油脂を使ったサステオ100)を使うことからスタートした。

マツダのST-Qでの取り組み
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2024年は、55号車 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptと12号車 MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF conceptの2台で参戦。富士24時間に2台で参戦するのは初である。

2024年は燃料でカーボンニュートラルを達成するだけでなく、CO₂回収技術なども搭載してカーボンネガティブ(CNではなく)を目指す。つまり、走れば走るだけ空気をきれいにしていく技術の開発だ。

CNに関わるトータルソリューションの実証実験として藻類由来のバイオ燃料研究によって作られるバイオ燃料を使うだけでなく、CN素材(再生カーボン使用部品)研究や軽量化技術、CNエンジンオイル研究、そしてCO₂回収技術も開発する。

トータル110%(つまりカーボンネガティブ)を目指す。

バイオ燃料によるCO₂削減効果を90%とすると、そこから20%のCO₂キャプチャーすることで、トータル110%(つまりカーボンネガティブ)のCO₂削減効果を目指す。

CO₂回収技術の研究も進める。

第2戦の富士24時間からは、排気抵抗と車両重量配分の改善、ガソリンエンジン向けターボチャージャー(可変容量機構)およびエキゾーストマニフォールドの耐熱性アップなど、走行特性や耐久性の向上などクルマとしての走りの向上を実施。さらにカーボンニュートラルのための車体軽量化技術開発として、980MPaのハイテン材を使用したロワーアームなどを投入した。

第2戦富士24時間からの織り込み技術として、MAZDA3に搭載する2.2L直4ディーゼルにガソリンエンジン向けのVNT(可変ノズルターボ)を採用した。排気温度がより高いガソリンエンジン向けのターボチャージャーを使うことで、ターボチャージャーとエキゾーストマニフォールドの耐熱性を向上させた。
皆既バルブはナトリウム封入バルブ(単一穴径)から「ハイパー中空バルブ」へ進化させた。

第5戦からはMAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF conceptにCNエンジンオイルを投入する予定だ。

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著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…