目次
■インサイトに続くホンダのハイブリッド第2弾、シビックハイブリッド
2001(平成13)年9月4日、ホンダが4ドアセダン「シビックフェリオ」をベースにしたハイブリッドモデル「シビックハイブリッド」を発表(発売は12月14日)。ハイブリッドシステムは、1999年の「インサイト」で初めて搭載されたIMAの進化型で、ホンダのハイブリッド車としては第2弾である。
ホンダ初のハイブリッドは、インサイトのIMAシステム
トヨタの「プリウス」から遅れること2年、1999年にホンダ初のハイブリッドモデルのインサイトがデビューした。
インサイトは、2ドアハッチバックの軽量コンパクトカー。ハイブリッドシステムは、IMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)で、1.0L直3 SOHCリーンバーンエンジンとCVT(マルチマチックS)の間に、薄いドーナツ型のDCブラシレスモーターを挟み込んだパラレル方式ハイブリッドである。
モーター出力は小さいので動力源はあくまでもエンジンであり、エンジンのトルクが不足するような状況でモーターは補助動力源として働く。したがって、基本的にはEV走行はできないマイルドハイブリッドだ。
10-15モード燃費は、初代プリウスの28.0km/Lに対して、インサイトは当時の世界最高レベルの燃費35km/Lを達成。インサイトは、発売当初は人気を獲得したが、2シーターで使い勝手が悪いなど実用面の問題から、販売は期待したほど伸びなかった。
シビックハイブリッドのベースとなった7代目シビック
1972年に誕生したシビックは、2000年に7代目を迎え“スマートシビック”の愛称でデビューした。当時シビックは、世界140以上の国と地域で販売され、累計台数は1330万台に達するホンダを代表するワールドカーだった。
7代目は、5ドアハッチバックとセダンの「フェリオ」が設定され、ハッチバックは欧州を、フェリオは米国向けを意識したデザインが採用され、コンパクトな落ち着いた雰囲気が特徴である。
エンジンは、ハッチバックには1.5Lと1.7L直4 SOHCが用意され、1.5Lは標準仕様、VTEC仕様、リーンバーン仕様の3種、1.7LにはVTEC仕様のみが設定された。一方のフェリオには、1.5L直4 SOHC標準仕様とリーンバーン仕様、1.7LにはVTEC仕様のみが設定された。
7代目シビックは、“日本カー・オブ・ザ・イヤー”を受賞するなど高い評価を受けたが、2001年に登場して大ヒットした自社「フィット」の人気の煽りを受け、厳しい販売を強いられた。
フェリオにハイブリッドを追加し世界最高レベルの燃費を達成
7代目シビックデビューの翌2001年のこの日、フェリオにシビック初のハイブリッドが設定された。シビックハイブリッドは、インサイトに続くホンダのハイブリッドの第2弾である。
フェリオに搭載されたハイブリッドシステムは、インサイトで採用されたIMAの進化型である。ハイブリッドに組み合わせたエンジンは、1.3L直3 i-DSIエンジンで、1気筒に2本の点火プラグを装着したリーンバーン仕様である。さらに、VTECを気筒休止に適用し、減速時に4気筒のうち3気筒を休止させてポンピングロスを減らすとともに、減速回生を増やすことによって燃費改善を図った。
IMAと低燃費エンジンの組み合わせで、10-15モード燃費は29.5km/Lを達成。これは、当時のプリウスの29.0km/Lを上回り、5人乗り量産ガソリン車として世界トップだった。ちなみに、車両価格は標準グレードで209万円、当時の大卒の初任給は19.7万円(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で約244万円に相当する。
シビック初のハイブリッドということで注目されたが、2003年にプリウス2代目が35.5km/Lの燃費でデビューして大ヒット。その結果、シビックハイブリッドの存在感は薄れてしまった。
・・・・・・・
当時、トヨタのハイブリッドは、本格ハイブリッドTHSであり、ホンダはマイルドハイブリッドだったので総合的に見て勝ち目はなかった。そこでホンダもその後、本格ハイブリッドの開発を急ぎ、現在は2つのモーターと電気CVTを組み合わせたe:HEVをモデル展開している。当時は過激なカタログ上の燃費競争が繰り広げられていたが、その時代は終わり、現在は燃費だけでなく走りも重視したハイブリッドがトレンドである。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。