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意外と知られていない?マツダのWRCヒストリー
最近のマツダといえば、SUVをメインにしたおしゃれな自動車メーカーというイメージが強く、モータースポーツ活動を行っていることすら知らない人もいるかもしれない。かつては「マツダスピード」というメーカー直径のモータースポーツ関連会社が存在したが、現在ではパーツのブランド名としてその名が残るのみだ。今やモータースポーツとは関係が薄そうなマツダだが、今から30〜40年前にはWRC(世界ラリー選手権)で大活躍していたことをご存知だろうか。
1980年代初頭、のちにジャガーと組んで耐久レースやスーパーカーを手がけるTWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)と提携してサバンナRX-7(SA22C)をベースにしたグループ2マシンを製作。1981年、1982年のRACラリーに出場している。
マツダのラリー活動としてはこれが最初となるが、TWRのラリー活動はイギリス国内に限られている。このTWRチームと並行して、1981年「マツダ・ラリーチーム・ヨーロッパ」を結成し、国際的なラリー参戦に向けて活動を開始した。最初のラリーカーとして選ばれたのは、マツダ323、日本名・ファミリアだった。
マツダ323として二代目、ファミリアとしては五代目となるBD型で、日本ではサーファーに人気だったコンパクトハッチバック。ラリーカーは出力80psの1.3Lの直列4気筒NAエンジンを搭載し、グループAクラス5のカテゴリーに出場。ラリー・モンテカルロでグループAでは3位、5位、クラス5ではクラス1位、2位を獲得している。1985年には1.5Lエンジンに変更、さらにその年途中からはターボエンジンを投入している。
1985年1月、ファミリアがフルモデルチェンジされ、六代目のBF型が登場。トップグレードとなるGT-Xには、1.6L直列4気筒DOHCターボエンジンが搭載され、日本初のフルタイム4WD機構が採用されていた。さらにこのGT-Xをベースに、リヤにビスカスカップリングLSDを採用した、競技ベース仕様のGT-Aもラインナップされていた。
WRCには1986年の第2戦、スウェディッシュラリーからBF型が投入された。新たに採用されたDOHCターボのB6型エンジンは260psを発生。1987年からはフィンランド人ドライバー、ティモ・サロネンを起用し、スウェディッシュラリーで総合優勝を飾る。
マニファクチャラー・チャンピオンシップは6位を獲得。1988年はマニファクチャラーで4位、1989年にはスウェディッシュとニュージーランドで2勝を挙げるもののマニファクチャラーでは3位に終わる。ランチアやトヨタ、三菱とライバルが軒並み2.0Lターボを採用し、パワーの差が歴然となっていた。
その頃、ベースとなるファミリアがフルモデルチェンジとなり、上級グレードのGT-Xは1.8LのBPエンジンに変更。1990年からWRCにも新型を投入。この年からは新人トミ・マキネンを起用しているが、マシンの不調により思った結果が残せず。1992年にはパワーアップしたGT-Aが市販され、WRCにも投入予定だったが、バルブ崩壊による影響によりマツダがWRCから撤退することになり、GT-AがWRCに投入されることはなかった。
新車ワンオーナーで35年!35万kmを走破したファミリアGT-Ae
当時のマツダ・ラリーチーム・ヨーロッパは、白地にブルー、ライトブルー、スカイブルーの3色の青いラインが入るカラーリングだった。その懐かしいWRCカラーのファミリアが、昨年10月に富士スピードウェイで開催された「ラリーファンミーティング2023」に現れた。
今では最終モデルのBJ型ですら生産終了から20年が経過して、街中で見ることがほとんどなくなってしまったが、今から35年も前に生産終了したBFMR、しかもDOHCターボ+4WDのGT-Aでラリー仕様MRT(マツダ・ラリーチーム・ヨーロッパ)のカラーリング! これは写真を撮らずにはいられない。ということで、オーナーの寺田さんにお話を伺った。
当時からラリーが好きだった寺田さんは、ラリーのベース車両が欲しくて、35年前に新車で購入。特にマツダのファンというわけではなかったが、コンパクトなボディにDOHCターボエンジンを搭載したフルタイム4WDと、シャープなスタイルに魅力を感じたのだという。
寺田さんが購入したのは競技用ベース車両のGT-Aをベースに、エアコンやパワステをプラスして、後期型から追加されたGT-Ae。近所への買い物からロングドライブまでこの1台でこなしているので、オドメーターはすでに35万kmを超え、エンジンは一度オーバーホールを行なっている。
車齢35年を超えたファミリアは寄る年波には勝てず、リヤブレーキキャリパーからのフルード漏れやデスビの不調に見舞われてしまったが、純正の補修パーツはほとんどが生産終了。なんとか流用できる部品を探し出して補修した。3年前にはショックがヘタってきたので、TEINで車高調を特注で製作して装着している。完成まで3ヶ月を要した。
他のクルマもお持ちということで、このファミリアがセカンドカーなのかと思ってお話を伺っていたところ、もう1台のクルマはなんとランチア・デルタ・インテグラーレ・エボリューション2!。どちらも信頼性は……これからどちらも大切にしてくださいね!