【火曜カーデザイン特集】 1970年・第17回東京モーターショー トヨタEX7

トヨタ7のV8エンジンを搭載した未来クーぺ 50年前のコンセプトカー

第17回東京モーターショーが開催されたのは1970年10月。1970年は戦後25年を迎え、日本が大きく生まれ変わる時期だった。日本でミスタードーナツやケンタッキーフライドチキンが創業したのもこの年で、ライフスタイルも大きく変わろうとしていた。そして東京モーターショーは第17回の開催となったのだが、この年のコンセプトカーは歴史的に語り継がれるモデルが多く登場したのだった。

EX-Iの翌年に登場したハイエンドスポーツ

70年代最初の東京モーターショーにトヨタが登場させたのはEX7というハイエンドスポーツモデルだ。前回の69年にはEX-Iというモデルを登場させていたが、このモデルにはれっきとした狙いがあった。それは、70年に登場する初代セリカのコンセプトを明確に伝えることだった。

第17回東京モーターショーに登場したトヨタEX7。

果たして、この70年の東京モーターショーのトヨタブース最大の目玉は、EX-Iをイメージさせる新型セリカが大々的に展示され、そしてセリカをベースとしたセダンのカリーナの登場ということになったのだ。そんな狙いがあったために、比較的現実的なスタイルをしていたのがEX-Iだ。

同年の東京ショーでは、初代セリカやカリーナも大々的に展示された。

会場には発表したての初代セリカ&カリーナも

対する70年のEX7は、実に未来的。わずか1m程度と低い全高のモデルだけに、乗降性にも配慮してドアはルーフごと大きく開き、シートもリフトアップする仕組み。なのでミニスカートのお嬢さんも気楽に乗り降りできる。デザイン上の特徴はあえてフロントピラーをボディ内側に愛知したことで、大きく開くドアによってサイドウインドウに三次曲面構造が採用されたことによる。さらにミッドに搭載されるエンジンの吸気と冷却にドア全高分あるサイドスリットを採用するなど、独創的な構成が見られた。

EX7はトヨタ7の最終モデルをベースとしたドリームカー。1969年から参戦し、日産R380/381/382などと戦いを繰り広げた。

前年の東京ショーで展示されたEX-Iはセリカの予告ともなったが、この年のEX7は研究モデル。EXはExperimentalの意味もある。
ちなみにこちらが1969年の東京ショーに出品されたEX-I。

スリーサイズはL4300×W1842×H1050mm。ホイールベースは2250mmだ。ミッドシップとなるエンジンは当時のモーターファン誌によれば、V型8気筒の5ℓの”ターボエンジンらしい”と記されていたが、ノンターボの方だった可能性もあるようだ。当時のトヨタ7にはターボ仕様とノンターボ仕様が存在。もしターボ仕様であればレーシングカーのベースエンジンは800psの最高出力を持っていた。サスペンションは前後ともダブルウイッシュボーン式で、当然4輪ディスクブレーキを装備する。

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著者プロフィール

松永 大演 近影

松永 大演

他出版社の不採用票を手に、泣きながら三栄書房に駆け込む。重鎮だらけの「モーターファン」編集部で、ロ…