マンタ先輩は併催のクラシックレースに出場
メーカーワークスのGT3マシンによるギリギリのバトルは近年のニュルブルクリンク24時間レースの面白さだが、かつてはファミリーカーやワンボックスカーにロールケージを組んだような状態で参戦できた懐の広さもニュルの魅力だった。残念ながら両者の速度差がありすぎて危険なため、そうしたマシンはほぼ絶滅状態だ。
そんな状況のなかでもなんとか走り続けてきたのがご存じ「オペル・マンタ」だ。1988年に初参戦し、度重なるクラッシュに遭ってもなんとか修復して毎年復活してくる姿にファンのみならず主催者からもその存在感を「ニュルに欠かせない存在」として認識されてきた。ニュル名物マシンとして輝いてきた。実際、昨年のレースにも参戦し、117周を完走して総合74位/クラス2位に輝いている。
ところが今年はエントリーにマンタの名前がないことから心配している方も多かったのではないだろうか。
そんなこんなでパドックを歩いているとマンタに遭遇! 調べたところ、サポートレースの「ADAC 24h-Classic Youngtimer」に参戦していた。
追いかけてドライバーに話を伺ったところ
「ひどいクラッシュに何度も遭ってそのたびになんとか直して去年も出場したけど、今のGT3とはあまりに速度差がありすぎて、マンタが走る適切なカテゴリーではないと考えた。クラシックのオールドタイマーがちょうどいい。日本にもマンタを応援してくれているファンがたくさんいるんだよな。どうもありがとう」と、寂しくもうれしそうに説明してくれた。
マンタはBMW E30やE36、ポルシェ964カップカーといった新しめの旧レーシングカーとともに、クラッシックレースでさっそうと走行し、31位で完走している。
ダチア・ロガンは2023年のクラッシュで今後の参戦断念を発表していたが・・・
2023年ニュル24時間レースでは、ポルシェ911 GT3 Rとのクラッシュで全損状態となったオリス・ガレージ・レーシングのダチア・ロガンは、レース直後にニュルブルクリンク24時間レース参戦プロジェクトの終了を招いたと発表していた。チームはその理由として、損傷したエンジンの調達が現在では不可能であることを挙げている。
ルーマニアの自動車メーカーのダチアが製造するロガンはやはりGT3マシンとの速度差は非常に大きく、「走るシケイン」とも揶揄されてきたが、そんな心配が昨年は現実のものとなってしまった。ドライブしていたマクシミリアン・ヴァイサーメルは、メディカルチェックのため地元の病院に運ばれたが、無事が確認された。ダイナミックの54号車ポルシェをドライブしていたラウリン・ハインリッヒには、クラッシュの過失があるとして3000ユーロ(約45万円)の罰金が言い渡された。
そんなダチア・ロガンだったが、チームはファンからの寄付などで資金を調達してマシンの修復に着手。みごと2024年ニュルブルクリンク24時間レースに元気な姿をみせ、スタートを切っている。世界中からの熱い声援を集め、ダチア・ロガンは必死に走り続けている。
赤旗中断中
今年もクラッシュをはじめ予想できないことが起こり続けるニュルブルクリンク。天候も非常に不安定で、スタート時はドライだったもののすぐに雨が降り始め、スリックタイヤでスタートしたマシンはフォーメーションラップ後ストレートを通過せずにそのままピットインするマシンが多く見られた。
現在9:00。朝になって明るくなってきてはいる出ているが、外は真っ白だ。果たしてレース再開はいつになるのか。。。
※その後、レースコントロールより9:30走行再開都のインフォメーションがありました。
(写真&レポート:渡辺文緒)