ハリアーの対抗馬、日産「ムラーノ」予約開始。米国生まれのプレミアムSUVは285.6万円~【今日は何の日?7月29日】

日産「ムラーノ」
日産「ムラーノ」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日7月29日は、日産自動車の「ムラーノ」が9月2日の発売に先行して受注を開始した日だ。ムラーノは、米国で販売され人気を獲得していたラージサイズのSUVだが、大ヒットしていたトヨタの高級SUV「ハリアー」に対抗するかたちで、日産が国内に投入したモデルである。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・NISSAN ムラーノのすべて

■米国で人気のラージサイズのクロスオーバーSUVが日本上陸

2004(平成16)年7月29日、日産自動車は9月2日発売のクロスオーバーSUV「ムラーノ」の受注を開始した。2年前に北米で販売を始め、ダイナミックなデザインと力強い走りで好評を博していたムラーノを、トヨタ「ハリアー」の対抗馬として日本に投入したのだ。

日産「ムラーノ」
日産「ムラーノ」

ハリアーに対抗して登場したムラーノ

トヨタ「ハリアー」
1997年にデビューしたトヨタ「ハリアー」。高級SUVというジャンルを開拓

ムラーノ誕生の5年前、1997年に登場し、都会派の高級SUVというジャンルを開拓したのが、トヨタの「ハリアー」だ。ハリアーは、流麗なスタイリングとセダンにも負けない広々した快適な室内空間により、高級感を演出して大ヒット。翌年には米国でレクサス「RX」として発売して、海外でも大ヒットを記録した。
一方、北米でデビューしたムラーノは、そのダイナミックなスタイリングと力強い走りで人気モデルに。それを受け、ハリアーの対抗馬として日本でも発売されたのだ。

日産「ムラーノ」
曲面基調の日産「ムラーノ」のリアビュー

ムラーノは、日産のアッパーミドルクラスの乗用車に使われているFF-Lプラットフォームを採用。ボリューム感のある曲面構成のボディに、太い格子のメッキグリルとシャープなヘッドライトで構成される個性的なフロントマスクが特徴だった。インテリアは、円型メーターが収められたメータークラスターやスポーツシートなどで、開放的かつスポーティな雰囲気をアピールした。

日産「ムラーノ」
日産「ムラーノ」のプレミアムインテリア

パワートレインは、パワフルな3.5L V6 DOHCと日常重視の2.5L直4 DOHCの2種類のエンジンと、4速ATおよび電子制御CVTの組み合わせ、駆動方式はFFとフルタイム4WDを用意。車両価格は、285.6万円(AT)/342.4万円(CVT)に設定された。

日産「ムラーノ」
日産「ムラーノ」×吉田由美

北米サイズの大きすぎるボディが国内では敬遠

グローバルでは人気を博したムラーノだったが、日本では残念ながら大きな支持は得られなかった。北米ではジャストサイズでも、当時の日本のSUVの中では圧倒的に大きかったため、扱いにくく燃費もあまり良くなかったことが、販売が伸びなかった理由だった。

日産「ムラーノ」
日産「ムラーノ」

■日産・ムラーノとトヨタ・ハリアーのボディサイズ比較
ムラーノ:全長4770mm×全幅1880mm×全高1685mm
ハリアー:全長4735mm×全幅1845mm×全高1670-1680mm
(※2003年デビューの2代目)

ムラーノはハリアーよりひと回り大きいことが分かる。
このように、グローバルモデルとして開発されたクルマが、必ずしも日本の狭い道路環境や駐車環境に合ったクルマにならないことが、メーカーにとっては悩みの種かもしれない。

同日にムラーノを含めた国内モデル6車種を披露

またこの日、日産は2004年度にムラーノをはじめとする、2004年度に国内市場に投入する新型モデル6車種を一斉に披露した。中期経営計画「NISSAN 180」の中で、日産はグローバルで100万台増しの360万台の達成を掲げていたが、そのためにはこれらの新型車が重要な役目を担うことになるのだ。

日産「フーガ」
2004年10月にデビューした高級セダン、日産「フーガ」
日産「ティーダ・ラティオ」
2004年10月にデビューしたコンパクトセダン、日産「ティーダ・ラティオ」
日産「ノート」
2005年1月にデビューしたコンパクトMPV、日産「ノート」

ムラーノを筆頭に、セドリック/グロリアの後継となる高級セダン「フーガ」、パルサーの後継となるハッチバックセダン「ティーダ」、ティーダの派生車の小型セダン「ラティオ」、リバティの後継となる7人乗りコンパクトミニバン「ラフェスタ」、そして最後を飾る第6弾がコンパクトMPVの「ノート」である。

日産新型「ハリアー」
2020年に登場した日産新型「ハリアー」。初代に比べるとボディは拡大
トヨタ4代目「RAV4」
2019年にデビューしたトヨタ4代目「RAV4」。初代に比べると、全長・全幅とも100mm以上大型化

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当時としては、大きすぎて日本では支持を得られなかったムラーノだが、この10年ぐらいの間に当初はコンパクトSUVとしてヒットした「RAV4」も随分大きくなり、新型ハリアーもマツダ「CX-60」もムラーノに引けをとらないくらい大きくなっている。ちょっとした大型SUVブームが起こっていると言えるが、そう考えるとムラーノの登場は10年早すぎたのかもしれない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…