現場でのニーズを見据えた機能が満載「スズキ・キャリイ」【最新軽自動車 車種別解説 SUZUKI CARRY】

あぜ道、悪路などで働く現場でのパフォーマンスを考えられた「スズキ・キャリイ」。長靴を履いての乗車や悪路での快適性を重視し、ドアの開口部の広さやシートのホールド性の高さなどその方向性は一貫している。小回りの良さとニーズに合わせた駆動系のラインナップで、日本らしい現場環境に特化されただけに利便性はピカイチと言える。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:神村 聖 

狭いあぜ道も楽な小回り性能 居住性にも配慮した究極設計

スズキ・キャリイは軽トラックの代表車種だ。OEMも多く、日産NT100クリッパー、マツダ・スクラムトラック、三菱ミニキャブトラックとして供給される。

エクステリア

狭い道も走れつつ、荷物をたくさん積める軽トラックのパッケージングはすでに熟成の域。そんななか「スーパーキャリイ」系はキャビンを後方へ拡大して利便性を高める提案だ。最小回転半径は3.6m。

キャブトラックとして供給される。スズキを含めると、乗用車メーカー8社の内、4社がキャリイを扱う。標準ボディの場合、全長は3395㎜で荷台長は1940㎜と長い。残りの約1.5mに、居住空間と衝撃吸収ゾーンを収めている。しかも居住性にも配慮され、ドアの開口部は、軽トラックの中で最も広い。

インストルメントパネル

小物を置くスペースが多く用意されたインパネは、カーナビ(オプション)の画面に太陽光が当たって見えにくくなるのを防ぐ“ひさし”があるのも珍しい特徴だ。メーターは文字盤や速度の数字が大きく、シンプルで見やすい。

軽トラックは農業を中心に使われ、長靴を履いて乗り降りする機会も多いからだ。前輪の収まるホイールハウス付近のスペースを広げ、乗降時に足が引っ掛かりにくい。シートも乗降性を重視しつつ、身体をしっかりと支える。

居住性

お尻の下に前輪があるレイアウトゆえに運転姿勢は独特だが、かつてに比べると違和感はなくなっている。「スーパーキャリイ」系は運転席と助手席のリクライニングも備わるのも美点。

試乗して驚くのは小回りの利きだ。最小回転半径が3.6mだから、ボディがターンテーブルの上で回っているような錯覚に陥る。あぜ道は道幅が狭く、直角に曲がる場所も多いため、最小回転半径を小さく抑えた。標準ボディの2WDは、車両重量が750㎏前後だから、自然吸気でもパワー不足は感じない。エンジンは座席の下に搭載され、2WDは後輪を駆動する。4WDには悪路向けSUVのような副変速機を備えたグレードもある。

うれしい装備

月間販売台数       4801台(23年7月~12月平均値)
現行型発表    13年8月(ボディカラー追加 23年7月)
WLTCモード燃費  18.2 ㎞/ℓ※「KX」、「KC」系の5速MT車  

ラゲッジルーム

以上のようにキャリイは、農業などのニーズに特化してつくり込まれており、あぜ道などで運転すると、現場での使われ方を見据えて開発された機能に感心させられる。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.157「2024 軽自動車のすべて」の再構成です。

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