耐久レースの最高峰シリーズであるFIA世界耐久選手権(WEC)。そしてその頂点に位置するのはハイパーカークラスだ。同クラスはLMH規定、LMDh規定の両方を受け入れることもあり、この2年間でエントリー数が増加。かつてのグループC時代のように、自動車メーカーがしのぎを削り合う激アツカテゴリーのひとつとなっている。
今シーズンのWECではハイパーカークラスに参戦するマニュファクチャラーが増加している。昨季から北米でLMDhマシンを走らせていたBMWがWEC参入を果たしたほか、アルピーヌとランボルギーニもそれぞれLMDh車両で新たにエントリー。加えて、イソッタ・フラスキーニはLMH車両を投入しており、総勢9マニュファクチャラーが選手権を争っている。
世界三大レースのひとつに数えられるル・マン24時間を含む全8レースで構成されたWECの2024年シーズンもすでに折り返し地点を過ぎている。
ここまで5戦を終えて、最高峰カテゴリーのハイパーカークラスにおいて、ドライバーズランキングではポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車ポルシェ963をドライブするケビン・エストレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ファントールがトップに立っている。
また、ハイパーカークラスのマニュファクチャラーズランキングでは、ポルシェが126ポイントでトップ。4点差でトヨタが追い、109ポイントでフェラーリが3位につけている。昨季は表彰台は獲得しながらも優勝には手が届かなかず、マニュファクチャラーランキングでは3位となったポルシェだが、今季は両選手権をリードしている。
今季のポルシェは好調で、開幕戦カタールから6号車ポルシェが優勝を果たしただけでなく、表彰台をポルシェ勢が独占。さらに、第3戦スパではカスタマーチームであるハーツ・チームJOTAの12号車(ウィル・スティーブンス/カラム・アイロット)がポルシェとしての2勝目をマークしており、ワークス・カスタマーを問わず速さを見せている。また、ここまでの5戦で表彰台を逃した第4戦ル・マンのみと、安定して強い。
一方の、チャンピオンメーカーであるトヨタは今季は苦戦を強いられている。第2戦イモラと第5戦サンパウロで優勝を果たしているものの、ラウンドによっては予選、決勝ともにライバルの後塵を拝する場面も見られた。
当然、マシンのパフォーマンスはシリーズが設定するBoPの数値に左右されるが、今季ここまではポルシェの競争力が昨年よりも相対的に向上しているのは間違いないだろう。
2024年シーズンは残り3レース。第6戦ローンスター・ル・マンは8月30日~9月1日、アメリカ合衆国テキサス州のサーキット・オブ・ジ・アメリカズにて開催される。
2024年FIA世界耐久選手権 ハイパーカークラス ドライバーズランキング(第5戦終了時点/Top5)
Rank. | No. | Driver | Team | Car | Pts. |
1 | 6 | K.エストーレ/A.ロッテラー/L.ファントール | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ | ポルシェ963 | 117 |
2 | 50 | A.フォコ/M.モリーナ/N.ニールセン | フェラーリAFコルセ | フェラーリ499P | 98 |
3 | 7 | 小林可夢偉/N.デ・フリース | トヨタ・ガズー・レーシング | トヨタGR010ハイブリッド | 95 |
4 | 5 | M.キャンベル/M.クリステンセン/F.マコウィッキ | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ | ポルシェ963 | 71 |
5 | 8 | S.ブエミ/B.ハートレー/平川亮 | トヨタ・ガズー・レーシング | トヨタGR010ハイブリッド | 69 |
2024年FIA世界耐久選手権 ハイパーカークラス マニュファクチャラーズランキング(第5戦終了時点)
Rank. | Manufacturer | Pts. |
1 | ポルシェ | 126 |
2 | トヨタ | 122 |
3 | フェラーリ | 109 |
4 | アルピーヌ | 25 |
5 | BMW | 25 |
6 | プジョー | 20 |
7 | キャデラック | 14 |
8 | ランボルギーニ | 11 |
9 | イソッタ・フラスキーニ | 0 |