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■大きく、スタイリッシュな高級車に変貌した2代目
1962(昭和37)年9月21日、トヨタの「クラウン」が初めてのモデルチェンジを行ない、2代目を発表(発売は10月1日)。1955年に誕生した初代クラウン「トヨペットクラウン」は、日本初の純国産乗用車として歴史的なデビューを飾ったが、2代目は初代より大きく、スタイリッシュな高級車に変貌した。
完全オリジナルの純国産乗用車クラウン誕生
初代クラウン「トヨペットクラウン」は、1955年に誕生した。当時は、国産車と言っても名ばかりで、GMやフォードの部品と技術を使って組み立てるだけのクルマだったが、クラウンは完全オリジナルの純国産車だった。
世界に通用する乗用車を目指し、初代クラウンには積極的に新しい技術を採用。クラシカルなアメ車風の丸みを帯びたボディに、48psを発生する1.5L直4 OHVエンジンを搭載。トランスミッションは、3速MTおよび2速AT、駆動方式はFRで最高速は100km/hを超えた。
サスペンションは、ダブルウィッシュボーンの前輪独立懸架が採用され、日本の道路事情に合わせて乗り心地を向上。クルマの完成度は、当時の外国部品で組み立てた国内車より優れていたので高い評価を受けた。
シャープなスタイリングに変貌した2代目
1962年のこの日、クラウンは初めてのモデルチェンジを行ない2代目に移行した。
ボディの拡大とともに、丸みを帯びたクラシカルなスタイリングの初代から一転、直線基調のシャープでスタイリッシュなフォルムとなり、当時流行っていた4灯式ヘッドライトも特徴的だった。また、初代で採用されていた観音開きが廃止され、一般的なヒンジ式に変更された。
シャシー構造は、ラダーフレームから当時としては先進的な高剛性のX形フレームとなり、静粛性と乗り心地が向上、同時に軽量化にも成功した。パワートレインは、最高出力80psと90psを発生する1.9L直4 OHVエンジンと3速MTおよび2速ATの組み合わせ、駆動方式は先代同様FRである。
初代が誕生した頃は、まだクルマは超高級品だったので主にタクシーや公務車に利用されたが、2代目クラウンからは一般ユーザーにも徐々に浸透し、真の人気高級車として歩み始めた。
V型8気筒エンジンを搭載されたクラウンエイト登場
2代目クラウンが搭載した1.9L直4エンジンに対して、ライバルの日産自動車は1963年に「セドリック・スペシャル」に2.8L直6エンジンを搭載し、大排気量エンジンによる大型化と高性能化を進めた。
トヨタは、対抗するために2代目クラウンをベースに、全長を110mm、全幅を10mm拡大した本格的な高級乗用車「クラウンエイト」を、2代目クラウン発売の1年半後に投入。注目は、最高出力115ps/最大トルク20kgmを発生する、国産乗用車初の2.6L V型8気筒エンジンだ。
さらに装備についても、標準装備のパワーウインドウ、夜間に対向車のヘッドライトを感知して自動的にON/OFFするヘッドライト、自動的にドアをロックするマグネットドアロック、熱線吸収ガラス、さらにオプション設定だがオートドライブ、パワーシートなど、60年も前のクルマとは思えない装備の充実ぶりも注目を集めた。
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2代目クラウンのクラウンエイト、そして1967年には最高級乗用車「センチュリー」が登場、そして2006年には今も天皇皇后両陛下の御料車として活躍する「センチュリーロイヤル」へとつながった。日本を代表する最高級乗用車は、2代目クラウンから始まったのだ。
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