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■ランエボにも流行りのワゴンバージョンが登場
2005(平成17)年9月7日、三菱自動車が誇る最強のスポーツセダン「ランエボ」の第9世代「ランエボIX」をベースにした「ランサーエボリューションワゴン」がデビューした。名機2.0Lターボ(4G63型)エンジンと4WDを組み合わせたランエボ初のワゴンだ。
ランエボのWRC黄金時代
初代ランエボが誕生したのは、1992年9月。WRCに参戦するために「ランサー1800GSR」に、ギャラン用の4G63型2.0L直4 DOHCターボエンジンを搭載しラリーマシンに仕上げた。1993年からWRCグループAに参戦、1994年に登場した2代目ランエボIIは、エンジンのパワーアップやボディ剛性改良によって、1995年の第2戦スウェディッシュラリーで、ランエボ初の優勝を飾った。
ランエボIIIとIVは、1996年に7戦中5勝を上げ、マキネンは4年連続でドライバーズチャンピオンとなり、また1998年に三菱はマニュファクチャラーズタイトルを獲得するなど、WRCでの三菱ラリーの黄金時代を築いた。
その後も2001年までに、ランエボVが4勝、ランエボVIが5勝、ランエボVI.5(6.5)が3勝を飾った。
しかし技術の進化とは裏腹に、この頃の三菱は経営状況が悪化し、WRCが「Aクラス」から「WRカークラス」への移行したこともあり、WRCがワークスとして参戦したのはランエボVIが最後となった。
ランエボVIIは、ベースモデルがフルモデルチェンジしたため、「ランサーセディア」がベースになった。4WDシステムを従来のVCU(ビスカスカップリング)付センターデフから、高精度な電子制御ACD(アクティブ・センターデフ)に変更したのが特徴である。
ランエボVIIIの特徴は、エンジンのチューンナップとスーパーAYC(アクティブヨー制御)の採用。これにより、高性能ターボエンジンと優れた走破性を誇る4WDに磨きをかけたのだ。
MIVECの採用とターボ改良でさらに進化した第9世代ランエボIX
2005年に登場したランエボIXは、先代VIIIで不評だったダイムラー・クライスラー出身デザイナーが手掛けた“ブーレイ顔“を一新して、冷却性に優れたシンプルなフロントマスクに変更した。
最大の特徴は、2.0L直4 DOHC(4G63)インタークーラー付ターボエンジンの吸気側にMIVEC(位相型可変動弁機構)を組み込んだこと。さらに、ターボチャージャーのコンプレッサーホイールをインコネル(ニッケルクロム合金)からチタンアルミ合金にするなどして、最高出力280ps/最大トルク40.8kgmの全域で高性能とハイレスポンスを実現した。
4WDについては、三菱独自のAWC(オールホイールコントロール)+スーパーAYC(アクティブヨーコントロール)+スポーツABSをさらにブラッシュアップし、高出力エンジンのパワーを余すことなく路面に伝えて果敢な走りを実現したのだ。
ランエボシリーズ初のワゴン登場
ランエボIXの発売から約半年後のこの日、ランエボIXをベースにしたランエボシリーズ初のワゴン「ランサーエボリューションワゴン」が追加された。
基本骨格は、ランエボIXのプラットフォームに「ランサーワゴン」のボディサイドパネルやルーフサイドパネルなどを結合し、そのうえで各ピラーとルーフ、リアまわりを補強。その他にも、大型リアフロアクロスメンバーの追加や各種の補強材の追加によって、高い剛性をもつワゴンボディを作り上げた。
パワートレインは、ランエボIXと同じ2.0L直4 DOHC(4G63)インタークーラー付ターボMIVECエンジンで、6速MT仕様「GT」が280ps/40.0kgm、5速AT仕様「GT-A」は272ps/35.0kgmを発生。駆動方式は、もちろん4WDだ。
車両価格は、GTが346.5万円、GT-Aは341.25万円と、GTグレードの比較ではセダンより約15万円高い。ランエボ唯一のワゴンということで注目されたが、人気は限定だった。
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当時、ステーションワゴンブームはすでに下火になっていた。ランエボワゴンは、それでも変わらず人気を獲得していたステーションワゴンブームのパイオニアだったスバル「レガシィツーリングワゴン」を意識して、スポーティかつハイパワーワゴンとして登場したのだろう。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。