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「スーパーGT」はおそらく日本で最も人気のある国内レースカテゴリー。前身のJGTC(全日本GT選手権)から2005年にスーパーGTと改められ、レギュレーションや参戦車両の変遷を経て現在も隆盛している。特に、上位クラスであるGT500はトヨタ、日産、ホンダが複数チームで競い合うハイレベルなレースが人気につながっている。
またGT300ほどでないにせよ、年毎にさまざまなマシンが投入されるのも魅力。トヨタはJGTC時代から長年スープラ(A80型)を使用しており、2002年の生産終了後も適当なベース車がなかったことから継続使用してきたものの、スーパーGT2年目となる2006年からレクサスSC430を投入した。
このSC430は2014年にレクサスRC Fに切り替えられる2013年シーズンまで、トヨタチームのGT500マシンとして活躍。3度のドライバーズタイトルと4度のチームタイトルを獲得している。
2013年シーズンの36号車を再現
そんなスーパーGTのレクサスSC430に乗りたくて、自分で作ってしまったのがトムスオタクさんだ。元々スーパーGTが好きで脇阪寿一選手のファンだっただけに、2006年にアンドレ・ロッテラーとのコンビでチャンピオンを取ったSC430に惹かれていた。
レプリカにしてしまうということでベースに選んだのは2001年式のトヨタ・ソアラ(Z40型)。これをレクサス・チーム・ペトロナス・トムスの2013年仕様に仕上げている。
その仕上がりは圧巻で、吊り下げ式のリヤスポイラーや大きく張り出した前後のフェンダー、さらにはセンターロック式のホイールなど、一見するとホンモノのGT500マシンのように見えるほど。
特にこのフェンダー製作には苦労しており、完成に至るまで2年もかかったとか。それだけにクオリティは極めて高く、滑らかな曲線はもちろん、エッジの立ったプレートなど、無理な後付け感を全く見せない。
見事な造形のエクステリアだが、足回りは車高調を組んでいる以外はほぼノーマル。それだけに、ホンモノのGT500マシンと比べればホイールハウスのクリアランスが大きめなのはご愛嬌だ。
しかし、ホイールはR33型スカイラインGT-R用の市販品の10J×18インチセンターロック式を装着。これをスペーサー(リヤは100mm!)と組み合わせてワイドボディに合わせている。
さらにホイールから覗くブレーキにも手を入れており、フロントはエンドレス製のMODE PARFUME対向6POTキャリパーと355mmのスリットディスクローター、リヤは同じくエンドレス製のMODE PARFUME対向4POTキャリパーに330mmのスリットディスクローターの組み合わせだ。
なお、マフラーはワンオフモノを装着しているが、エンジンまわりは基本的にノーマルにとどめている。
レーシーな雰囲気のインテリア
ドライバーズシートはレカロ製のフルバケットタイプを装着し、シフトノブやダッシュボードまわりをカーボン調にしているほか、床のカーペット類は剥がされておりレーシーな雰囲気を漂わせている。
何よりクイックリリース式のステアリングは2013年シーズン頃に使われていたらしいスーパーフォーミュラ用のホンモノだというから驚きだ。
よりホンモノらしく!さらなるレプリカ化を突き詰める
これだけの完成度を見せながらまだホンモノを追求するトムスオタクさん。フロントスポイラーはすでに所有しているホンモノのGT500のパーツへ換装を考えているし、リヤにはディフューザーも装着したいと思っている。また、室内にはロールケージを組むことも視野に入れているとか。
ここまでGT500マシンを再現しながら、構造変更等の公認車検を取っており公道走行が可能というから驚きだ。もちろん、普通に使うには不便な点も多々あれど、憧れのGT500マシンを普段から乗ることができるという価値はそのデメリットを補ってあまりある。
ちなみに、2013年シーズンのスーパーGTでレクサス・チーム・ペトロナス・トムスの36号車は中嶋一貴/ジェームス・ロシターのコンビが第2戦富士スピードウェイと第7戦オートポリスの2勝を挙げ、ドライバーとチームの両ランキングで3位を獲得。レクサス・チーム・ゼント・セルモが立川祐路/平手晃平組でドライバーとチームのチャンピオンを獲得し、GT500 SC430の有終の美を飾っている。