ハイブリッドカーを世界に知らしめたトヨタ2代目「プリウス」大ヒット! 215万円~【今日は何の日?9月1日】

トヨタ2代目「プリウス」
トヨタ2代目「プリウス」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、量産初のハイブリッド車として世界の注目を集めたトヨタ「プリウス」が、初めてのモデルチェンジで2代目が誕生した日だ。2代目は、初代の課題だった走りの力強さを解消して、初代の約10倍の販売台数を記録する大ヒットとなった。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型プリウスのすべて、歴代プリウスのすべて

■新世代ハイブリッドTHS IIでパワーアップした2代目

2003(平成15)年9月1日、世界初の量産ハイブリッド「プリウス」が初めてのモデルチェンジを行い、2代目が登場。進化したハイブリッドTHS IIシステムを採用し、パワーアップしながら環境性能も高めた2代目は、世界中で大ヒットしてプリウスの名を世界に轟かせた。

トヨタ2代目「プリウス」
トヨタ2代目「プリウス」

世界に衝撃を与えた量産初のハイブリッドカー「プリウス」

世界初の量産ハイブリッドのプリウスは、1997年12月にデビューした。カローラと同等サイズの4ドアセダンで、ホイールベースを延ばして余裕の室内スペースを確保。また、電費のために空気抵抗に優れたスタイリングを採用し、空気抵抗係数(Cd)0.30はセダンとしてはトップレベルだった。

トヨタ初代「プリウス」
1997年に誕生した世界初の量産ハイブリッドのトヨタ初代「プリウス」

コアとなるハイブリッドシステムTHS(トヨタハイブリッドシステム)は、アトキンソンサイクルを採用した1.5L直4エンジンと2つのモーター/発電機、動力分割機構を組み合わせたシリーズ・パラレルハイブリッドである。
THSは、遊星ギアを利用してエンジンとモーターを連結し、状況に応じてエンジンとモーターの両方の動力を適正に使い分ける。バッテリーの容量に余裕があればモーター走行、また減速時にはモーターを発電機としてバッテリーに充電する回生ブレーキシステムによって、世界トップレベルの燃費28.5km/L(10-15モード)を達成した。

トヨタ初代「プリウス」のハイブリッドシステム(THS)
トヨタ初代「プリウス」のハイブリッドシステム(THS)

車両価格は、標準仕様で215万円とやや割高だったが、当時は地球温暖化がクローズアップされた頃、特に米国ではエコカーのシンボルとしてハリウッドスターに愛用されるなど大きな話題を集めた。

パワーアップと燃費向上によって大ヒットした2代目

トヨタ2代目「プリウス」
トヨタ2代目「プリウス」

衝撃的なデビューを飾ったプリウスは、高度なハイブリッド技術が高い評価を受けたが、一方で走りはやや力不足。特に、高速走行時の非力や違和感のあるブレーキフィーリングに対して不満の声もあった。また、好き嫌いがはっきり分かれるスタイリングだったこともあり、初代の販売台数は約6年で12.3万台(内、国内6.5万台)、販売的には大ヒットとはならなかった。

トヨタ2代目「プリウス」
2003年に登場したトヨタ2代目「プリウス」

2代目プリウスは、3ナンバーボディとなり居住性を向上し、スタイリングは空力性能を追求した“トライアングル・シルエット”で、Cd値は世界トップクラスの0.26を達成。また、スマートエントリー・スタートシステムや世界初のインテリジェント・パーキングアシストなど、次世代車らしい先進装備が採用された。

トヨタ2代目「プリウス」の進化版ハイブリッドシステムTHS II
トヨタ2代目「プリウス」の進化版ハイブリッドシステムTHS II

注目のハイブリッドシステムは、THSを進化させたTHS IIで1.5Lエンジンとモーターの組み合わせは初代と同じだが、モーター駆動電圧の高電圧化やモーター出力を33kWから50kWに増強。これにより、発進時や低速走行はモーターを主動力とし、加速や高速走行ではエンジンがアシストするという、トヨタハイブリッドの基本コンセプトが確立されたのだ。

トヨタ2代目「プリウス」
トヨタ2代目「プリウス」

新世代THS IIを搭載した2代目の燃費は、35.5km/L(10-15モード)へと大幅に向上し、車両価格は初代と同等の215万~257万円に設定。当時の大卒初任給は、19.7万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で約251万~300万円に相当する。
2代目プリウスは、初代の約10倍の販売台数を記録する大ヒットとなった。

トヨタ2代目「プリウス」
トヨタ2代目「プリウス」

エモーショナルなクーペスタイルに大変身した新型プリウス

トヨタ3代目「プリウス」
トヨタ3代目「プリウス」
トヨタ4代目「プリウス」
トヨタ4代目「プリウス」

プリウスは、その後3代目(2009年~)、4代目(2015年~)と進化を続け、2023年1月には5代目となる新型プリウスがデビューした。注目は、4代目よりさらに低重心のスポーティでエモーショナルなクーペスタイルとなったことだ。

トヨタ5代目「プリウス」
2023年1月に登場したトヨタ5代目「プリウス」。よりスポーティとなったスタイリッシュなフォルムに注目が集まった

新型プリウスには、1.8Lハイブリッドと2.0Lハイブリッドの2つが設定され、ハイブリッドシステムの最適設計と小型、軽量、効率化で、1.8Lが32.6km/L、2.0Lが28.6km/L(WLTCモード)の低燃費を実現。さらに、全車“Toyota Safety Sence”、コネクティッド機能、トップマウントメーターなど、安全性能や快適性などの装備の充実ぶりも目を見張るものがある。
これまで燃費性能を追求してきたプリウスが、5代目でデザインや優れた走りも追求することで、新生プリウスをアピールしたのだ。

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センセーショナルなデビューを飾った初代プリウスだが、プリウスの名を世界に認知させたのは2代目である。2代目からプリウスの世界的な普及が始まり、トヨタがハイブリッド車の不動のリーダーになり、またエコカーのリーダーとしての歩み始めたのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…