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現代の賢いクルマの乗り方|購入/カーリース/カーシェアの違いは?
購入/カーリース(サブスク)/カーシェアリングには、それぞれに独自のメリットとデメリットがあり、ライフスタイルや経済状況に応じて最適な選択は異なる。ベストなクルマの乗り方を決めるには、それぞれのメリットとデメリットを知っておくことが大切だ。
購入 | カーリース(サブスク) | カーシェア | |
初期費用 | 高額 | 比較的低額 | 非常に低額 |
利用可能期間 | 無期限 | 契約期間内 (通常3〜5年) | 必要な時に利用 (15分から数日) |
走行距離制限 | なし | あり (年間1万km程度) | あり (年間1万km程度) |
法定費用 | 自己負担 | リース会社が負担 | サービス会社が負担 |
メンテナンス費用 | 自己負担 | リース会社が負担 | サービス会社が負担 |
任意保険料 | 自己負担 | リース会社が負担 | サービス会社が負担 |
燃料代 | 自己負担 | 自己負担 | サービス会社が負担 |
適した人 | ・長期かつ頻繁に使用する人 ・使用に制限を感じたくない人 ・クルマに愛着を持つ人 | ・定期的に新車へ乗り換えたい人 ・使用期間が決まっている人 ・短期間のみ使用したい人 | ・都市部に住んでいる人 ・使用頻度が少ない人 ・時間に縛られない人 |
「購入」のメリット/デメリット
クルマの購入は必要となる初期費用が高額になりがちだ。さらにクルマは時間の経過とともに価値が減少する事実がある。
また、購入後は税金やメンテナンス代、修理代などの維持費はすべて自己負担となるうえ、管理に時間や手間もかかる。なにより、クルマを使用せずともこうした費用はかかり続ける点が最大のデメリットだ。
しかし購入には、他に代えがたいメリットもある。購入したクルマは完全に自分の所有物となるため時間を気にせずに使え、自由にカスタマイズを楽しむことができる。サーキット走行などを楽しむ趣味を持つ人は購入一択となるだろう。
また、クルマは資産としての価値も持ち、売却することで費用の一部を回収することもできる。
「カーリース(サブスクリプション)」のメリット/デメリット
カーリースは期間契約でクルマを借りるサービスであり、購入と比較して初期費用を大幅に抑えられるのが利点だ。毎月一定額の支払で乗れるサブスクリプションタイプのカーリースも存在する。
リース期間が満了すれば新しいクルマをリースしなおすこともできるため、常に新しいクルマに乗れるメリットも大きい。さらに、車検費用やメンテナンス費用などがリース料金に含まれている場合も多く、クルマを所有するためにかかる手間も時間も圧倒的に少なくなる。
しかし、カーリースには制約もある。クルマの所有権はリース会社にあるため、原則として元に戻せるカスタマイズ以外はできない。また、月々の走行距離に制限がある場合が多く、超過した場合には追加料金が発生する。また中途解約には多額の違約金が発生する点にも注意が必要だ。
「カーシェアリング」のメリット/デメリット
カーシェアリング(カーシェア)は、初期費用がほとんどかからない点が最大のメリットとなる。入会金と、1000〜2000円程度の月額使用料を支払い続ければ、15分単位の短時間から数日までレンタカーよりやや安い時間料金でクルマが使うことが可能だ。
税金や維持費の類は一切支払う必要がなく、燃料代も利用料金に含まれる場合がほとんどであるため、カーシェアはクルマの使用頻度が低い人ほど最適な選択肢となるだろう。しかし、カーシェアにも利用制限が多く存在する。
まず、サービスの提供エリアや利用時間に制限があるため、必要な時にすぐ利用できるとは限らない。クルマの利用には事前予約が必要となり、人気の車種や利用者が多い時間帯は競争率が高いため、希望通りに使用できないケースも多い。
そのほか、カーリースと同じく設定された走行距離を超過をすれば追加料金が発生することに加え、土日は平日に比べて割増料金になることも覚えておきたい。
【購入vsカーリースvsカーシェア】3年間の費用総額を比較
気になるのは実際にかかる費用だ。購入/カーリース/カーシェアそれぞれの3年間でかかる費用を比較してみよう。
より正確に比較するための前提条件として、車種はトヨタ ヤリス X(排気量1.5Lガソリングレード)の新車に統一する。クルマの使い方は、年間1万km走行するものとして3年間使い続けた費用を算出した。
ただし利用方法が特殊なカーシェアは、購入などと同条件で比較することはできないため、毎週土日に6時間の使用を継続する条件としている。
新車購入 | 新車カーリース(サブスクリプション) | カーシェア | |
初期費用および月額費用 | 165万5000円 | 44550円×36ヵ月 =160万3800円 | 月額1000円×36ヵ月 =3万6000円+入会金2000円 |
利用料 | – | – | 年間104日×6時間5000円×3年 =156万円 |
車検費用 (販売諸経費) | 6万7960円 | – | – |
自動車税環境性能割 | 4万600円 | – | – |
重量税 | 2万4600円 | – | – |
自賠責 | 2万4190円 | – | – |
自動車税年種別割 | 3万500円×3年分 =9万1500円 | – | – |
メンテナンス費用 | 2万円 | – | – |
自動車任意保険料 | 7万5000円×3年 | – | – |
ガソリン代 | 8万 | 8万 | – |
3年間総額 | 218万4250円 | 160万3808円 | 159万8000円 |
それぞれの3年間の合計金額は新車購入が218万4250円、カーリースが160万3808円、カーシェアが159万8000円となる。
新車購入が飛び抜けて高額になるが、値引きや減税措置、購入時の下取りや3年後の売却価格などは加味していないため、実際の費用はこれよりも安い。以上の条件でそれぞれの乗り方を比較すると、3年間の支払総額には大きな差がないことが分かるだろう。
しかしクルマの使用期間が変わると、かかる費用の総額にも大きな差が出る。購入の場合はどれだけ長くクルマ使っても維持費が増えるだけだ。それに対して月額料金制であるカーリースは、多くの場合に3〜5年を境として新車購入の総額を超えてしまう。
カーシェアは使い方によって費用が大きく変わるため厳密な比較ができない。たとえば、年間平日245日を毎日1時間利用し3年間継続すると利用料金の合計は73万5000円に収まる。カーシェアは、所有のような使い方をするとかかる費用は莫大になるが、使用頻度と使用時間が少なければ非常に安上がりになる乗り方だ。
クルマの使い方次第でベストなクルマの乗り方は変わる
3年以上にわたってクルマを高頻度で使うなら購入がもっともお得になるだろう。おおよそ3年以下の利用、もしくは期間限定かつ高頻度でクルマを使う場合はカーリースがもっともお得だ。こうした損得の分水嶺を「損益分岐点」と言う。
カーシェアはクルマを通勤や通学などには使わず、日常的な買い物のように使用頻度が不定で利用時間が少ない使い方をした際にもっともメリットが大きくなる。
もちろん利用する車種が異なったり、中古車購入/中古車リースを選択すると支払い総額は大きく変わってくるが、同じ条件でそれぞれの乗り方を比較する限り、この傾向が大きく変わることはない。
結局、どれが一番お得かは個々人のクルマの使い方次第だということだ。住まいの地域性やライフスタイルに合わせて、最適なクルマの乗り方を決めるとよいだろう。