今選ぶべきはどっち?ホンダ ZR-Vと新型ヴェゼル【同門クロスオーバーSUV対決】

2024年4月にマイナーチェンジしたヴェゼルは細かな点にまで手が加えられ、大幅に商品力を向上させて登場した。格上の存在であるZR-Vと新型ヴェゼルのスペックを比較してそれぞれの違いをみてみよう。

HONDA ZR-V × HONDA VEZEL

ヴェゼルのクラスを超えた室内空間は驚異的

フィットがベースのヴェゼルに対し、シビックがベースとなるZR-Vのほうがボディサイズは一回り大きい。しかし意外なことに、両車の室内空間はそれほど違いがない。

室内長と室内高はヴェゼルのほうが優れ、後席の膝周りもヴェゼルのほうが広いが、ZR-Vはシート座面を低くすることでスポーティな着座位置としながらヴェゼルよりも頭上空間に余裕を持たせてある。

荷室はどちらもダイブダウンシートが採用されフルフラットになるが、荷室最大長はヴェゼルが1840mm(床面長1530mm)であるのに対し、ZR-Vが2020mm(床面長1590mm)だ。

絶対的な広さではZR-Vに軍配が上がる。しかし、同時にコンパクトSUV最大級の室内空間を誇るヴェゼルの優れたスペース効率の高さも伺える結果だ。

ホンダ ZR-V e:HEV Z
ボディサイズ:全長4570mm×全幅1840mm×全高1620mm
ホイールベース:2655mm
車両重量:1580kg
タイヤサイズ:225/55R18(前後)

ホンダ ヴェゼル e:HEV Z
ボディサイズ:全長4340mm×全幅1790mm×全高1590mm
ホイールベース:2610mm
車両重量:1380kg
タイヤサイズ:225/50R18(前後)

動力性能や静粛性はZR-Vのほうが1クラス上

両車に搭載されるハイブリッドシステムは、どちらもモーター走行を主体とした「e:HEV」だが、組み合わされるエンジンの排気量はZR-Vが2.0L、ヴェゼルは1.5Lだ。

さらにモーター出力はZR-Vの184psに対し、ヴェゼルは131psに留まる。改良型ヴェゼルは、ハイブリッドシステム制御変更や防音材の追加により静粛性やアクセルレスポンスが大きく改善され加速感が向上しているが、ZR-Vの1クラス上となる動力性能や静粛性にはもう一歩届かない。

ただし、WLTCモード平均燃費は22.0km/LのZR-Vに対して、25.3km/Lとヴェゼルがわずかに優れる。この燃費性能差は200kgもの重量差も多分に影響していることだろう。

ホンダ ZR-V e:HEV Z
エンジン形式:直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:1993cc
最高出力:141ps/6000rpm
最大トルク:182Nm/4500rpm
トランスミッション:単速
駆動方式:2WD(FF)

ホンダ ヴェゼル e:HEV Z
エンジン形式:直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:1496c
最高出力:106ps/6000-6400rpm
最大トルク:127Nm/4500-5000rpm
トランスミッション:単速
駆動方式:2WD(FF)

万人向けSUVのヴェゼルと玄人好みのZR-V

車両価格はe:HEV Zグレード同士の比較では100万円ほどヴェゼルのほうが安く、ガソリンモデルの最廉価グレード同士を比べても60万円ほどの価格差がある。

よりコンパクトでありながら同等の広さを持ち、おまけに燃費がよく安価なヴェゼルと比べると、ZR-Vの存在意義そのものが揺らいでしまう。

しかしZR-Vは価格が高い分、運動性能やハンドリング、乗り心地や静粛性など細部に渡ってしっかりと作り込まれており、シビックのSUV版と呼んで差し支えないほど高い完成度を誇る。

誰もがわかりやすい魅力を前面に押し出した万人向けのSUVがヴェゼルだとすれば、ZR-Vは細部まで丹念にチューニングが施された玄人好みのSUVと言えるだろう。

車両本体価格

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