スバル最後のレガシィワゴン!5代目BR9はアイサイト2で業界を牽引【清水和夫がイッキ乗り】

レガシィツーリングワゴン(BR9)
レガシィツーリングワゴン(BR9)
清水和夫が歴代レガシィツーリングワゴンを改めて一気乗り! 今回は5代目にして最後のレガシィツーリングワゴン、BR9編。
IMPRESSION:清水和夫(Kazuo SHIMIZU)/MOVIE:StartYourEnginesX/ASSIST:永光やすの(Yasuno NAGAMITSU)

5代続いたスバル・レガシィツーリングワゴンの集大成

スバルの元ワークスドライバーで、現在は大学教授も務める国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが、歴代レガシィツーリングワゴンを再確認するため一気乗りした動画を紹介。全車2.5L化になり、ボディもアメリカンなビッグサイズへ。初CVTを搭載したBR9を清水さんはどう評価したのか?

レガシィツーリングワゴン(BR9)
スバル最後のレガシィツーリングワゴン(BR9)を清水和夫が試乗

CVTを最初に搭載したのは、トヨタではなくスバル

「 “レガシィ”とう名前が付いたモデルでは、この5代目が最後。発売は2009年なので、初代(1989年)からちょうど20年経って登場。今回はかなりアメリカを意識して作られたなという感じで、ワゴンボディはさらにルーミー(広々)になっている」(清水)。

レガシィツーリングワゴン(BR9)
ひと回り大きくなった印象が深い5代目レガシィツーリングワゴン(BR9)

「今乗っているクルマは2.5LのNAでCVT。実は、スバルはCVTの元祖。世界で初めてCVTを量産したのはスバルなのだ。
以前 “トヨタのCVTはパンツのゴムが伸びたみたいだ!”と某誌で悪口書いたらトヨタに怒られたけど、2021-2022年はヤリスCVTでラリーをやる羽目になった。まぁ今のトヨタのCVTはパンツのゴムが伸びた感じではないです(私が鍛えましたから!)。

レガシィツーリングワゴン(BR9)
CVTを最初に国内導入したのが、レガシィツーリングワゴン(BR9)

スバルはドライバーズカーを目指しているから、パンツのゴムが伸びたようなトランスミッションではスバルユーザーは納得しない…ということはスバルもよく知っている。使っているのはドイツのLUK(ルーク)社というサプライヤーの金属ベルト式。これを使っていたのはスバルとアウディだけ。しかしアウディはLUKの金属ベルトを止めてしまったので、今は世界でオンリーワン、金属ベルトを使っているのはスバルだけです(※収録は2022年)。今ではスバルのトランスミッションは全車リニアトロニック、その最初のモデルがこの5代目レガシィの特徴だ」(清水)。

レガシィツーリングワゴン(BR9)
清水和夫のBR9評価のすべては動画へ

アイサイト2が思い切った進化を遂げたからこそ、日本の衝突安全系技術がある!

5代目レガシィが一躍注目されたのは、アイサイト2(EyeSight[Ver.2])だと語る清水さん。

レガシィツーリングワゴン(BR9)
レガシィツーリングワゴン(BR9)の賢いアイサイト2

「元々スバルは『ADA』という名前でミリ波レーダーとカメラを使った予防安全技術をずっとやってきた。が、価格が20万円超なためほとんど売れず…。そこで、思い切って『高価なミリ波レーダーを止めてカメラだけで出来ないか?』ということで、カメラだけの単眼技術を使うことになり、レーンキープディパーチャーのアラーム技術など、いろいろな予防安全技術が進化した」(清水)。

アイサイト2の賢いところを教えてください。
「アイサイト2が有名になったのは、『止まります』と言い切ったこと。これは『クルマは完全に止めてはいけない。でないと、自動ブレーキになってドライバーがブレーキを踏まなくなる恐れがあるから、最後はブレーキつまんで放せ! 5km/hくらいになったら完全に停止するな!』というような考えのガイドラインが国交省との中にあり、トヨタやホンダなどはそれを守っていた。
が、スバルは『も~メンドクサイ! 止めちまえ!! 』と。別にこれは違法ではなく、ボルボやメルセデス・ベンツもやっていたので、スバルも止まります!と言い切ってアイサイト2が一躍大ヒットした」(清水)。

レガシィツーリングワゴン(BR9)
レガシィツーリングワゴン(BR9)のコクピット

かつての20万円超えがアイサイト2ではいくらになったのか?

「確かオプションで10万円くらい。当時、『安全技術は水や空気と同じでお金は払ってもらえない、タダだと思われているのではないか?』とメーカーは考えていた。が、日本のお客様は良いものであればお金は払ってもらえる…ということが分かった。だから、このアイサイト2によってどれだけ他のメーカーが助かったか、だ。『良いものを作ればお金は払ってもらえる、じゃ良い技術を開発しましょう!』と。日本車の安全技術の底上げをしたひとつの大きな立役者、基礎を作ったのが、この5代目レガシィに搭載されたアイサイト2なのだ」(清水)。

レガシィツーリングワゴンの後継、レヴォーグには「アイサイトX」を搭載している。

歴代レガシィツーリングワゴン試乗
歴代レガシィツーリングワゴンを一気試乗
レガシィツーリングワゴン(BR9)
スバル・レガシィツーリングワゴン(BR9)

「レヴォーグに搭載されている『アイサイトX』はさらに進化したバージョン。自動運転の方向を見据えたアイサイトの進化というのが、レヴォーグのアイサイトXに見られる。
走りと安全性において、スバルは一途にそこを追い求めるのだが、しかし、燃費だけはスバルにとって一番辛い。この水平対向エンジンの非常に厳しいところではあるな」(清水)。

■SPECIFICATIONS
●スバル レガシィツーリングワゴン2.5i Sパッケージ(BR9/2009年5月)

全長×全幅×全高:4775×1780×1535mm
ホイールベース:2750mm
トレッド(F/R):1530/1535mm
車両重量:1510kg
エンジン:EJ25 水平対向4気筒SOHC 16バルブ
排気量:2457cc
圧縮比:10.0
最高出力:170ps (125kW)/5600rpm
最大トルク:23.4kgm (229Nm)/4000rpm
駆動方式:フルタイム4WD
トランスミッション:CVT
サスペンション(F/R):ストラット式独立懸架/ダブルウィッシュボーン式独立懸架
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ(F/R共):225/45R18
車両本体価格(税込):284万円
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著者プロフィール

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、N1耐久や全日本ツ…