1984年に誕生した190Eは、1986年にDTMに参戦、その後1989年に市販モデルとなる190E Evo Iを限定500台で発売。翌1990年には、よりエアロダイナミクス性能が高められた190E Evo IIが発売され、DTMで圧倒的成績を残し、伝説のツーリングカーとなった。
このたび生産ラインに投入される100台のモデルは、オリジナルのメルセデス190Eのデザインラインを多く残している。ただし、フロントエンドは構造体全体が交換されており、リヤエンドもスチールとアルミニウムの組み合わせで作られた構造体に、オリジナルの190E 2.5-16 Evo IIの形状を模倣した、特注のカーボンファイバー製ボディパネルを被せて外観を一新しているのが特徴だ。
オリジナルでは自然吸気の2.6L 直列4気筒エンジンを搭載していたが、HWAは、このエンジンを使用してアップグレードするのではなく、メルセデス・ベンツの3.0L V6ツインターボエンジンを使用することにした。ドライサンプ潤滑システムを装備し、標準仕様で最高出力444ps、最大トルク549Nmを発揮。オプションのアファルターバッハパッケージでは最高出力493ps、最大トルク549Nmを発揮するようアップグレードされている。このエンジンはフロントアクスル後方に配置され、50:50 の理想的な重量配分を実現している。
また後輪駆動で6速マニュアルトランスミッションと組み合わされ、標準モデルは最高速度270 km/hだが、アファルターバッハパッケージでは最高速度が298 km/hに達する。
サスペンションにも大規模に手が加えられており、前後ともダブルウィッシュボーンで、手動調整が可能なKWのダンパーセットが取り付けられている。より複雑な電子調整が可能なKWダンパーが、パフォーマンス パッケージ付きバージョン用に用意されている。ブレーキはフロントに6ピストンキャリパー付きの大型380 mm(15インチ)ディスク、リヤに4ピストンキャリパー付きの360 mm(14.1 インチ)ディスクが取り付けられており、カーボンセラミックはオプション設定となっている。
エクステリアに目を向けると、大胆なフロントスプリッター、そびえ立つリヤウィングはどれも非常にアグレッシブで、空力的な目的も果たしているようだ。
まだ車内の画像は公開されていないが、オリジナル車のメーターを再現したデジタルインストルメントクラスターが搭載されるほか、レカロシートが標準装備され、スマートフォンとの統合も提供されるという。
注目の価格だが、税抜きでなんと76万7000ドル(約1億2千100万円)からと、破格の設定になっている。