ほど良い全高+スライドドアのいいトコ取りハイトワゴン!「スズキ・ワゴンR スマイル」【最新軽自動車 車種別解説 SUZUKI WAGON R SMILE】

“街中を低速で使用するパーソナルカー”というユーザーターゲットが伺える「スズキ・ワゴンR スマイル」。誰もが自然に乗降できるシートの高さやアシストグリッドなど、生活に密着したシーンにうれしい配慮が各所に光る。運転席も見晴らしがよく、安心感のある視界。キュートなフォルムにシンプルな作りとコストは軽自動車の老舗モデルらしい良心的な一台だ。
REPORT:石井昌道(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:中野孝次 MODEL:大須賀あみ

愛らしい内外装意匠が好印象 走りや乗り心地は街乗り重視

以前は全高1700㎜を超えるスーパーハイトワゴンのみにスライドドアが採用されていたが、2016年にダイハツ・ムーヴキャンバスが全高1655㎜ながらスライドドア付きとなって登場するとスマッシュヒット。その対抗馬として開発され、21年に発売されたのがワゴンRスマイルだ。

子どもの頃からスーパーハイトワゴンやミニバンで育ってきた若者世代は、スライドドアが当たり前。特に女性ユーザーには好まれるそうだ。でもそれほど背は高くなくても良いというニーズは、意外なほど多い。ファミリーではなく、パーソナルユースだけどスライドドア必須ということなのだろう。

エクステリア

最上級グレードの「ハイブリッドX」にはメッキのドアハンドルやバックドアガーニッシュなど専用装備が与えられる。ホイールキャップがボディカラーに応じたツートーンとなるのも差別化ポイントだ。最小回転半径は4.4m。

全高は1695㎜でワゴンRの1650㎜とスペーシアの1785㎜のちょうど中間。ボクシーなフォルムの中に、丸や曲線を散りばめて愛嬌のあるデザインとなっているのは、メインターゲットが女性だからだろう。スマイルというネーミングもしっくりとくる。ツートーン8色、モノトーン4色とボディカラーが多彩に用意されており、どれも個性的。インディゴブルー×ホワイトツートーンルーフならばシックなので、男性ユーザーでもサマになりそうだ。インテリアも大きな円形のメーターや天井のキルティング加工などで愛らしい雰囲気だ。

乗降性

グレードは上級から「ハイブリッドX」「ハイブリッドS」「G」の3種類で、上位2種はマイルドハイブリッド仕様。エンジンは自然吸気のみでターボはなし。マイルドハイブリッドには最高出力2・6㎰、最大トルク40Nmのモーターとリチウムイオンバッテリーを搭載。駆動アシストもするが、燃費改善が主な役割だろう。

インストルメントパネル

助手席の加飾パネルは、アイボリーパールを含めた3色を用意。メーターの4.2インチカラーインフォメーションディスプレイは見やすく、9インチナビはオプションだ。

運転席に乗り込んでみると意外やヒップポイントが高く、ワゴンRよりもスペーシア寄り。遠くまで見晴らしが効くので、混雑した街なかでも安心して運転できそうだ。エンジンは必要十分といったところだが、それなりの大きさと重さがあるワゴンRスマイルなので、登坂路や多人数乗車のときにはアクセルを多めに踏む必要があるため、そのときはエンジンもやかましく唸ることになる。基本は1〜2名乗車のパーソナルユースで、街なかを低速で使うのがメインとなるだろうから、割り切っているということになる。

居住性

乗り心地にも割り切りは感じられる。ソフトタッチで快適な街乗り重視なのだ。ステアリングギヤ比は比較的にスローであまりキビキビとは動かないのだが、サスペンションとの相性は良い。ワインディングロードに連れ出してコーナーをそれなりのペースで走ってみると、やはりロールは大きめであまりそういったシーンには向いていないように思える。とはいえ、弱アンダー気味の特性に終始するので危ないことにはなりにくく、不慣れなドライバーにとって安心感が高いのは確かだ。

うれしい装備

月間販売台数     7080台(22年7月〜12月平均値)※ワゴンRスティングレー/ワゴンR含む
現行型発表       21年8月
WLTCモード燃費     25.1km/l ※ハイブリッド車

ラゲッジルーム

ターゲットユーザーの使い方にはぴったりあった特性であり、コスト高にならないようシンプルに仕上げているのは良心的。少しだけクルマ好き向けのターボモデルなどもラインナップされれば、ユーザー層が広がりそうだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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