外装はキープコンセプトでも中身は大幅刷新「ダイハツ・ムーヴ キャンバス」【最新軽自動車 車種別解説 DAIHATSU MOVE CANBUS】

柔和でおっとりとしたイメージを醸し出すフロントフェイスと同様に誰にでも優しい使い勝手を進化させて登場した2代目「ダイハツ・ムーヴ キャンバス」。パール系&メタリック系ツートンカラーの「ストライプス」とシックな色合いの「セオリー」シリーズを提案し、ユーザーの選択をわかりやすく導くラインナップ。穏やかな日常使いに寄り添う一台と言える。
REPORT:河村康彦(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:菅原樹里亜

新装備追加で使い勝手が充実 普段乗りで不満ない走行性能

2016年に初代が登場して以来、約6年ぶりに初のフルモデルチェンジを行なったのが現行のムーヴキャンバス。初代が好調を博したこともあって、世代交代は一見してキープコンセプトのポリシーに基づきながら行なわれていることは明らかだ。

エクステリア

初代の母娘という主要ユーザーから支持層が広がったことで、2代目は大人の落ち着いた雰囲気の「セオリー」系を設定。シックなカラーを基調にサイドやリヤにメッキ加飾を配して上質感を演出している。最小回転半径は4.4m。

多くの軽自動車が見た目上でベースモデル以上に強い押し出し感を表現するカスタム系を設定する中で、ムーヴキャンバスは敢えてそうした手法を採っていないことがひとつの特徴。その一方で、凝った塗り分けを特徴とするツートーンカラーを備えた「ストライプス」系とシンプルなモノトーンの「セオリー」系と今回はカラーリングの違いによるシリーズ分けにトライ。「ストライプス」系を「等身大嗜好の若年層に共感してもらえる仕様」、「セオリー」系を「上質で落ち着いた世界観による仕様」と謳いつつ、ともにトップグレードにターボ付きエンジンを搭載するモデルを用意する3グレードずつのラインナップ展開を行なっている。

乗降性

モデルチェンジによる変わり映えの少なかったエクステリアに比べると、インテリアの変更はより明確。中でも、従来型の特徴であったセンターメーターがステアリングホイールを通して読み取るオーソドックスなレイアウトへと変わったことが目を惹くことになる。従来型でもすでに十分広いと思えたキャビン空間に大きな差異は感じられないが、カップホルダーの保温機能や降車時に予約しておけば次の乗車時にキーを持って接近するだけでアンロックとオープン動作を行なうスライドドアの〝ウェルカムオープン機能〞など、上級グレードにより念の入った新装備が用意されたことは見逃せないポイントだ。

インストルメントパネル

ブラウンとネイビーの組み合わせは軽では少数派で、個性的なコーディネートといえる。「セオリーG」系には、本革巻きのステアリングやシフトノブ、専用メーターを用意。

キャラクターを鑑みて初代モデルにはあえて設定しなかったものの、少なからぬ要望もあって2代目には設定したというターボ付きエンジン搭載モデルが全般によりゆとりのある動力性能を発揮し、それゆえにアクセル踏み込み量が小さくなるのでCVTが選択するエンジン回転数もより低めになることで静粛性でもアドバンテージがあるという印象は間違いのない事柄。

居住性

特に街乗りシーンではことさらに急ぐようなシーンに遭遇しない限りは、自然吸気モデルでも大きな不満は抱かなかったというのもまた事実。そこには、最新のアーキテクチャー〝DNGA〞の新採用によって、数十㎏レベルという大幅な軽量化が実現されたことも功を奏しているに違いない。ターボ付きモデルであってもややおっとりとしたハンドリングの感覚など、率直なところその走りのポテンシャルに見るべき部分が大きいとは思えないものの、同時にコーナリングが不安になるほどの大きなロール感や直進性への頼りなさなど、現在でも一部の軽自動車が払拭できないでいるウィークポイントが目立つことがないのもまた事実。

うれしい装備

「ウェルカムオープン機能」は予約ボタンを押してから施錠すると、次の乗車時には自動で解錠し、スライドドアも開く。
月間販売台数     6707台(23年7月~12月平均値)
現行型発表      22年7月
WLTCモード燃費    22.9 ㎞/ℓ ※自然吸気のFF車

ラゲッジルーム

ホッコリとする見た目と優れた実用性、普段乗りで不足を感じることのない走りの性能などをバランス良く両立させるなど、要所要所がきちんと押さえられていることに感心されられる一台でもある。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.157「2024 軽自動車のすべて」の再構成です。

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