ホンダ「アコード・ユーロR」登場! タイプRほどじゃないけど、実用性も走りも極めた253.3万円のスポーツグレード【今日は何の日?6月1日】

ホンダ「アコード・ユーロR」
ホンダ「アコード・ユーロR」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日6月1日は、ホンダの6代目「アコード」のマイナーチェンジで「アコード・ユーロR」が誕生した日だ。欧州ですでに発売されていた「アコード・タイプR」を、日本では実用性を考慮した仕様にしてアコード・ユーロRとして投入したのだ。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)

■6代目アコードに実用性と走りを両立させたユーロRを追加

2000年(平成12)年6月1日、ホンダの6代目「アコード」に高性能2.2L VTECエンジンを搭載した「アコード・ユーロR」を追加したことを発表(発売は翌日)。究極の走りを追求したタイプRとは違う、“セダンとしての実用性と走りの両立”を目指した6代目アコードのスポーツグレードである。

ホンダ「アコード・ユーロR」
2000年に国内デビューしたホンダ「アコード・ユーロR」

●全車VTECエンジンを搭載し、4WDを設定した6代目アコード

1997年に登場した6代目アコードは、先代の3ナンバーからそれまでの5ナンバーサイズへとダウンサイジングし、全車にVTECエンジンが搭載され、FFに加えてアコードとして初の4WDが設定されたのが特徴だ。

ホンダ6代目「アコード」
1997年にデビューしたホンダ6代目「アコード」

ボディタイプは、4ドアセダンと5ドアステーションワゴンの2タイプで、先代よりも全長と全幅が縮小され、引き締まったシャープなフォルムに変貌。セダンには、1.8L&2.0L直4 SOHCと同DOHCのVTECエンジン、ワゴンには最高出力200psを発生する2.3L直4 SOHC VTECエンジンが搭載され、トランスミッションは4速ATと5速MTが用意された。
さらに、デュアルエアバッグやABS、ハイグレードには国産FF車初となるVSA(車両挙動安定化制御)が標準装備され、安全性能が強化されたことも注目だった。

●実用性も考慮しながら走りを追求したユーロRを追加

ホンダ「アコード・ユーロR」
ホンダ「アコード・ユーロR」

2000年のこの日に行なわれたマイナーチェンジで、6代目アコードのスポーツグレードとしてアコード・ユーロRが投入された。ホンダのスポーツグレードといえば「タイプR」だが、ユーロRはサーキットでの速さを追求するのではなく、“セダンとしての実用性や快適性と走りの両立”をコンセプトに開発された。
大人4人が余裕で乗れる広い車内空間や遮音性、マイルドな走行フィーリングといった高級セダンとしての性格をしっかりと残しつつ、スポーティさを追求した装備となっている。パワートレインは、最高出力220ps/最大トルク22.5kgmを発生する2.2L直4 DOHC VTECエンジンと6速MTの組み合わせだった。

ホンダ「アコード・ユーロR」
ホンダ「アコード・ユーロR」に搭載された2.2L VTECエンジン

その他にも、レカロ製バケットシートやMOMO製ステアリング、サスペンションは専用設計のダブルウィッシュボーン、ブレーキはベンチレーテッドディスクブレーキを採用し、さらに15mmのローダウン化と軽量16インチホイールにより走行性能を高めた。
車両価格は、253.3万円に設定。当時の大卒初任給は19.7万円程度(現在は23万円)なので、単純計算で現在の価値では約296万円に相当する。

●ユーロRは、マイルドな大人向け

ホンダ「アコード・ユーロR」
ホンダ「アコード・タイプR」のリアビュー

タイプRは、サーキット志向の究極のスポーツモデルとして1992年に「NSX」、1997年に「インテグラ」と「シビック」に設定され、アコードも1998年に欧州で発売されたが、日本には投入されなかった。
一方のユーロRは、本格的なスポーツ性能を実現していながら、セダンとしての実用性や快適性も備えた大人向けのタイプRのようなモデルであり、走行フィーリングもよりマイルドに仕上げられている。とはいえ、ユーロRのエンジンはチューンナップされ、タイプRの212psを上回る220psを発生していた。

ホンダ「アコード・ユーロR」
ホンダ「アコード・タイプR」のスポーティなコクピット

タイプRとしなかった理由は、そもそもユーロRは欧州高性能セダンに負けないセダンとして開発されたスポーツモデルであり、日本で浸透したタイプRのブランドと混同しない、あるいは損なわないために、差別化したのだ。

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実用性を重視し少しばかりマイルドに仕上げられたユーロRは、究極の走りを目指すタイプRに対して中途半端な立ち位置になったのかもしれない。新しいスポーツセダンを提案したユーロRだったが、タイプRのインパクトが強烈なためだろう、市場では十分浸透しなかった。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…