“高い価格=いいクルマ”は本当?「トヨタ ハリアー」と「レクサス NX」の違いはどこにある?

高級クロスオーバーSUVとして一世を風靡した「トヨタ ハリアー」だが、国内でレクサス車の販売が始まったことで、その存在価値が揺らいでいる。同じプラットフォームを用いた兄弟車である「レクサス NX」とのスペックを比較して、両車の違いを確認してみよう。

TOYOTA HARRIER × LEXUS NX

ボディの大きさや車内の広さは同じ! 違いは装飾と装備

現行ハリアーとNXは同じGA-Kプラットフォームを採用している兄弟車だけあってボディサイズから室内寸法、荷室寸法までほとんど同じだ。しかし内外装デザインや使用素材、装備が異なることで、両車からはまったく異なる印象を受けることだろう。

NXは本革シートが標準装備となり、各部の装飾もより凝った作りになっている。さらに、NXに搭載される「e-ラッチシステム」は、軽いタッチ操作だけでドアの開閉ができる先進装備だ。また、NXは荷室側からのスイッチ操作でリヤシートを倒すだけでなく、起こすことも可能となっている。

対するハリアーのドアハンドルは一般的なレバー型となり、ハンズフリーパワーバックドアは備わるものの、荷室からのリヤシート操作ができない。ハリアーは高級SUVとして見事な仕上がりだが、高級ブランドであるレクサスと比べるとさすがに見劣りする。

トヨタ ハリアー ハイブリッドZ
ボディサイズ:全長4740mm×全幅1855mm×全高1660mm
ホイールベース:2690mm
車両重量:1680kg
タイヤサイズ:225/55R19(前後)

レクサス NX 350h
ボディサイズ:全長4660mm×全幅1865mm×全高1660mm
ホイールベース:2690mm
車両重量:1790kg
タイヤサイズ:235/60R18(前後)

パワートレインは共通だがNXのほうが走行性能は高い

ハリアーとNXはパワートレイン構成も共通であり、どちらにも十分な動力性能が備わっている。ただしNXはエンジン出力、モーター出力ともにハリアーより10%ほど高められているため、走行時の余力があるのはNXの方だ。

また、NXは動力性能の強化にあわせて、ボディ剛性やサスペンション、パワステなどにもチューニングが加えられているうえ、防音処理もより徹底されているため静粛性でも勝っている。

ただし、WLTCモード平均燃費はハリアーの22.3km/Lに対して、NXは21.6km/Lとわずかに低いうえ、使用燃料はハイオクガソリンだ。

走行性能の強化に加え、NXの運転席は各操作パネルがドライバーを向いたコックピット風のデザインになっていることもあって、乗り味はNXのほうが明確にスポーティーだ。それに対して、ハリアーは肩肘張らずに乗れる実用的な運転特性と言えるだろう。

トヨタ ハリアー ハイブリッドZ
エンジン形式:直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:2487cc
最高出力:177ps/6000rpm
最大トルク:219Nm/3600rpm
トランスミッション:電気式CVT
駆動方式:2WD(FF)

レクサス NX 350h
エンジン形式:直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:2487cc
最高出力:190ps/6000rpm
最大トルク:243Nm/4300-4500rpm
トランスミッション:電気式CVT
駆動方式:2WD(FF)

大きな価格差はクルマの優劣ではなくキャラクターの違い

ハリアーとNXの価格差は100万円近くにもなる。NXは価格が高いだけあって、内装の上質感や先進的な電装品、パワートレインやハンドリングの仕上げなどは明確に高級車のそれだ。

しかし、すべてにおいてハリアーが劣るわけではない。車両価格も含めたスペックを比較すると、両車の違いは優劣ではなくキャラクターであることがわかる。ハリアーが「大衆車メーカーの高級ファミリーカー」だとすれば、NXは「高級車ブランドが仕上げたドライバーズカー」だ。

利便性でも間違いなくNXが勝る。しかし、NXの特等席はあくまで運転席だ。SUVとして使い倒すならハリアーのほうが向くだろう。NXはハリアーの上位互換たりえるが、そこに約100万円の価値が見いだせるかどうかが選ぶポイントになりそうだ。

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