空力モンスター初代NSXとS2000に乗る!ホンダ純正アクセサリーが生んだ平成のスポーツカー!【Modulo 30th Anniversary EXPO】

元祖「実効空力」のS2000と、空力とサスペンションでハンドリングを高めたNSX。
ホンダの純正アクセサリーから生まれた「Modulo(モデューロ)」というブランドが30周年を迎えた。いまや特別なホンダ車を想像するファンも多いであろう、そのブランドの始まりは1994年、伝説の直列5気筒エンジン搭載車「ビガー」のマイナーチェンジに合わせて開発されたマルチピースホイールが起点であり、起源である。そして理想の4輪接地を目指し、エアロパーツやサスペンションの開発も進めてきた。

REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:井上 誠(INOUE Makoto)/HondaAccess

1990年代にモデューロの礎がしっかりと築かれた

モデューロアイテムを装着した初代NSX

ホンダファンにとって「Modulo(モデューロ)」というブランドに対する印象は様々だろう。スーパーGTマシンのカラーリングとして認識しているファンもいれば、コンプリートカー「Modulo X」に紐づけて記憶しているファンもいることだろう。

いずれも正解だが、Moduloというブランドはホンダの純正アクセサリーを開発するホンダアクセスのこだわりを示す名前であり、そのルーツは純正アルミホイールにあることはご存知だろうか。

「Modulo」の原点となるビガー用ホイール。

Moduloというブランドが誕生したのは1994年、直列5気筒エンジンをフロントに縦置きするFFスペシャリティ「ビガー」のマイナーチェンジに合わせたドレスアップホイールに使われたのが最初だ。つまり、2024年はモデューロ誕生30周年のアニバーサリーイヤーとなる。

1996年当時の、プレリュード純正アクセサリーのカタログページ。

その後、1995年~1996年にかけてスペシャリティカー「プレリュード」に向けて空力を意識したエアロパーツや走行性能と乗り心地を両立するサスペンションを開発。1999年にはいくつかのモデルでアルミホイール、エアロパーツ、サスペンションをモデューロとしてトータルプロデュースするなど、1990年代にModuloはホンダ車を磨き上げるパフォーマンスアップといったブランドイメージを確立した。

1990年代から空力を意識したエアロパーツ開発が進められていたという。

現在のModuloブランドのシンボル的テクノロジーである「実効空力」コンセプトを最初に提唱したのは、2008年に開発されたシビックタイプR用エアロパーツ。空力重視のフロントバンパーに合わせて、標準装着される大きなリヤウイングからダックテールタイプのトランクスポイラーに交換するなどトータルバランスを追求したことは、大いに話題を集めたことは記憶に残る。

そうしたイメージを極めたのが、冒頭でも紹介したコンプリートカー「Modulo X」シリーズであることは言うまでもない。

4輪接地の向上を狙ったスポーツサスペンションの開発が、コンプリートカー「Modulo X」に役立ったことは間違いない。

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ホンダの純正アクセサリーの中でも走りのパフォーマンスアップにつながるアイテムにつけられている…

初代NSXにドライカーボン製スポイラーを追加設定

2011年、NSX誕生20年を記念して新たにモデューロパーツが開発された。

さて、Moduloブランドの30周年を記念してメディア向けに開催された「Modulo 30th Anniversary EXPO」には、そんなモデューロ・ヒストリーにおけるエポックメイキングな2台のデモカーに試乗する機会が用意されていた。

それが1999年仕様の純正アクセサリーを装着したS2000と、2011年に新開発されたパーツをまとったNSXの2台だ。

NSXの誕生20年を記念して、モデューロの考える4輪接地を実現すべく開発されたアイテムはエアロパーツとサスペンション。より具体的にいえば、ドライカーボン製トランクスポイラーと、純正形状のスポーツサスペンションとなっている。

理想の4輪接地を実現するスポーツサスペンションも開発されている。

いまや貴重な初代NSXで、しかも希少なモデューロアイテムを装着している個体ということもあって、リスク回避を第一に、モビリティリゾートもてぎの中での試乗となった。そのため空力効果を明確に体感することはできなかったが、4輪接地なハンドリングと乗り心地をバランスしたスポーツサスペンションが、現在の基準でみても高いレベルにあることは確認できた。

