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ホイールもサスペンションもブレーキも!モデューロで全身カスタマイズしたS660
前編でお伝えしたように、ホンダアクセスが生み出すモデューロのアルミホイールには独自の設計思想が込められている。開発担当者の弁を借りれば、「ホイールの剛性バランスを最適化することでタイヤ接地感を高めるというものであり、サスペンションの一部として機能させるホイール」となっている。しかも、ホンダアクセスというホンダ車の純正アクセサリーを開発する立場であれば、車種専用設計が可能となる。
というわけで、最初に乗り込んだのはモデューロのアイテムをふんだんに装着したS660だ。フットワーク系でいっても、アルミホイール「MR-R01」に加えて、サスペンションやディスクローター、スポーツブレーキパッドといったパーツが装備されている。さらに、外観からもわかるように前後バンパーやアクティブスポイラーなど空力にも配慮した一台である。
首都高速を走り、都心に向かっているときから感じていたのは、”しなり”というキーワードの先入観をなくす必要性だ。モデューロのアルミホイールは剛性コントロールして、ホイール全体をしならせることでタイヤの性能を引き出す…という設計思想はあるが、その大前提として4つのタイヤの性能を引き出すという狙いがある。
そして、S660はアドバン・ネオバという市販タイヤとしてはかなりハイグリップな銘柄を標準装着している。つまりネオバのグリップにバランスした剛性を持つホイールとして「MR-R01」は設計されているといえる。しかも、前述したように試乗したS660にはモデューロのサスペンションやエアロパーツが備わっている。さらなるスポーティな走りを可能にしているのだ。
そのためホイールはしなっているというよりも、タイヤをしっかり張りつつ、グリップにふさわしい剛性感を全体として表現する仕上がりとなっている。ネオバのアグレッシブなトレッド面が、常に路面を捉えているという感触が伝わってくるため、微妙なステアリング操作で挙動は変わっていく。
しかしながら、ヘンな緊張感はない。このあたりの絶妙な味付けは「MR-R01」ホイールのしなり思想によるものだろう。S660というマイクロスポーツカーのキャラクターにマッチした剛性感のある走りを存分に味わうことができた。
ホイール交換によりコツコツ感が消えたヴェゼル。接地面積が増えた感触もあり
車種専用に剛性バランスを最適化することにより、適切な”しなり”を手に入れたホンダアクセスのモデューロ・ホイール。その最新作がヴェゼル用の「MS-050」である。最新は最良といえるわけで、その走りにはより注目したい。
ちなみに、ヴェゼルについては足回りで変更されているのはアルミホイールのみ。サスペンションは標準状態であるし、装着されているタイヤもラインオフ時につけられているものだ。はたして、アルミホイール「MS-050」による走りの違いは体感できるのだろうか。
さて、今回試乗したのはハイブリッドのFF車で18インチタイヤを履く上級グレード。ヴェゼルのFF車は先日のマイナーチェンジ時に欧州風味のサスペンションに進化している。たしかにハンドリングのスポーティ度は増しているが、コツコツ感が出てしまった部分もある。クーペSUVのスポーティグレードとして十分に良い乗り心地ではあるが、このMS-050がもたらす乗り味を知ってしまったら、もう後戻りできないだろう。
そんなコツコツ感は、「MS-050」を履いたことでかなりマイルドになっている。真っ直ぐに走っているときであっても、モデューロ・アルミホイールの効果がこれほど感じられるというのは驚きだ。ドッシリとしたステアフィールと、路面への当たりの滑らかさが感じられ、さらにワンランク上のクルマに乗っている感覚がある。
もちろん、ハンドリング面でのポジティブな効果も実感できる。それも、わざわざワインディングに足を伸ばす必要はない。市街地で、ゆっくり走っているときでもハンドリングの精度が高くなっていることは、多くのドライバーが体感できるのではないだろうか。
さらにホイールの剛性コントロールによりタイヤの実質的な接地面が増えている感触もある。こうした変化を実感しやすいのは高速道路をホンダセンシングを活用して走っているとき。グリップを引き出しているためか、うねりや轍のある路面状態でもその影響を受けづらく、それがLKAS(車線中央維持アシスト機能)による安定性をさらに高めている。
タイヤの性能を引き出すことがシャシーセッティングの基本であることは言うまでもないだろう。その意味でたしかにヴェゼル用「MS-050」ホイールは、開発の狙い通りにサスペンションの一部として機能していることが確認できた。