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■お洒落なハードトップのスポーティセダンとなった4代目
1972(昭和47)年9月20日、日産自動車の通称“ハコスカ”の3代目「スカイライン」の後を受け、“ケンとメリーのスカイライン”のキャッチコピーとともに4代目が登場。ファッショナブルなTVコマーシャルで“ケンメリ”の愛称を日本中に浸透させ、ハコスカを上回る人気を獲得して歴代最高の販売台数を記録しした。
スカイライン誕生と人気を加速したレースでの活躍
・初代L型/20系(1957年~1963年)
初代スカイラインは、1957年に富士精密工業(後に日産と合併するプリンス自動車の前身)からデビューした。テールフィンを持つボリューム感のあるアメリカンスタイルを採用。最高出力60psを発揮する1.5L直4 OHVエンジンを搭載し、最高速度は国産乗用車最速の125km/hを誇った。ここから、名車スカイラインの歴史が始まったのだ。
・2代目S50型(1963年~1968年):羊の皮を被った狼
2代目スカイラインは、1963年に登場。翌年開催された第2回日本グランプリに参戦したスカイラインGTが、「ポルシェ904」を一時的だがヘアピンカーブで抜き去るという伝説の離れ業を成し遂げ、“羊の皮をかぶった狼”という称号が与えられた。このレースの活躍を見た多くのファンの期待に応えて最高出力105psの「スカイラインGT」が市販化された。
・3代目C10型(1968年~1972年):ハコスカ
3代目スカイラインは、日産とプリンスの合併後初のモデルで、ボクシーなスタイリングから“ハコスカ”と呼ばれた。ファミリユースとスポーツ性を両立させ、1969年には2.0L 直6 DOHCを搭載した最高出力160ps/最大トルク18kgmの「スカイラインGT-R」が誕生した。
爆発的なヒットモデルとなった4代目(C110型)ケンメリ
1972年のこの日、“ケンとメリーのスカイライン”のキャッチコピーでデビューした4代目スカイラインは、3代目のボクシーなハコスカとは打って変わりデザインが一新された。
人気のサーフィンラインはさらに強調され、シャープながらやや丸みを待たせたスポーティなフォルムに変貌し、丸形テールランプが復活して、以降スカイラインのシンボルとして継承されることになった。
2ドアハードトップと4ドアセダン、ワゴン、バンが設定されたが、人気となったのはもちろん美しいフォルムのハードトップだ。室内も、大型ソフトパットで覆われたインパネや木目パネルを多用するなど、スポーティかつ豪華に仕上げられていた。
エンジンは、100psの1.8L直4 SOHCと105psの1.8L直4 SOHCをベースに、2000GTには130psの2.0L直6 SOHCのツインキャブ仕様を搭載。トランスミッションは、4速/5速MTと3速ATが組み合わされた。最も人気があったハードトップ2000GT(5速MT)の価格は、92万円に設定。当時の大卒初任給は、5.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約371万円に相当する。
4代目スカイラインは、ファッショナブルなTVコマーシャルで“ケンメリ”の愛称を日本中に浸透させ、“ハコスカ”を上回る人気を獲得して歴代最高の販売台数を記録した。
伝説となった、わずか197台で生産を終えた「2000GT-R」
また4代目のなかで超レアなモデルとして注目されたのは、デビューから4ヶ月後の1973年1月にデビューした高性能モデル「ハードトップ2000GT-R」だ。
ハコスカGT-Rと同じ160psを発揮する2.0L直6 DOHCエンジンを搭載したトップグレード。レースでの活躍が期待されたが、GT-Rは排ガス規制対応に苦しみレースデビューすることなく、わずか197台で生産を終えた。車重が重くなったため、厳しい排ガス規制をクリアするためには、予想以上のコストがかかってしまったのだ。その結果、ケンメリGT-Rは希少なモデルとなり、2024年現在は2000万円以上の市場価値がある個体があるそうだ。
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ケンメリの成功は、クルマとしての完成度の高さに加えて、オシャレなTV-CMなどのイメージ戦略が大きく貢献した。CMソングは大ヒットし、Tシャツやキャップなどのグッズも飛ぶように売れ、社会現象になるほど脚光を浴びたのだ。速いスカイラインのイメージでなく、お洒落なスカイラインを前面に押し出したのが成功に導いたのだろう。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。