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■ダウンサイジング過給コンセプトでクラストップの走りと燃費を達成
2012(平成24)年7月16日、日産自動車は世界戦略車のコンパクトMPV「ノート」の2代目と、搭載した新型エンジンを発表(発売は9月3日)。世界戦略車として世界中でヒットした初代だが、2代目はスーパーチャージャーを搭載したダウンサイジング過給エンジンにより、さらなる走りと燃費の向上を実現した。
●初代ノートは、世界戦略車のコンパクトMPVとして世界中でヒット
リバイバルプランによって順調に業績が回復していた2005年1月、日産は世界戦略車としてコンパクトな新世代MPV(マルチパーパスビークル)の初代ノートを世界市場に投入した。
ノートは、欧州市場を意識した5ドアハッチバックで、大型ヘッドライトや厚みのあるフェンダーライン、ルーフまで回りこんだリアコンビランプなど、新鮮なデザインを採用。インテリアについては、高めのヒップポイントと低いウエストラインで見やすい視界、後席はロングホイールベースを生かして快適な室内空間を実現したのが特徴である。
パワートレインは、新開発の1.5L直4 DOHCエンジンと、CVT(2WD)および電子制御4速AT(4WD)の組み合わせ。駆動方式は、FFと電動式4WD(e-4WD)が用意された。
コンパクトながら余裕の室内空間と軽快な走りが評価された初代ノートは、2012年までに世界中で約94万台を販売するグローバルなヒットモデルとなった。
●注目のスーパーチェーチャージャー付直噴ミラーサイクルエンジン
2012年のこの日、モデルチェンジによって2代目がデビュー。基本的にはキープコンセプトだが、“スカッシュライン”と呼ばれるサイドボディのデザインによりダイナミックに変貌し、同時にボディ構造の見直しによって、さらに室内空間に余裕を持たせることに成功した。
2代目は、2種類のエンジンを用意。先代よりも排気量の小さい1.2L直3 DOHC NA(無過給)エンジンと、注目はスーパーチャージャー付1.2L直3 DOHC直噴ミラーサイクルエンジンだ。ダウンサイジング過給コンセプトによって、全域でレスポンスの良い走りとクラストップの燃費25.2km/L(JC08モード)を達成したのだ。
車両価格は、スーパーチャージャー搭載の標準仕様が、比較的リーズナブルな144.9万円。当時、欧州メーカーはダウンサイジング過給、日本メーカーはハイブリッドで燃費改良を進めていた。ダウンサイジングに消極的であった日本メーカーの中で日産は、ルノーの影響のためか、比較的積極的に採用を進めていた。
●ターボに比べて燃費悪化が避けられないスーパーチャージャー
日本のスーパーチャージャーエンジンの歴史は、1985年にトヨタの7代目「クラウン」で初めて採用され、バブル景気の勢いもあり、一時は競うように多くのモデルで採用された。しかし、1990年以降になると世界中で省エネが叫ばれるようになり、燃費が悪い過給(スーパーチャージャー、ターボチャージャー)エンジンは、いったん市場から淘汰された。
ところが、2005年頃から欧州メーカーが、燃費向上の切り札として、排気量を小さくして過給するダウンサイジング過給というコンセプトを積極的に展開。その場合も過給機のほとんどは、駆動損失によって燃費悪化を起こさず、高速域でも十分な過給ができるターボだった。
その後、日本でもダウサイジング過給の採用が増えたが、やはりターボを使ったもので、2代目ノート以降ではマツダのSKYACTIV-Xでスーパーチャージャーを使っているが、他に採用例はない。
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エンジンでコンプレッサーを回すため駆動ロスが発生するスーパーチャージャー。低速から過給できるメリットはあるものの、排気エネルギーの一部を回収してコンプレッサーを回すターボチャージャーに比べて原理的に効率(燃費)で劣る。何よりも燃費が重視される昨今、今後もスーパーチャージャーの復活は難しいだろう。
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