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■プラドに待望のクリーンディーゼル車が復活
2015(平成27)年この日、4代目「ランドクルーザー・プラド」にディーゼル車が追加。日本では、2008年からディーゼル車に当時世界で最も厳しいポスト新長期規制が施行されため、プラドは2007年以降ディーゼル車の投入を断念していたが、約8年の時を経て新規制に適合したクリーンディーゼル車を復活させたのだ。
●ランクルの派生車として誕生したライト感覚のプラド
ランドクルーザー・プラド(70系)は、1990年ランドクルーザーの派生車でランクルより小ぶりでライト感覚のオフロードSUVとして誕生した。
プラドは、3ドア5人乗りショートボディと、5ドア8人乗りロングボディを設定。パワートレインは、電子制御2.4Lディーゼルターボと5速MTおよびCVTの組み合わせ。駆動方式は副変速機付パートタイム4WDが用意された。
オフロード性能を生かしながらも、ランクルよりも扱いやすい身近なプラドは、オールラウンダーSUVとして人気を獲得。その後、ガソリン車も加え、2代目90系(1996年~)、3代目120系(2002年~)、4代目150系(2009年~)とモデルチェンジしながら、パワーアップしラグジュアリーなSUVへと進化した。
ところが、2009年に当時、世界一厳しいとされたディーゼル車の国内ポスト新長期規制が施行された。ポスト新長期規制は、それまでの新長期期規制に対してPM(粒子物質)とNOxを半分以上低減する必要があるため、プラドは2007年にディーゼル車を断念し、ガソリン車のみとなった。
●ポスト新長期対応で先行したエクストレイルとパジェロ
プラドが撤退したディーゼル車だったが、日産自動車「エクストレイル」は2008年、三菱自動車「パジェロ」は2010年に、ポスト新長期対応のクリーンディーゼル搭載モデルを投入していた。
ポスト新長期規制に対応するためには、NOxを低減するNOx触媒とPMを低減するDPF(ディーゼルパテキュレートフィルタ)の装着が不可欠。日産も三菱も多少の違いはあるが、燃焼室やコモンレール噴射システムなど燃焼系の改良に加え、DPFとリーンNOx触媒を装着して、ポスト新長期規制をクリアしたのだ。
その後、マツダがSKYACTIV-Dでポスト新長期規制をクリアし、積極的にディーゼル乗用車を投入。当然ながらプラドにもクリーンディーゼル車を期待する声が高まったが、トヨタは8年間プラドにディーゼル車を追加することをしなかった。
●プラドは尿素SCRシステムでポスト新長期規制をクリア
2015年に4代目プラドに搭載されたクリーンディーゼルエンジンは、新開発の2.8Lコモンレール噴射のディーゼルターボで、最高出力177ps/最大トルク46kgm、JC08モード燃費11.8km/Lと、高性能と低燃費を両立させた。
エンジン本体は、圧縮比の低減やコモンレール噴射システム、燃焼室形状の最適化などで改良。注目の排ガスシステムについては、日産と三菱が採用したリーンNOx触媒でなく、尿素SCRシステムを採用しNOxを低減してポスト新長期規制の適合に成功したのだ。
ディーゼルターボは、ガソリンエンジンよりも低中速トルクが高いため、スピード走行よりも力強いトルクを必要とするオフロード走行に向いている。プラドのようなオフロードSUVにとっては、ディーゼルエンジンが適しているのだ。
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2010年頃から数年間、各メーカーからポスト新長期規制をクリアしたクリーンディーゼル車が燃費の良さをアピールして続々と登場した。しかし、ディーゼルは排ガス低減のための開発リソースとコストがかかり、一方で電動化技術の低コスト化が進んだことで、この10年ディーゼル車の普及は停滞している。ディーゼルが得意とするプラドのようなオフローダーでも、レスポンスよく高トルクが発生できるBEVで代替できる可能性があるのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。