マイナスリフトを生み出す翼面形状のドライカーボン製スポイラーは実効空力マインドで開発されている。

初代NSXの基本設計は1980年代まで遡るわけだが、まったくもってそうした古さを感じさせない。ヤレのなさはNSXが世界初採用したオールアルミ・モノコックボディのおかげかもしれないが、そこにモデューロのサスペンションが加わることで、スポーツフラッグシップらしい価値を実現しているわけだ。

リトラクタブルヘッドライトのスーパーカーらしいスタイルも魅力的。

S2000では実効性のある空力デバイスを目指した

10mmローダウンを実現、ハンドリングと快適さの両立を目指したスポーツサスペンションが用意されていた。

「実効空力」という四字熟語は生まれていなかったが、Moduloエアロとして初めて空力効果を与えられたのが、1999年に生まれたS2000用エアロパーツ群。前から、フロントアンダースポイラー、リアストレーキ、トランクスポイラーという3つのアイテムで構成されている。

オープン走行時のキャビン快適性を高めるウインドデフレクターも元々は純正アクセサリーとして用意されていた。

フロントミッドシップのFRマシンであるS2000のスタビリティを高めるのは、当時としては大柄なトランクスポイラー。そのダウンフォース効果に前後バランスを合わせるのがフロントアンダースポイラーで、リヤタイヤ直前に置かれたストレーキは前後の大物エアロとの相乗効果により整流と空気抵抗低減を図っている。そのほかスポーツサスペンションやスポーツマフラーなどもラインナップ、安心して気持ちよく走ることができるというModuloの目指す世界にS2000を近づけることができた。

トータルでの空力バランスを考慮したデザインのフロントアンダースポイラー。

久しぶりに試乗したModuloチューンのS2000は、20世紀のスポーツカーらしい荒々しさがマイルドに洗練されているのが、純正アクセサリーによるカスタマイズらしいと感じさせた。NSXと同じく貴重な個体のため低速での走行確認にとどめたゆえ、元祖・実効空力の効果を感じることはできなかったが、この時代にストレーキの重要性を理解していたというのは、さすがホンダアクセスの技術力というほかない。

Moduloブランドが生まれて5年ほどで、これほどの高いトータルバランスに仕上げていたというのも驚かされる。

スポーツマフラーやブレーキパッドといったチューニングパーツがラインナップされたこともあった。
後輪タイヤハウス内における空気の乱れを抑えるのが「リアストレーキ」の狙い。
ボディの浮き上がりを抑え、整流効果も持たせたトランクスポイラー。

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2011年、NSX誕生20年を記念して新たにモデューロパーツが開発された。

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リトラクタブルヘッドライトのスーパーカーらしいスタイルも魅力的。

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理想の4輪接地を実現するスポーツサスペンションも開発されている。

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マイナスリフトを生み出す翼面形状のドライカーボン製スポイラーは実効空力マインドで開発されている。

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10mmローダウンを実現、ハンドリングと快適さの両立を目指したスポーツサスペンションが用意されていた。

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オープン走行時のキャビン快適性を高めるウインドデフレクターも元々は純正アクセサリーとして用意されていた。

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トータルでの空力バランスを考慮したデザインのフロントアンダースポイラー。

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後輪タイヤハウス内における空気の乱れを抑えるのが「リアストレーキ」の狙い。

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ボディの浮き上がりを抑え、整流効果も持たせたトランクスポイラー。

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スポーツマフラーやブレーキパッドといったチューニングパーツがラインナップされたこともあった。

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元祖「実効空力」のS2000と、空力とサスペンションでハンドリングを高めたNSX。

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「Modulo」の原点となるビガー用ホイール。

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4輪接地の向上を狙ったスポーツサスペンションの開発が、コンプリートカー「Modulo X」に役立ったことは間違いない。

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1990年代から空力を意識したエアロパーツ開発が進められていたという。

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1996年当時の、プレリュード純正アクセサリーのカタログページ。

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…