公道を走れるスーパーGTマシン!? トヨタ・ソアラでつくるレクサスSC430 GT500レプリカ!そのこだわりと驚きの完成度

2023年10月25日(水)〜11月5日(土)の会期で開催された『東京モーターショー』改め『ジャパンモビリティショー2023』(以下、JMS)。その、特別招待日/プレビューデーの10月27日(金)と一般公開初日の10月28日(土)に場外で開催された「CONSORSO DI REPLICA CAR(コンソルソ・ディ・レプリカカー)」。そこには実に様々なレプリカマシンが展示されてが、ひと際目を引く1台のマシンがあった。それはサーキットからそのまま持ち込まれたようなレクサスSC430のGT500……のようだが、実は!?

スカイラインにセリカ……ラリーもレースもグループAも旧車も! レプリカマシンが集まった『コンソルソ・ディ・レプリカカー』を振り返る

2023年10月25日(水)〜11月5日(土)の会期で開催された『東京モーターショー』改め『ジャパンモビリティショー2023』(以下、JMS)。その、特別招待日/プレビューデーの10月27日(金)と一般公開初日の10月28日(土)に場外で開催された「CONSORSO DI REPLICA CAR(コンソルソ・ディ・レプリカカー)」はご覧になっただろうか? ジャパンモビリティショーを盛り上げた、レプリカカーの祭典を振り返ってみたい。 PHOTO:井上 誠(INOUE Makoto)/MotorFan.jp

「スーパーGT」はおそらく日本で最も人気のある国内レースカテゴリー。前身のJGTC(全日本GT選手権)から2005年にスーパーGTと改められ、レギュレーションや参戦車両の変遷を経て現在も隆盛している。特に、上位クラスであるGT500はトヨタ、日産、ホンダが複数チームで競い合うハイレベルなレースが人気につながっている。

スタートで抜けなきゃ勝ち目なし? 2024年のスーパーGTの“逃げ切り”トレンドはいつまで続くのか

全日本スーパーフォーミュラ選手権と並び、日本のサーキットレースの最高峰のひとつとなっているスーパーGTシリーズ。マシンやルールに様々な変更が加えられた2024年シーズンは今がちょうど折り返し地点。ここでこれまでのシーズンの流れを振り返ってみよう。

またGT300ほどでないにせよ、年毎にさまざまなマシンが投入されるのも魅力。トヨタはJGTC時代から長年スープラ(A80型)を使用しており、2002年の生産終了後も適当なベース車がなかったことから継続使用してきたものの、スーパーGT2年目となる2006年からレクサスSC430を投入した。

ペトロナスのスポンサードを受けたトムスチームのレクサスSC430。

このSC430は2014年にレクサスRC Fに切り替えられる2013年シーズンまで、トヨタチームのGT500マシンとして活躍。3度のドライバーズタイトルと4度のチームタイトルを獲得している。

2013年シーズンの36号車を再現

そんなスーパーGTのレクサスSC430に乗りたくて、自分で作ってしまったのがトムスオタクさんだ。元々スーパーGTが好きで脇阪寿一選手のファンだっただけに、2006年にアンドレ・ロッテラーとのコンビでチャンピオンを取ったSC430に惹かれていた。

2013年仕様のレクサス・チーム・ペトロナス・トムスをレプリカ。

レプリカにしてしまうということでベースに選んだのは2001年式のトヨタ・ソアラ(Z40型)。これをレクサス・チーム・ペトロナス・トムスの2013年仕様に仕上げている。

トヨタ・ソアラ
レクサスSC430

その仕上がりは圧巻で、吊り下げ式のリヤスポイラーや大きく張り出した前後のフェンダー、さらにはセンターロック式のホイールなど、一見するとホンモノのGT500マシンのように見えるほど。

ルーフのシルバーは塗装やカッティングシートではなくメッキで再現。

特にこのフェンダー製作には苦労しており、完成に至るまで2年もかかったとか。それだけにクオリティは極めて高く、滑らかな曲線はもちろん、エッジの立ったプレートなど、無理な後付け感を全く見せない。

自然な仕上がりのフロントワイドフェンダー。
綺麗にエッジが立っており、ドアへの干渉もない。
ミラーはホンモノのGT500用。
サイドシル下のボディもワイド化されている。レクサスブランドのスカッフプレートを装着。

見事な造形のエクステリアだが、足回りは車高調を組んでいる以外はほぼノーマル。それだけに、ホンモノのGT500マシンと比べればホイールハウスのクリアランスが大きめなのはご愛嬌だ。

吊り下げ式のGTウイングと見事な造形のリヤフェンダー。掲載の都合上消してあるが、公道走行可能なナンバープレート付き。

しかし、ホイールはR33型スカイラインGT-R用の市販品の10J×18インチセンターロック式を装着。これをスペーサー(リヤは100mm!)と組み合わせてワイドボディに合わせている。

18インチのセンターロック式ホイール。タイヤはナンカンのSportnex NS-2Rを装着。

さらにホイールから覗くブレーキにも手を入れており、フロントはエンドレス製のMODE PARFUME対向6POTキャリパーと355mmのスリットディスクローター、リヤは同じくエンドレス製のMODE PARFUME対向4POTキャリパーに330mmのスリットディスクローターの組み合わせだ。

フロントブレーキ
リヤブレーキ

なお、マフラーはワンオフモノを装着しているが、エンジンまわりは基本的にノーマルにとどめている。

レーシーな雰囲気のインテリア

レカロのバケットシートが収まる運転席。カーペットは剥がされている。

ドライバーズシートはレカロ製のフルバケットタイプを装着し、シフトノブやダッシュボードまわりをカーボン調にしているほか、床のカーペット類は剥がされておりレーシーな雰囲気を漂わせている。

インストゥルメントパネルまわり。ダッシュボードやセンターコンソール、シフトノブはカーボン調。

何よりクイックリリース式のステアリングは2013年シーズン頃に使われていたらしいスーパーフォーミュラ用のホンモノだというから驚きだ。

スーパーフォーミュラ用のステアリングはホンモノ。

よりホンモノらしく!さらなるレプリカ化を突き詰める

これだけの完成度を見せながらまだホンモノを追求するトムスオタクさん。フロントスポイラーはすでに所有しているホンモノのGT500のパーツへ換装を考えているし、リヤにはディフューザーも装着したいと思っている。また、室内にはロールケージを組むことも視野に入れているとか。

フロントバンパーはGT500のパーツを所有しており、先々そちらを装着するつもりだとか。

ここまでGT500マシンを再現しながら、構造変更等の公認車検を取っており公道走行が可能というから驚きだ。もちろん、普通に使うには不便な点も多々あれど、憧れのGT500マシンを普段から乗ることができるという価値はそのデメリットを補ってあまりある。

36号車は中嶋一貴/ジェームス・ロシター組でシーズン2勝のランキング3位。

ちなみに、2013年シーズンのスーパーGTでレクサス・チーム・ペトロナス・トムスの36号車は中嶋一貴/ジェームス・ロシターのコンビが第2戦富士スピードウェイと第7戦オートポリスの2勝を挙げ、ドライバーとチームの両ランキングで3位を獲得。レクサス・チーム・ゼント・セルモが立川祐路/平手晃平組でドライバーとチームのチャンピオンを獲得し、GT500 SC430の有終の美を飾っている。

2013年スーパーGT(GT500)王座に就いたレクサス・チーム・ゼント・セルモと立川祐路/平手晃平組。

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部