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280ps自主規制があったからこそ磨かれたハンドリング性能
初代レガシィが登場(1989年2月発売)してから約10年、1998年6月に3代目BH5が発売された。
「1989、1990年辺りに出たGT-RやNSXなどの日本車は、『280ps自主規制』というのがあった。これは六法全書に書かれているレギュレーションではなく、国土交通省、警察庁と自工会が『まぁ280ps上限にしたほうがいいよね…』というような感じ。でも私は、この280ps規制があったおかげで日本のハンドリング・オタクのクルマがいっぱい出てきたのだなと思う」(清水)。
それはどういうことなのか?
「エンジンパワーを上げて速くするのではなく、シャシー性能でクルマの走りを良くする。ずっと日本車が追い求めていたものだ」(清水)。
MTは280ps。なぜATは260psに抑えたのか
レガシィツーリングワゴンも2代目、1996年6月のビッグマイナーチェンジでGT-Bが280psになった。
「自主規制の上限は280ps。2代目でようやくシーケンシャルツインターボになったことでレスポンスは良くなったが、当初は250ps。でも、世の中的には280psのクルマがいっぱいいたので、なんとかスバルもそこに行きたい!ということで、3代目のGT-Bマニュアル車のみ280psになった」(清水)。
4ATは260psに抑えていたが…なぜなのか?
「馬力はトルク×回転数みたいなところがあるので、無理矢理回転数を上げれば280psいっちゃう。が、トルクコンバーターの許容回転数、耐久性を考えて、ATはちょっと控えめに260ps。しかし、それはピークパワーの話なので、ソコに行く途中のエンジンのレスポンスやトルクは、MTの280psとATの260psの違いは無い。むしろ、ATのほうが加速のトルク切れ、クラッチを切っている時間が無いので、0-100km/hはATのほうが速いのではないかと思う。実際に乗ってみても、2代目初期の250psと比べると進化している。
3代目BH5の280psエンジンはさらにピュンピュン、ターボのウエイストゲートの音がするくらい男っぽいターボエンジンになった感じ」(清水)。
スバル初のマルチリンク(リヤ)を採用したBH5
フットワークはどう変わったのか?
「2代目と違ってビルシュタインも上手く履きこなしているので、乗り心地も良くなっている。大事なことは、3代目からリヤサスがスバル初のマルチリンクになったこと。その意味は、運動性能や乗り心地もあるが、ワゴンの荷室を広く使いたいということ。ストラットだとどうしてもリヤのワゴンラゲッジの中にバケツをひっくり返したようなものが付くが、それが無いだけリヤのラゲッジ横スペースを広く使え、ワゴンとしてのユーティリティも上げている」(清水)。
総合的に見た3代目レガシィツーリングワゴンの清水考は?
「初代から見ていくと、安全性は1mmも動かない哲学があり、ユーティリティは『段段よくなる法華の太鼓』!
エンジンはホットワゴンというかツーリングワゴンとしての走りをどんどん磨き上げてきた、約10年間のレガシィツーリングワゴン3代目がここにあったわけだ。これで、このクルマに乗りながら20世紀という時代の幕が下りた」(清水)。
「そうそう、このモデルからFFが無くなった。それには逸話があり…」(清水)。
…の続きは清水和夫さんしか知らない!?ここダケの話的な(笑)。動画でぜひ!
■SPECIFICATIONS
●スバル レガシィGT-B(BH5/1998年6月)
全長×全幅×全高:4680×1695×1485mm
ホイールベース:2650mm
トレッド F/R:1465/1460mm
車両重量:1510kg(AT)/1480kg(MT)
エンジン:EJ20 水平対向4気筒DOHCシーケンシャルターボ
排気量:1994cc
圧縮比:9.0(AT)/8.5(MT)
最高出力:260ps/6000rpm(AT)/280ps/6500rpm(MT)
最大トルク:32.5kgm /5000rpm(AT)/35.0kgm/5000rpm(MT)駆動方式:フルタイム4WD
サスペンション:ストラット式独立懸架/マルチリンク式独立懸架
ブレーキ(F/R共):ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(F/R共):215/45R17
車両本体価格(税込):296万円(AT)/290万円(MT)