北海道で開催されているクロスカントリーラリーが熱い!三菱トライトン、マツダCX-5が参戦「2024ARKラリーカムイ」写真レポート【Vol.2】 

サービスパークからSSに向かう「圭rp×TOYOTIRE×三菱トライトン」。
全日本ラリー第6戦「2024ARKカムイ」の盛り上がりレポート第2弾は、全日本ラリーの併催カテゴリーとして開催されたクロスカントリー「ARKスプリント300」について。これまで、トヨタ・ハイラックスやスズキ・ジムニーといった車両をラリー用に架装した車両により争われていたこのカテゴリーだが、今回から三菱トライトン、マツダCX-5を使用するエントラントが加わったとともに、ハイラックスの参加車両も増えて一気に活況を呈している。

三菱トライトンがクロスカントリーラリーに堂々のデビュー!

新型トライトンとともになんとか完走して安堵の表情の竹岡圭選手。

モータージャーナリストの竹岡圭さんは話題の三菱新型・トライトンで参戦。「タイで行なわれた新型トライトンの発表会のときから三菱自動車の方々に『ラリーに出たい!』とアピールしてきた」ことで、三菱自動車の協力を得てラリーカムイへの参戦が実現した。
ただ、「納車が先日だったので、車両の移動に乗っただけ」という状況。マシンにはロールケージやシート、ホイール、タイヤ、サスペンションといったラリーに出るための基本的なパーツを装着したものの、テストする機会はほぼなかったそうだ。
「SS1がほぼシェイクダウンなので、今回はまずは走り切って、次のラリー北海道に向けてデータを採ること」を目標に雨のダートコースへと向かっていった竹岡さん。
「コンピュータもノーマルのままなので、走っているとエンジンパワーを制御するモードに入る症状が出てきて大変だった」というが、リタイアが続出する難しいラリーをしっかり走り切ってXC-2クラス3位表彰台を獲得した!
9月6日~8日に開催されるラリー北海道には三菱トライトンのエントリーが増える予定だ。

MAZDA SPIRIT RACINGはマツダCX5を投入してクラス2位!

写真:MZRacing
写真:MZRacing

MAZDA SPIRIT RACINGと兵庫県西宮市にガレージを持つTCP MAGICとのジョイントプロジェクトとして初参戦した「TOYOTIRES MAZDA CX-5」。ドライバーは、マツダの開発ドライバーであり、スーパー耐久シリーズでも活躍する寺川和紘選手、コ・ドライバーは寺川選手の夫人である石川美代子選手だ。ふたりはかつて中四国シリーズや全日本ラリー選手権に出場た経験を持ち、2015年のラリー洞爺ではJN-3クラスで初優勝を果たしているとのこと。
このクルマも基本的な競技用パーツを装着しただけの「ほぼノーマル」車両。しかし、車重の軽さが功を奏してか、SS2ではポテンシャルに差があるライバルからSSトップタイムを奪うタイムをたたき出し、CX-5の可能性を見せつけた。ただ、やはりほぼノーマルの車両には、悪路すぎる走行が影響したのか、エンジンのパワーを落とす制御が入った模様でペースダウンを強いられた。しかし、多くの車両がリタイアするなかでしっかりと最後まで走り切り、XC-2クラス2位表彰台を獲得!
次戦ラリー北海道には、ドライバーにドリフトエンターテイナーであるマッド・マイク(ニュージーランド)が起用される。そのための貴重なテストにもなった。

CUSCO×KZF Serviceのジョイントチームは女性陣が躍進!
2輪トライアル競技で活躍する小玉絵里加選手はジムニーでラリー初参戦!

車両は昨シーズン織戸茉彩選手が使用していたジムニー。

北海道のKZF Serviceとキャロッセとのジョイントチームからジムニーで参戦した小玉絵里加/槻島もも組。小玉選手は2輪のトライアル競技での実績を持つが、今回のラリーカムイが4輪競技初参戦となった。走行順も最後尾となり、70台以上が走ったあとのダート道は轍も深まり困難を極める走行だったはず。そんななか、なんとか最後まで生き残り、XC-3クラス2位での完走となった。「ラリー北海道では、もう少しアベレージスピードを上げられるようになりたい」と意欲的だ。

現役大学生の羽根田琴選手はサービスイン前にキャロッセ長瀬代表に生還報告。

CUSCOからは番場彬/梅本まどか組に加えてもう1台のハイラックスが参戦した。ドライバーは現役大学生の羽根田琴選手。コ・ドライバーはベテランの加勢直毅。羽根田選手は初のラリー参戦となった。非常に厳しいコンディションのなかで、さすがのキャロッセ長瀬努代表も心配そうだったがしっかりと2日間走り切りってクラス4位完走!

全日本ラリーでは苦戦の続く梅本選手は番場選手のドライビングで会心の勝利!

XC-2クラス優勝は番場彬/梅本まどか組のCUSCO YH GEOLANDAR HILUX Revo。「どうしてもダートでラリーをやりたかった」という梅本選手の希望が叶って、ディフェンディングチャンピオンの番場選手とのラリーとなった。番場選手曰く「梅本選手のリーディングはばっちりでどんどん良くなっていった」とのことで、2位以下を寄せ付けない安定の勝利となった。「すべてが勉強になった」と梅本選手。詳細はモーターファン掲載の別途レポートをご参照あれ。

XC-3クラス優勝は塙郁夫/佐竹尚子組のトヨタRAIZEラリーコンセプト

XC-3クラスは全SSでトップタイムをマークした塙郁夫/佐竹尚子組がクラス優勝!

塙郁夫選手の子息で、普段は郁夫選手のコ・ドライバーとしてラリーに参戦してきた塙雄大選手はコ・ドライバーの笹田真弓選手とのペアでジムニーでXC-3クラスに参戦。残念ながらSS2走行後にエンジントラブルによりリタイアとなった。

三菱自動車社員の有志が立ち上げたプライベートのラリープロジェクト。今年もエクリプスクロスで参戦!

北海道のラリーで2022年から見かけるようになったエクリプスクロスPHEVは、三菱自動車の開発部門に所属する社員有志により立ち上げらられ、北海道三菱自動車販売のサポートを得ながらプライベート参戦している。今回は残念ながら2日目のSS9でリタイア。

9月6日~8日に開催となるラリー北海道では参加台数も増えることが予想されている。活況のクロスカントリーラリーにはぜひともご注目いただきたい。

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著者プロフィール

渡辺 文緒 近影

渡辺 文緒

渡辺文緒
1970年東京生まれ。1996年にオートスポーツ編集部、その後、オプション編集部、 F1速報誌AS+F編…