日産「セドリック」は10代目が最終モデル。先進技術満載し378万円~【今日は何の日?6月28日】

日産・セドリック/グロリア
日産・セドリック/グロリア
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日6月28日は、日産自動車の高級セダン「セドリック」の10代目が誕生した日だ。トヨタ「クラウン」とともに、長く日本の高級セダン市場をけん引したセドリックも、ついにこの世代で終焉を迎えた。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:、日産自動車、三栄・セドリック/グロリアのすべて

■ルノー傘下直後に登場したセドリックは10代目でラストモデルに

1999年(平成11)年6月28日、日産自動車の「セドリック」がモデルチェンジして10代目に移行した。セドリックは、トヨタの「クラウン」に対抗して1960年に誕生した日産を代表する高級セダン。長くクラウンとともに日本の高級セダン市場をけん引してきたが、この10代目が最後のセドリックとなった。

日産・セドリック/グロリア
日産・セドリック/グロリア

●トヨタの高級車クラウンに対抗して誕生したセドリック

トヨタ初代クラウンの「トヨペットクラウン」
1955年に誕生したトヨタ初代クラウンの「トヨペットクラウン」。日本初の純国産車

初代セドリックは、1955年に誕生した日本初の純国産高級車のトヨタ「トヨペットクラウン」の対抗馬として、1960年にデビューした。日産が初めて独自開発した6人乗りの高級セダンで、縦目4灯のフロントマスクとAピラーを前傾させたパノラミックウインドウなど、アメ車風のスタイリングが特徴だった。
モノコックボディにより車重を1195kgに抑えながら剛性を高め、さらに足回りはフロントがダブルウイッシュボーン/コイル、リアは3枚リーフ/リジッドサスペンションを装備し、高級車らしい乗り心地を実現。パワートレインは、最高出力71psを発揮する1.5L直4 OHVエンジンに4速MTの組み合わせ。

日産初代「セドリック」
1960年発売の1961年に誕生した日産初代「セドリック」。トヨペットクラウンに対抗した日産の高級セダン

車両価格は、クラウンと同額の101.5万円に設定され、日産のフラッグシップとしてスタート。その後、セドリックはモデルチェンジしながら、日本を代表する高級車としてクラウンと人気を二分したが、6代目(Y30型)以降は販売面ではクラウンに敵わなかった。

●激動の1999年に登場した最後の10代目セドリック(Y34型)

日産・セドリック/グロリア
日産・セドリック/グロリア

1990年代後半の日産は、経営的に非常に厳しい局面に立たされ、倒産寸前まで追い込まれていた。その結果、1999年3月にルノーとの資本提携を結び、ついにルノー傘下に収まった。そして、その渦中の6月のこの日に登場したのが、10代目セドリックだった。

日産・セドリック/グロリア
日産・セドリック/グロリア

10代目は、フロントからリアへ流れるような4ドアハードトップのフォルムに、個性的なヘッドライトと大型グリル、左右に抑揚をつけたフードなど斬新なデザインを採用。パワートレインは、最高出力280ps発生する直噴3.0L V6 DOHCターボエンジン(VQ30DET)と240psの3.0L V6 DOHCエンジン(VQ30DD)、210psの2.5L V6 DOHCエンジン(VQ25DD)、4WDには260psの2.5L 直6 DOHCターボエンジン(RB25DET)の4機種と、電子制御4速AT(E-ATx)の組み合わせが用意された。

日産・セドリック/グロリア
日産・セドリック/グロリア
日産10代目「セドリック」
日産10代目「セドリック」の豪華なインテリア

日産のフラッグシップにふさわしく、静粛かつ快適性に優れ、しかもパワフルに仕上がっていた。販売価格は、3.0L仕様で378万~494万円、ちなみに当時の大卒初任給は19.6万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で約444万~580万円に相当する。
その後もエンジンのパワーアップなどで積極的に商品力強化を図り、販売も堅調に推移した。しかし、日産の復活をかけた日産リバイバルプランでは、セドリック/グロリアは消え去り、代わりに新世代の高級セダン「フーガ」へバトンタッチすることが選択されたのだ。

日産・セドリック/グロリア
日産・セドリック/グロリア

●セドリック/グロリアの後継車フーガも、2022年に生産終了

日産・フーガ
2004年に日産・セドリック/グロリアの後継として登場した高級セダン「フーガ」

セドリック/グロリアの後継フーガ(Y50型)は、世界のプレミアムセダンと肩を並べる走行性能を持つスポーツセダンとして、2004年にデビューした。

低く構えたフロントマスクからロングノーズ、リアエンドと連続する伸びやかでボリューム感のある流麗なスタイリングが注目され、当時日産が果たしたV字回復の勢いもあり、フーガは順調に滑り出した。その後、2009年のモデルチェンジやハイブリッド車を追加するなどして商品力強化を図ったが、“セダン冬の時代”に逆らえず、ついに2022年に生産を終えることになったのだ。

日産・セドリック/グロリア
日産・セドリック/グロリア

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10代目セドリックは、先進の技術を盛り込んだ日産のフラッグシップに相応しいクルマだったが、企業が再生を図る場合、通常古いものを一掃して新世代商品に切り替えるのが常套手法である。10代目セドリック/グロリアも、日産リバイバルプランという大きな波に飲み込まれてしまったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…