人気のコンパクトワゴン、日産「キューブ」の初代以上に広く快適な2代目が119.8万円~登場【今日は何の日?10月8日】

日産2代目「キューブ」
日産2代目「キューブ」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、キュービック(立方体)を意識した斬新なコンパクトワゴンとして人気を獲得した、日産自動車「キューブ」の2代目が誕生した日だ。2代目は、角を丸めた可愛らしいキュービックスタイルに変貌し、初代以上に広く使い勝手の良い室内空間を実現した。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型キューブのすべて、キューブ3のすべて

■初代以上の室内空間と快適性を追求した2代目キューブ

2002(平成14)年10月8日、日産自動車から1998年のデビュー以来ハイトワゴンのコンパクトカーとして人気を獲得していた「キューブ」の2代目がデビューした。2代目キュービックは、“マジカルボックス”をキャッチコピーに、初代を上回る室内空間と充実した収納装備を実現した。

日産・2代目キューブ
日産・2代目キューブ

キュートなスタイルと使い勝手の良さが特徴のキューブ誕生

1998年に誕生した初代キューブは、斬新な立方体フォルムのコンパクトなハイトワゴンで、その独特なスタイリングは1890年頃に日産が進めていたパイクカーを彷彿させる、ちょっとレトロな雰囲気があった。

日産初代「キューブ」
1998年にデビューした日産初代「キューブ」

ホイールベースはマーチと同じだが、マーチより全幅を20mm広げて、全高はマーチより200mm高く設定したロング&ハイルーフにより、広い車室内空間と荷室スペースを実現。パワートレインは、1.3L直4 DOHCエンジンと4速ATおよびCVTの組み合わせ、駆動方式はFFだった。

キューブは、スマートで使い勝手を重視したシンプルさによって、若者や若いファミリー層から人気を獲得。さらに114.8万円から入手可能な手頃な価格も後押しして大ヒット。初期には月販1万台以上を販売し、登録台数1位を記録したこともあった。

さらに広くて快適な室内空間を目指した2代目

日産2代目「キューブ」
日産2代目「キューブ」

2002年のこの日に登場した2代目キューブの開発コンセプトは、“マジカルボックス”。これは、コンパクトな外観からは想像できない広い室内空間と充実した収納装備を持ち、自分の道具として自由に使えるハコを意味する。

日産2代目「キューブ」
日産2代目「キューブ」

角を丸めた可愛らしさを強調したキュービックなスタイリングに、左右非対称のウインドウガラスや親しみのあるフロントマスクなどで個性をアピール。ホイールベースを70mm延長し、ロング&ワイドルーフの採用により、開放感のあるヘッドクリアランスを実現、さらに使い勝手の良いラゲッジや多彩な収納スペースも実現した。

日産2代目「キューブ」
日産2代目「キューブ」

パワートレインは、最高出力98ps/最大トルク14kgmの1.4L直4 DOHCと、CVTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、FFをベースに電動4WDの”e・4WD”も設定。e・4WDは、FFをベースに後輪をモーターで駆動する機構で、通常走行はFFだが前輪がスリップすると後輪が駆動して4WDに切り替わる。

車両価格は、FF仕様が119.8万~149.0万円、e・4WD仕様が142.8/162.2万円。当時の大卒初任給は、19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値でFF廉価モデルが約140万円、最も高額なe・4WD仕様が約189万円に相当する。

日産2代目「キューブ」
日産2代目「キューブ」

3列シートの7人乗車キューブ・キュービックを追加

2代目キュービックの翌2003年9月には、キューブに対して全長を150mm、ホイールベースを170mm延長した3列シート7人乗車の「キューブ・キュービック(キューブ3)」が追加された。

日産「キューブ3」
日産「キューブ3」

基本的なスタイリングはキューブと同じだが、取り回しに配慮し延長した全長は470mmに抑え、コンパクトさはキープした。2/3/2人掛けのシートの前席はベンチシート、2列目はリクライニング機構及びスライド機構を備え、3列には一体可変機構が内蔵された。

日産「キューブ3」の室内空間
日産「キューブ3」の室内空間

パワートレインは、キューブと同じ1.4L直4 DOHCと、CVTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式はFFのみ。車両価格は139.8万~164万に設定され、ベースのキューブより約20万円高額だった。

日産「キューブ3」
2003年にデビューした3列7人乗りの日産「キューブ3」

キューブ3は、デビュー当初は堅調に売れたが、販売台数は次第に頭打ちになった。 その結果、2008年11月にベースのキューブが3代目にモデルチェンジされたタイミングで、販売終了となってしまった。

日産初代「ノート」
2005年にデビューした日産初代「ノート」

またキューブも2代目以降も堅調な販売を続けていたが、2005年に同社の新型コンパクトカー「ノート」が登場し、2016年「ノートe-POWER」が大ヒット。人気のノートの陰に埋もれて販売は低迷し2019年に生産を終了した。

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現在、コンパクトハイトワゴンとしては、ダイハツ「トール」、トヨタ「ルーミー」、スズキ「ソリオ」が人気だが、このクラスは2024年現在、軽のスーパーハイトワゴンがライバルとなっている。サイズ感で優位性をアピールするのが難しく、維持費で軽に劣るので苦戦を強いられているのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…