カーエアコンの効き、エアコン配管クリーニングでアップ!!

新車でも効果抜群!! エアコンガスを足すだけの時代は終わった!?

エアコンガスは経年劣化で減ってきたら足す、これがこれまでのメンテナンスだった。ところが最新機材ではその常識がまったく変わった。そもそも新車でも規定量が入っているか微妙なことも多い。そこから見直して、内部配管をクリーニングすることで圧倒的な効きと効率の良さを手に入れる。実際にやってみた。

エアコンガスを足すだけではダメ?

明らかに昔とは暑さの質が変わってきている日本列島。とくにその蒸し暑さのなか、クルマにエアコンは必須といえる装備。昔みたいに気合いで窓を開けてなんて、熱中症を引き起こすだけで危険。しっかり効いてくれるエアコンは重要な装備だ

しかし、そんなエアコンはなかなかチューニングがない。もっとエアコンを効くようにしたいとか、最近効きが弱くなったエアコンを強くするにはガスを足すくらいしかなかった。ガスが減っていれば効果はあるが、そもそもコンプレッサーの調子がイマイチとか、古くなってきてエアコンの配管が汚れることによって効きが低下するトラブルも多い。

そんなエアコンの世界で注目されているのがスナップオン・ツールズのカーエアコンサービスステーションによるクリーニングだ。

こちらは工具メーカーとして有名なスナップオン・ツールズが販売する機械。カーエアコンに接続し、内部を洗浄することでエアコンの効きを取り戻そうとするもの。

7年目8万km超のスイフトスポーツで試す

ナップオン・ツールズのカーエアコンサービスステーションによるクリーニングを施工中

今回その効果を試すべく、熊本県のオートファクトリーステルスにマイカーのスイフトスポーツで伺った。

購入後7年目。走行8万kmを超えたスイフトスポーツは普通にエアコンは効くものの、猛暑の中で駐車しておき、そこからエンジンを始動すると、涼しくなるのに時間が掛かるようになった印象。走り出してコンデンサーに走行風が当たれば必要十分な効きは確保されているが、「新車の頃はもっとエアコン効いたような……」という状態。

オートファクトリーステルスの市原保隆代表によると

「そもそも新車でもエアコンガスが規定量よりも少なくなっているクルマが多いです。また、ある程度使っているクルマだと配管の中に汚れが溜まっていることもあり、それを除去してきちんとした量のガスを入れることでしっかり効くようになります。配管の中をフラッシング洗浄できるので、コンプレッサーが新品時に生まれた金属粉なども除去することができてコンプレッサーの長寿命化にも貢献します」と言う。

施工前、スイフトスポーツに入っていたエアコンガス量は260g。ちなみに規定量は390g。

施工の手順は高圧側と低圧側の配管に、カーエアコンサービスステーションからの配管を接続。そこで自動的にガスを抜いて測定する。このスイフトスポーツの場合、規定量は390gだったが、入っていた量は260g。規定量の約2/3しか入っていなかった。抜けてしまったのか新車充填のガスの量が少ないのかはわからないが、市原さんいわく、ほとんどのクルマで規定量未満しかガスが入っていないとのこと。

ちなみにエアコンを最強にした場合の吹き出し口から出てくる冷風の温度は15℃だった。

初回に入ったのは905g。
2回目は1420g入った。
3回目は1510g。ここでほぼ汚れた取れたことになる。

ここからがカーエアコンサービスステーションの見せ所。まずは配管内部に液化させたガスを送り込む。いっぱいになったら、配管内部に溜まった汚れや金属粉などを含んだ液化ガスを排出する。液化したガスなので本来の規定量よりも多く入れることができ、初回は905gが入った。

それをすぐに抜いて内部で液化したガスからゴミや汚れを除去。再び液化ガスを充填する。すると今度は1420g入った。つまり今入った1420gー905g=515gの汚れが回収されたということなのだ。

これを5回繰り返す。3回目は1510g。4回目と5回目も変わらず1510gだった。つまり3回目までで、ほぼ汚れが取れたということなのだ。

こちらが抜けたオイル。

同時にコンプレッサーオイルも排出され、再び充填される。コンプレッサーの動作に重要なオイルを新品に交換することで、コンプレッサーはスムーズに動くようになるのだ。

ちなみに5回行ったフラッシング作業だが、旧車などでは10回程度位のフラッシングをオススメしているとのこと。

新油と新たに規定量のエアコンガスを注入して作業は終了となる。ちなみにここまでほぼ自動で設定しておけば勝手に機械がやってくれる。時間は約2~3時間ほど。

施工後の効果は? 

施工後は同じ条件でエアコンを掛けると吹き出し口の温度は9℃まで低下。エンジン始動後もこれまでよりも素早くエアコンが効くようになったことを体感できた。コンプレッサーが効率よく仕事をしてくれるので、燃費が良くなったという人も多いという。

これが施工前。吹き出し口の温度は15℃
これが施工後、吹き出し口の温度は9℃まで下がった。

「R32/33/34GT-Rなど、製造から20年以上経ったクルマはエアコンの効きもイマイチなことが多いし、なにより交換用コンプレッサーが高いです。リビルド品も高い。そしてリビルド品の販売が終了している、なんてことが多いです。早めにメンテナンスをしておくことで効きも復活しますし、汚れや鉄粉によるコンプレッサーの故障も防ぐことができるので、旧車の方にもオススメです。R134とR1234に対応します」と市原さん。

ちなみに価格はスイフトスポーツで3.5~4万円ほど。フラッシング回数が増えるとその分価格は約1~2万円程度アップする。

取材協力
オートファクトリーステルス
〒861-8005 熊本県熊本市北区龍田陳内4-18-56
TEL096-223-8922

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著者プロフィール

加茂 新 近影

加茂 新

1983年神奈川生まれ。カメラマンの父が初代ゴルフ、シトロエンBX、ZXなどを乗り継ぐ影響で16歳で中型バイ…