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荷室の使い勝手はクラス随一 乗り心地や走行性能も好印
今の軽自動車はすっかりスーパーハイト……というか、スライドドアを備えるワゴンスタイルが主流だ。昨今の販売ランキングを見てもダイハツ・ムーヴやスズキ・ワゴンRは、一見まだまだ気を吐いている感もあるが、実際に台数を稼いでいるのはスライドドアのキャンバスやスマイルであることは想像に難くない。
エクステリア
一方、スライドドアのバリエーションをもたない日産デイズと、このホンダN-WGNは今やトップ10圏外である。特にN-WGNの順位は、軽自動車(というより国内乗用車)の不動の横綱というべき売り上げのN-BOXと比較すると、ちょっと寂しい気がしてしまうのは事実。しかし、実際にN-WGNに接すると、販売台数とはクルマそのもののデキの良しあしを正確に表しているわけではないことを痛感する。ファミリー層にも人気のスーパーハイトに対して「基本的に1〜2名乗車で、長く乗られがち」というハイトワゴンの特徴から、N-WGNは「飽きのこない道具」を意識したシンプルなデザインが特徴だ。それでいて、最も安価な「G」以外は全車LEDヘッドランプ(カスタムは9灯式フルLED)を採用したり、ジャージもしくはプライムスムースレザーのシート表皮も質感は十分高い。また、ステアリングには軽自動車で唯一のテレスコピック調整がつくなど、骨太なこだわりも多い。
乗降性
1675〜1725㎜というN-WGNの全高はハイトワゴンとしては少しだけ大きめなのは事実だが、実際の使い勝手はそれ以上。同種ボディ形式の中では利便性が明らかに高い。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトの利点を最大限に活用した荷室の広さはクラス随一で、後席を倒さずともタイヤ4本が積めるのは、1年に2回のタイヤ交換(=サマーとスタッドレスの入れ替え)が必要な積雪地ユーザーには有用だ。
インストルメントパネル
そんな荷室はさらに、専用ラゲッジボードを組み合わせて上下2階建ての荷室にしたり、倒した後席と完全フラットな空間を生み出すこともできる。また、後席下に収納トレーが設けられるのも、低床センタータンクレイアウトならではの美点だ。最近のスーパーハイトはどれも良く走るが、実際に乗り比べるとより低重心で軽量なボディを同じ技術で走らせるハイトワゴンの方が、運動性能や乗り心地面でワンランク有利なのは自明の理。現行N-WGNのプラットフォームは昨年デビューした新型N-BOXと基本的に共通。実際、走行性能や快適性は素直に素晴らしい。剛性感、乗り心地、静粛性、直進性、コーナリング性能と多くのコンパクトカーに引けを取らないどころか、勝っている部分も多い。
居住性
ターボエンジンならパワー不足は感じないだろうが、自然吸気エンジンがパワフルなのもホンダの伝統だ。N-BOXでも過不足なく走らせるエンジンなので、より軽量なN-WGNではまさに十二分。もちろんターボはさらにパワフルで静かに走るが、試乗が可能なら、ぜひ自然吸気モデルも試してみた方がいいだろう。
うれしい装備
月間販売台数 2963台(23年7月~12月平均値) 現行型発表 19年7月(マイナーチェンジ 22年9月) WLTCモード燃費 23.2 ㎞/ℓ ※自然吸気のFF車
ラゲッジルーム
CVTには独自のステップダウンシフト制御があって、以心伝心の加減速マナーを実現してくれている。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.157「2024 軽自動車のすべて」の再構成です。