重量級SUVユーザーの足元にピッタリ。グッドイヤーの新タイヤ『アシュアランス・マックスガードSUV』

グッドイヤーがSUV専用に開発した新タイヤ『ASSURANCE MAXGUARD SUV(アシュアランス・マックスガード・エスユーブイ)』。静粛性能とウェット性能をとくに磨いたというこのタイヤ。実際に三菱エクリプスクロスPHEVに履いて試してみた。
TEXT:瀨在仁志(SEZAI Hitoshi)PHOTO:Motor-Fan

静粛性とウェットグリップ性能にこだわりアリ

グッドイヤー アシュアランス・マックスガード・エスユーブイ GOODYEAR ASSURANCE MAXGUARD SUV

2024年も酷暑が未だ衰えを見せていない。その影響か少し前までは、ほんの通り雨程度の夕立も、いまではゲリラ豪雨化し路面が水没するほどの被害も珍しくない。そんなとき背の低いクルマに乗っている人にとっては、ロードクリアランスにゆとりのあるSUVが何とも羨ましく見えるもの。大きなタイヤで水しぶきを上げて走り過ぎる姿は、実に頼もしい。

しかし、そんな力強い走りを見せてくれるSUVも足元を見れば、背の低いモデル同様、手のひらより少し大きな面積の接地面が、4輪でボディを支え、進路を定めてくれている。

どんなに高機能なクルマであっても、足元を支えるタイヤの性能次第で、そのポテンシャルは大きく左右されてしまう。

グッドイヤーから2024年7月に発表された『ASSURANCE MAXGUARD SUV(アシュアランス・マックスガード・エスユーブイ)』は、そのネーミングが表している通り、SUVの走りに最適なタイヤを目指して投入され、静粛性とウェットグリップ性能にこだわりをもって開発されたという。

2プライ構造で強力なスチールベルトパッケージ。高いケース剛性を確保している。スクエアーなプロファイル形状にもかかわらず、ワイドな接地形状でより大きな接地面積を確保。

ウェット性能に関しては、新採用のシリカ配合アクティブグリップコンパウンドや、水膜を効率的に切るマルチバイティングエッジのトレッドデザイン効果によって、同社SUV用スタンダードモデル(エフィシェントグリップSUV・HP01)比で、ウェットブレーキ制動距離で6%短縮。

静粛性能においては路面接地の際に、トレッド面で圧縮された空気の放射を抑える、ノイズ低減リブの採用や、ショルダー部分の縦と横の溝を狭くしたことで音源元を最小化し、パターンノイズで27%、加えてブロックデザインを斜め配列することで路面インパクト音であるロードノイズを30%、それぞれ同タイヤ比で向上。と、データ的にも確かに期待が持てる。

エクリプスクロスPHEVに履いて試してみた

三菱エクリプスクロスPHEV タイヤサイズは225/65R17

残念ながら今回の試乗環境においてはウェット路面には巡り会えなかったが、ロングドライブのなかで、静粛性の高さは実感することが出来た。走りの質は手応えがしっかりとしていて、試乗車であるエクリプスクロスPHEVの重量級ボディ(車両重量1920kg)のロールを抑え、剛性感の高さを窺い知ることができる。

にもかかわらず路面から受ける衝撃は最小限に抑えられ、細かな入力に対しても落ち着いている。ゴム自体の厚みが感じられるような包み込み感があるし、タイヤの上下動が少ないことから、振動を元にするノイズが気にならない。良路においてはやや低周波寄りの音が感じられたものの、音圧は低く馴染みやすい。剛性感が高いのに、音が全域で押さえ込まれているのが大きなポイントだ。

乗り心地面においては、突起や継ぎ目などの通過時に多少ズシリと重めの入力はあるものの、カドは丸く振動を残すことは無い。高速になるほどボディはフラットに保たれているし、減衰の速度も上がり、落ち着いた乗り味に終始する。音の変化も小さいことから、高い速度レンジになるほど、バランスの良さが光ってくる。

逆に低速域で入力の小さいところではタイヤのたわみ感が少なくてボディは上下しやすい。市街地でのパッチのような修復路面等を通過すると、そのまま入力を受け入れてしまう。ゴムの包み込み感では処理できない大きめなうねり変化等では剛性感の高さが固めの乗り味として出てしまう。エクリプスクロスPHEVが1.9トンを越す重量であるから、いかにしっかりとした作りかが良くわかる。

もっとも旋回性能においてはロールが少なく、スポーツタイヤのような剛性感の高い走りを見せてくれるものの、ねじり方向の応答はやや甘く、舵角は気持ち大きめ。動き出すとリニアで手応えも十分ながらも初期の動き出しがマイルド。

マルチバイティングエッジによる、エッジ数の増加と最適化された配置。効率的に水膜を切り、優れたウェットグリップ性能を実現した。

 重量級のクルマを支えてくれる剛性感の高い作りによって、姿勢を安定させてくれるし、ハンドリング性能においても、背の高いSUVの特性に合わせて穏やかな味付けにしてくれている。さらにいえば常に手応えがあってマイルドな挙動を基本としているのは、滑りやすい路面での動きも考慮しての味付けだろう。こだわりのウエット性能の進化も期待できる。

街乗りレベルではそのしっかりとした作りから重めの入力を感じるシーンもあったものの、無駄な動きが少ないことから音や振動の発生も抑えられ、SUVの快適性をサポート。速度を増すほどにフラット感を保つし、背の低いモデルのような乗り味を見せてくれて、メリハリのある走りを楽しめる。高速移動が多い都市部のSUVユーザーが雨はさておき、ドライ路面を気持ちよくドライブするには悪くない。都市部では静粛性の高さを求めつつ、週末に速度レンジの高い移動を楽しむ、重量級SUVユーザーの足元にピッタリ。 

水しぶきを上げるようなドライブはお勧めできないが、ウェット路でのハンドリング性能もチャンスがあったら是非確認してみたい。

そんな気にさせる基本骨格の良さが持ち味だ。

※○印はリムプロテクター付き
サイズによってサイドウォールのデザイン・マーキング、およびトレッドパターンが異なる場合がある
※XL(EXTRA LOAD)は耐荷重性能強化タイプ

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著者プロフィール

瀨在 仁志 近影

瀨在 仁志

子どものころからモータースポーツをこよなく愛し、学生時代にはカート、その後国内外のラリーやレースに…