S130日産「フェアレディZ」が快適性も追求のGTカーへ。価格は146万円~【今日は何の日?8月17日】

2代目日産・フェアレディZ
2代目日産・フェアレディZ
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日8月17日は、1969年に華々しいデビューを飾った初代「フェアレディZ(Z30型)」に続いて2代目(S130型)が誕生した日だ。基本的には、初代のキープコンセプトだったが、絶対的な速さよりも快適性を重視したGTカーへと変貌した。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・歴代フェアレディZのすべて

■排ガス規制などの影響で、快適性や豪華さを追求した2代目

1978(昭和53)年8月17日、日産自動車の「フェアレディZ」が初めてのモデルチェンジを行い2代目に移行。1970年代の排ガス規制や省エネ機運の高まりを受けて、2代目は生粋のスポーツカーから快適性も重視したGTカーへと変貌を遂げた。

2代目日産・フェアレディZ
日産・S130型フェアレディZ

トヨタ2000GTに対抗して登場した初代フェアレディZ(S30型)

2000GT
トヨタのイメージリーダーとして1967年にデビューした「2000GT」。今や伝説となったスーパースポーツ

フェアレディZは、1967年に誕生した本格スポーツカー「トヨタ2000GT」に対抗する低価格なスポーツカーとして、1969年10月に誕生。米国を中心とする海外市場がメインターゲットで、スポーツカーらしいロングノーズ&ショートデッキの美しいフォルムが、大きな注目を集めた。

初代日産「フェアレディZ」
1969年にデビューして大ヒットした初代日産「フェアレディZ」

エンジンは、2.0L直6 SOHCツインキャブL20型で最高出力130ps、トップグレードのZ432には160psを発揮するDOHC 3連キャブレターエンジンS20型(初代スカイラインGT-Rと同じ)が搭載され、最高速210km/hを誇った。またインテリアの評価も高く、コクピットには眼前に2つ、センターコンソールに3つのメーターを配置するという凝りようだった。

流麗なスタイリングとパワフルな走り、加えて標準グレードが93万~108万円、Z432は185万円というリーズナブルな価格設定により日米で大ヒット。日産の技術イメージ向上に大きく貢献し、その後長く2024年の今も日産のフラッグシップスポーツとして輝き続けている。

快適性も重視したGTカーに変貌した2代目(S130型)

2代目日産・フェアレディZ
1978年にデビューした2代目日産「フェアレディZ(Z130型)」

1970年代後半は、オイルショックや排ガス規制強化の影響で、省エネ機運や環境性能が重視されるようになった。ガソリンをガブガブ消費するスポーツカーにとっては逆風であり、クルマには速さよりも環境性能や快適さが求められたのだ。

2代目日産・フェアレディZ
日産・S130型フェアレディZ のリヤビュー

これを背景に、初代デビューから8年を経て1978年に登場した2代目は、快適性や豪華さを重視したスポーティなGTモデルへと舵を切った。フロントにロングノーズエンドやフード一体型パンパーを採用、リアはラバー付き大型バンパーや角型テールパイプなどを装着し、基本的なスタイリングは継承しながらもよりダイナミックなフォルムとなった。
ボディタイプは、先代同様の2シーターと2by2が設定され、搭載エンジンは先代から採用している2.0L直6 SOHC L20型に加え、2.8L直6 SOHC L28型がラインナップされた。

2代目日産・フェアレディZ
日産・S130型フェアレディZのコクピット

車両価格は、2シーターで146.0万~179.5万円(2.0L)/180.0万&215.5万円(2.8L)。当時の大卒初任給は10.3万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で2.0L仕様326万~401万円、2.8L仕様が402万円&482万円に相当する。
同年には、トヨタから強力なライバル「セリカXX(海外名:スープラ)」が登場。その後は、フェアレディZのライバルはスープラとなり、現在もそのライバル関係は続いている。

初代トヨタ「セリカXX(海外名:スープラ)」
1978年に誕生した初代トヨタ「セリカXX(海外名:スープラ)」
2代目日産・フェアレディZ
日産・S130型フェアレディZ

現行フェアレディZとライバル・スープラの比較

以降、進化を続けたフェアレディZだが、最新型は2022年に登場した新型フェアレディZ(Z34型)で、フルモデルチェンジではなく、6代目のビッグマイナーチェンジという位置付けだった。

7代目日産「フェアレディZ(Z34型)」
2022年にデビューした7代目日産「フェアレディZ(Z34型)」

フロントマスクやサイドボディなどは、初代フェアレディZをモチーフにしてデザインされ、インテリアのインパネ中央最上部に3連メーターが装着されているのも、フェアレディZの伝統。最高出力405ps/最大トルク48.4kgmの新開発3.0L V6 DOHCツインターボエンジン(VR30DDTT型)を搭載したスーパースポーツである。

2019年に17年ぶりに復活したトヨタ「GRスープラ」

一方ライバルのスープラは、2019年に17年ぶりに国内としては3代目となる「GRスープラ」が復活。ダイナミックなロングノーズ/ショートデッキの低重心フォルムを継承し、エンジンはBMW製の最高出力340psを発揮する3.0L直6ターボおよび258ps&197psの 2.0L直4ターボの3種のエンジンが設定された。
V6エンジンと直6エンジンという違いはあるもの、いずれも今や貴重となったFRスポーツとして変わらぬ人気を獲得している。

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2代目フェアレディZは、オイルショックや排気ガス規制強化という時代背景もあり、性能的には比較おとなしいモデルだった。高性能・高機能化が進んだのは、各種制約から解放された1983年に“較べることの無意味さを教えてあげよう”という挑発的なキャッチコピーで登場した3代目フェアレディZ(Z31型)からである。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…