MAZDA3 e-SKYACTIV-X搭載モデル 1回目の車検がきた

SKYACTIV-X搭載のMAZDA3、3年3万2000kmで車検。燃費、費用、フィーリングはどう?

MAZDA3 SKYACTIVX搭載モデル。購入から3年。初回の車検を迎えた
火花点火制御圧縮着火(SPCCI)のガソリンエンジン、e-SKYACTIV-Xを積んだMAZDA3のファストバック、AWDの6速MT仕様が手元に届いて3年が経過し、まったくのノートラブルで初めての車検を迎えた。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

車検の費用は?

メーターに表示される燃費計は、満タン法と比べると3-5%は甘めに表示されるようだ。

車検時の走行距離は32,094km、満タン法による平均燃費は16.2km/Lだった。3年間の付き合いでメーターの平均燃費計は数字が甘めに表示されることがわかっており、例えば、給油時に18.5km/Lと表示されても、実際の給油量と走行距離から燃費を計算すると17.7km/Lだったりする。3-5%は甘めに表示されると思っておいたほうがよさそうだ。

車検整備にともなって支払った金額と内訳は以下のとおりだ。

・車検整備にともなう整備代 58,465円
・諸費用(自賠責、重量税など) 54,450円
・パックdeメンテ前払い金 −47,740円
・パックdeメンテ加入(次の2年分) 80,300円
・マツダ延長保証加入(次の2年分) 26,500円
総支払額 171,975円

新車購入時に6ヵ月ごとの点検整備と初回車検をセットにしたパックdeメンテ36ヵ月コースを購入していたので、車検整備にともなう整備代から前払い分が差し引かれた。整備にあたってはエアコンのフィルター、リヤワイパーのゴム、エアクリーナーの交換、それに室内清掃を追加でお願いしたので、それらの分も含んだ金額だ。

今回のパックdeメンテのメニューには、エンジンオイル、オイルフィルター、ブレーキ&クラッチフルード、フロントワイパーゴム(2本)の交換が付帯されていた。ありがたかったのはフロントワイパーゴムの交換だ。経年劣化でゴムが硬くなったせいか、この数ヵ月、ビビリ音に悩まされていた(拭き取り機能に問題はなかった)。

前回の6ヵ月点検時に交換をお願いしようと打診したところ、「車検の際の交換部品に含まれていますよ」と聞いて、半年我慢してきたのだった(皮肉なもので、新品に交換して以来、雨天走行を経験していない……)。

総支払い分のうち、80,300円は次の2年分のメンテナンス費用を前払いしたようなもの。マツダ延長保証は3年で保証が終了する一般保証(オーディオ、ナビ、エアコン、電動ドアミラー、電動ドアロック、パワーウィンドウなどの修理代が無料になる)の保証を2年間(ただし10万kmまで)延長する内容だ。エンジンやブレーキなど、走行性能や安全に関わる部品をカバーするメーカー特別保証は5年10万kmまでサポートされる。純粋に、車検整備にともなう整備代と諸費用に関して今回支払った額は、約54,000円だった。

車検整備の結果、エンジンをはじめ走行機能系部品にも、バッテリーやブレーキパッド、タイヤの状態にも問題がないことがわかった。ありがたいことに快調である。

先日、2023年4月に何度目かの商品改良を行なったMAZDA3ファストバックに触れる機会があった。e-SKYACTIV G 2.0の2.0L直4ガソリンエンジンを積む20S Retro Sport Edition(レトロスポーツエディション)である。

我が愛車のディスプレイは8.8インチ
改良後のMAZDA3は10.25インチディスプレイを装備。うーむ、こっちの方がいい。
改良後はカップホルダーがふたなしに。でもワイヤレス充電がついた。
センターコンソール内のUSB端子がUSB-AからCになった。

商品改良で施された進化の内容についてはほとんど、「こっちのほうがいいな」と思った。例えば、8.8インチだったセンターディスプレイは10.25インチになった。地図が見やすいし、文字が大きく表示されて判読しやすい。

Apple CarPlay(有線および無線)に対応したのは、iPhoneユーザーの筆者にとって歓迎すべき変更点であり、現行MAZDA3のユーザーがうらやましい。センターコンソールの前端にスマートフォンのワイヤレス充電機能が設けられたのも、今回の商品改良で進化したポイント。この変更に合わせてフタ付きだったカップホルダーがフタなしになった。

フタありのほうがすっきりしていていいと思うが、どっちを取るかと言われればワイヤレス充電機能である。ただし、ケースに入れた筆者のiPhone(6.7インチ)ではサイズが大きすぎるようで、うまく置かないと充電してくれなかった。

センターのコンソールボックス内にあるUSBの端子(2口)がUSB-AからUSB-Cになったのも変更点だが、これまでほとんど使ってこなかったので、筆者にとってはあまり影響のない変化点である。

SKYACTIV-Xはやはり魅力的だ

革新的燃焼を実現したSKYACTIV-X。最近はあまり話題に上らないが、素晴らしいエンジンであることに変わりはない。

e-SKYACTIV G 2.0(6AT)の走りを体感したことで、e-SKYACTIV-Xの素晴らしさを改めて認識した。同じガソリンエンジンだが、火花点火と火花点火制御圧縮着火の違いは大きく、音は全然違う。定常運転時も緩加速でもフル加速でも、e-SKYACTIV-Xのほうがエキサイティングなサウンドを奏でる。

圧縮着火だからだろうか、音質的にはディーゼルとの共通性を感じる。ただし、ディーゼルように鼓膜に突き刺さるようなきつい音ではなく、角が丸まった感じ。火花点火制御圧縮着火のe-SKYACTIV-Xでしか成し得ない、独特の、いい音である。

e-SKYACTIV G 2.0(6AT)と乗り比べると、レスポンスの良さと力強さもよくわかる。e-SKYACTIV-Xの実力を実感するのは、高速道路で巡航中に先行車に追い付き、追い越しを仕掛けるようなシーンだ。e-SKYACTIV G 2.0はアクセルペダルをジワッと踏み込んでも加速態勢に移行しない。反応がないのでもう少し深く踏み込むと、シフトダウンしてエンジン回転を上昇させ、加速態勢に移る。

一方、e-SKYACTIV-X(6MT)にシフトダウンの必要はない。アクセルペダルを踏み増すと、即座に加速しはじめる。高出力モーターを搭載したBEVほど強烈な加速は期待すべくもないが、「これなら充分」と感じさせる頼もしさだ。エアサプライシステム(ルーツ式スーパーチャージャーだが、過給目的ではなくリーン燃焼させるための新気/新気+EGRを供給するのが目的なので、エアサプライと呼んでいる)を持ち、自然吸気よりも自由度高く吸気量を制御できるのも効いているのだろう。

レギュラーガソリン(e-SKYACTIV G 2.0)とハイオクガソリン(e-SKYACTIV-X)の違いがあるので燃費の差がそのまま燃料代の差につながるわけではないが、e-SKYACTIV G 2.0を400km弱走らせて実感したのは、(感覚的にではあるが)実用燃費はe-SKYACTIV-Xのほうがいいということだ(WLTCモード燃費どおりとも言える)。

依然としてドライブが楽しいMAZDA3

e-SKYACTIV-XだけがMAZDA3の美点ではないが、最大の購入動機だったのは間違いない。3年を経過した現在でも、乗り手を楽しませてくれ、毎回、乗り終わった瞬間に、「次はいつ乗れるんだっけ」と、次を期待させる気分にさせてくれる。車検だからといって、「次のクルマはどうしようか」という気持ちには、全然ならなかった。

そして依然として美しいスタイルも魅力的!

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…