ヒョンデが日本市場のニーズに合わせた中型電気路線バス「エレク シティ タウン」を年末から販売。岩崎産業が屋久島に5台導入へ

ヒョンデモビリティジャパンは7月23日、日本市場のニーズに合わせた中型電気路線バス「ELEC CITY TOWN(エレク シティ タウン)」を、年末から販売を開始すると発表した。

乗客が乗下車する際の死角地帯の障害物を感知する「SEW-Near」機能、各種センサーで車両の挙動を測定し、悪天候や滑りやすい路面でも車両のコントロールを容易にする「VDC(車両安定装置)」など、路線バス運行で求められている各種安全装置を標準装備

ヒョンデは日本市場で2009年から大型観光バス「Universe(ユニバース)」を、各地のバス事業者に販売している。近年ヒョンデは積極的にZEV(※)の開発を推進し、2022年にはEVの「アイオニック5」とFCEV(燃料電池自動車)の「ネッソ」を日本市場で発売。商用車部門でも、2017年に電気路線バスである「ELEC CITY(エレク シティ)」シリーズを韓国で発売、アップデートを重ねながら電気バスのラインナップを拡充させている。
※ZEV(Zero Emission Vehicle):走行時に⼆酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCEV)の総称

そしてこのたび、2024年末に電気路線バスの「ELEC CITY」 シリーズの中型バスに相当する「ELEC CITY TOWN(エレク シティ タウン)」を日本で発売する。韓国では環境対策としてEVやFCEVといった次世代バスの導入を積極的に進めており、2020年以降は急速に登録台数が増加。街で次世代バスを目にする機会が増えている。韓国市場においてもいくつもの次世代バスメーカーが存在するが、その中でもヒョンデは先進技術を持ったトップメーカーとして、大きなシェアを獲得している。

地球温暖化対策としてCO2削減が世界的な課題となるなか、日本でも公共交通機関を運営する自治体や事業者においてもさまざまな取り組みが求められている。従来、バスはディーゼルエンジン車が唯一の選択肢だったが、技術革新によりバス運行で求められる条件を満たせる電気路線バスが開発された。

今回導入する中型電気路線バス「エレク シティ タウン」は、郊外路線やコミュニティバスなど一定数の需要はあるものの、現在の日本市場において国内外のメーカーラインナップは限られており、環境問題に対応できる車両の導入が公共交通機関を運営する自治体や事業者などにとって急務であるといえる。こうした状況を踏まえ、ヒョンデは「エレク シティ タウン」を販売し、身近なバス路線からCO2削減に貢献していく。

「エレク シティ タウン」は、乗客が乗下車する際の死角地帯の障害物を感知する「SEW-Near」機能、各種センサーで車両の挙動を測定し、モーターの出力・ブレーキを制御する事で悪天候や滑りやすい路面でも車両のコントロールを容易にする「VDC(車両安定装置)」など、路線バス運行で求められている各種安全装置を標準装備。そして昨今の2024年問題に対する取り組みとして、車両管理の省力化を実現するOBD2コネクタを介したテレマティクスサービスの導入準備、車両故障や修理対応による稼働時間減少(ダウンタイム)への対策として、現在販売中のヒョンデの大型観光バス「Universe(ユニバース)」の部品同様に、国内翌日納品率95%以上を目指して初期部品在庫を準備。日本各地のバス事業者から好評を得ている各種アフターサービスとノウハウを活かしていく。

車体には145kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載され、一充電で200km以上(冷暖房の使用や乗車人数により変動)の航続距離を実現。充電方式はCHAdeMOが採用され、90kWh×2の入力に対応し、短時間での充電が可能となっている。なお、日本のバス車体規格ガイドラインに準拠しており、ワンマン路線バスに必要な装備の架装に対応している。

●「エレク シティ タウン」主要諸元

※4 一充電走行可能距離:自社基準(定速60km/h)による測定
※5 自社基準(定速30km/h)による参考値

ヒョンデがいわさきグループと世界自然遺産・屋久島での電気バス5台の販売に対する基本合意書を締結

このたびの「エレク シティ タウン」に関し、ヒョンデモビリティジャパンは7月18日、岩崎産業(いわさきグループ)との間で、鹿児島熊毛郡屋久島町(以下屋久島)における「エレク シティ タウン」5台の販売に関する基本合意書を締結した。

現在の屋久島は、島全体で使われる総電力の99.6%を自然エネルギーである水力発電が担っており(残り0.4%は災害時等のバックアップ用の火力発電等)、そんななかでいわさきグループは、「屋久島のゼロエミッション」化に尽力したいという強い想いを持っていた。

このたびヒョンデとその正規販売店である岩崎産業は、技術革新により公共交通機関のバス運行で求められる条件を満たした中型電気路線バス「エレク シティ タウン」を導入することで、身近なバス路線からCO2削減に貢献する。さらに世界自然遺産である屋久島の自然エネルギーを使い、島内の全てのバスとタクシーを近い将来に全てZEV化することで、「屋久島のゼロエミッション」の実現を目指す。

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