今回、ブッキング・ドットコムが発表会で掲げたテーマは、“Travel is Life -The Nippon” 地域の魅力から探る‘真の高付加価値な旅’スタイルとは? というもの。
事前のリリースには、「旅やロケで全国を訪れている勝俣さんがこの夏おすすめする旅やグルメ、 鳥海さんがおすすめするまだ訪日客にバレていない穴場の地方旅行先など紹介」 と記されており、その内容がとても気になるところだった。
さて、近年は人気観光スポットの一極集中などオーバーツーリズムが問題となっているが、日本にはまだまだ知られていない魅力あるスポットが点在することから、地方の魅力に着目し、この夏おすすめ旅をスペシャリストの方々に提案する、という内容だ。
各種メディアでも報じられているとおり、今シーズンの訪日観光客は増加の一途を辿っている。2024年6月単月で310万人となり、前年同月比で150%を突破し、1-6月累計で1800万人に迫る勢いだ。
また、インバウンド旅行者のトレンドは、ブッキング・ドットコム検索データによると、東京、大阪、京都、福岡、札幌、名古屋、沖縄(那覇)、箱根(神奈川)、富士河口湖(山梨)、横浜(神奈川)がトップ10エリアとなっている。各データを詳細に見ていくと、意外性のあるエリアも人気となっており、都市部ではない地方エリアにも多くの人が興味を示していることが分かる。
航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は、現在の日本の魅力について次のように説明する。
「海外からの訪日観光客は、コロナ前でも月に300万人を超えることはなかったが、今年大きく増えた理由のひとつは“桜”です。いままで日本観光は夏が多かったが、桜の時期にピークを迎えた点が大きい。また、リピーターが増えたのも要因のひとつ。日本の魅力は、景色はもちろん、多彩な食べ物に加え、相撲などの日本文化と豊洲にあるチームラボプラネッツのような新しいなサービス、レトロとモダンの融合にあります」
では、本題でもある、これからの穴場スポットになりそうな場所はどこか?
「いまは外国人が日本の良さを教えてくれます。去年、ニューヨークタイムズ紙で盛岡が注目されました。都市部に人気が集中しているので、狙い目は地方でしょう。全国で一番インバウンド需要が少ないのが島根、鳥取です。ここは、良い観光地があるのに、まだ外国人にバレていない。(島根県安来市には)庭園がとても綺麗な足立美術館があり、鳥取には鳥取砂丘もあるので、山陰は狙い目だと思います。これからのトレンドは、人が集中するオーバーツーリズムを避けることだと思います」
鳥海氏は、お得に旅するための「ビジネスホテル活用法」も開示してくれた。値段が高いときは、観光地によってはシングルルームを二部屋にすると安くなるケースもあるという。「とにかく事前にインターネットで情報を徹底的に集めることが大切だ」と断言する。たとえば、ダイナミックプライシングはタイミングがとても大切で、この発表会後にパリ五輪に行く予定の鳥海氏は、通常時に一泊2万円のホテルが、オリンピック料金で一時8万円に高騰し、直前になって3万円に設定された例を挙げてくれた。
そして、いよいよ勝俣州和氏登場。手には、小さなスーツケースを持っていた。勝俣氏は「どんな旅行でも、このサイズで充分。基本的には、下着2枚とTシャツ2枚しか持っていかない。あとはデニム系の短パンがあれば、現地で洗って干せば良い(笑)」と説明する。
旅をテーマにしたテレビ番組にレギュラー出演している勝俣氏は、やはり旅のイメージがとても強い。
「日本国内は全部行ったが、島は制覇できていない。沖縄や伊豆七島には、小さな島がたくさんあるじゃないですか。テレビ番組の取材で行くと尺が稼げないので、小さな島は対象外になってしまう(笑)。プライベートだったら狙ってみたいですね。いまは娘が大学生、息子が高校生。小さいときから、夏と正月はハワイ行くのが定番でしたが、今年の夏は行けないですね。学生は部活とかで忙しいので、家で一番ヒマなのは僕です(笑)。いまは犬と遊んでます。犬と一緒に泊まれるところを探しています。犬も入れる温泉もあるので、そういうところに連れていってあげたい」
また、静岡県出身の勝俣氏に、静岡の魅力についての質問もあった。
「静岡で食べる鰻のレベルは日本一です。うなぎは、最後にどこの水で育てたかが重要で肉質や旨みが変わってくる。富士山の雪解け水が身を綺麗にしてくれるから、とにかく美味しい。静岡は”うなぎボーン“という、鰻の骨を揚げた料理も提供されます。いろいろなお店を巡って、鰻を食べ比べするのも楽しいと思います」
勝俣氏にとって「旅」とは、どんなものなのだろうか?
「旅とは、もうひとつのふるさとを見つけることだと思います。帰りたい場所を見つけることですね。会いたい人がいて、その人も待っていてくれる。それを見つけるために旅をしている。歳をとって、ゆっくりとした時が流れるたきに住む場所。好きな人の近くで生活したいところでしょうか。僕には日本全国にありますので、最後は日本一周して、帰ってきて棺に入ろうと思います(笑)」
たっぷりとユーモアを交えながら、旅について語った勝俣氏だったが、このコメントは、なんだかジーンときてしまった。
改めて、今回のイベント主催者であるブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社は、「すべての人に、世界をより身近に体験できる自由を」を企業理念に、多種多様な宿泊施設や旅ナカ体験、旅行中のシームレスな移動手段を提供する世界最大級の宿泊予約サイトBooking.com の日本法人。同社・西日本地区エリアマネージャー高木浩子氏は、新しいサービスについて次のように説明した。
「ふたつの新しい取り組みがあります。コネクティッドトリップは、宿泊施設のみではなく、フライト、空港からの移動手段、アクティビティ、レストランなど、旅に関するすべての予約をひとつのプラットフォームで完結させるものです。もうひとつは、AIトリップランナーというもので、旅行者が持っているスマートフォンで泊まってみたいホテル、やってみたいアクティビティなどを語りかけると、カスタマイズした旅行行程を作ってくれる、とても便利なツールです。昨年ローンチしたもので、現時点では英語圏のみの対応ですが、今後は世界中で展開していく予定です」
ブッキング・ドットコムは海外で需要の促進を積極的に行うことで、欧米からのインパウンド需要にも大きく貢献しているという。国内では季節に応じたマーケティングキャンペーンを行い、最大35%の割引などを行っている。
ブッキング・ドットコムの発表会は、このように旅の話題が盛りだくさんで幕を閉じたが、クルマで旅するときにも、心強い味方になりそうだ。